3-13 ひーすにょひゅひゅひぇ
「――で、ようやく宿に着いたと思ったら仁王が入口をふ…、あっ」
しまったと思ったがリースは気が付いていないご様子で、あごに手を当てて思案顔である。
「そっちの情報屋が当たりだったのね。どこまで信用するかってのもあるだろうけど調査は続けないとね」
「調査続行には同意だけどちょっと待ってほしいかな、事情を今話したのはこの件はかなり危険かもしれないと思ったからだよ。ジードも戻ってこない事だし」
リースは目をつむり何やらうなっている。
ここで引いてしまっては伝わらないな。
「情報屋の方だって騒ぎがあった事くらい把握してるだろうし、もう一度接触するのは難しいんじゃないかな。もし会えたとしたらお仲間と一緒に待たれてそうだしさ、数日は大人しく様子を見るべきと思うんだけどねぇ」
なるべく説教臭くならないようにと気を付けたんだけど、伝わっただろうか。
「言いたいことはそれだけかしら、ちょっとお話しをしましょうね」
リースさんは手を握ってきて、優しく微笑みこちらを見つめる。
「う、うん?そうだ、リースはどこに行ってたのさ、あちこち探し―」
途中でほっぺを思いっきりつねられる。
「そうじゃなくって、この女の子はなんなの?どうして拾ってきたの?どうしてお留守番のひとつも出来ないの?」
「ひーすにょひゃひぇひがふぉそひふぁらひゃがひみゃーっふぇふぁんひゃにゃひ」
「どちらさんなの」
反対の頬もつねられてしまう、とても痛いです。
「ひょひゅふぁひりゃにゃひにょ。ふぉれひびょーひゃにょみぇしぇにょひかきゅふぇ、ふぁふぉれちぇたんにゃにょ」
「ふ~ん…」
「ふぉひゅひゅひゃひょりょひょりょふぁずひぇしふぇふぉ、ひぃふぁいっふぇふぁ」
「反省がみられないわね。」
そう言うと上下左右にと頬を引っ張られたあげく勢いをつけて離された。暫くは腫れ上がりそうじゃないか、まったくもう。
「私の方はあれよ…、奴隷業者のねぐらとやらを探ってたんだけど空振りだったみたいだから、陽が落ちる頃には帰ってきてたのよ。そーしーたーらー」
これは情報屋から嘘情報でも買わされたのかな。
ぷんすかしている顔を近づけて来ていたが、可愛いだけでまるで迫力が無いのでかわしておく。
「今日はもうこれくらいにして休もうか、出来合いの軽食でもないか聞いてくるよ」
「私温かい豆のスープが食ーべーたーいー」
「もう遅いんだからワガママ言うんじゃありません」
リースはぶーぶー言いつつ足をバタバタさせている。
さて明日からどうしますかねえ。