2-14 決戦です
そいつが持っているのはでかい棍棒に見える。元はただの丸太だったのが、削れただけかもしれない。
体はジードよりひとまわりでかい、筋肉の付き方も違うのだろうか、ジードは押し負けてはいないが、苦戦している。
ウィルムと視線を合わせる。この3人で戦った事など無いが、うまく回り込めた。
興奮してるのを自覚している。アドレナリンがたくさん出ているだろうが、意外と冷静に状況が見れている。
こいつはまだ、俺が魔法を使うなどとは思っていないだろう。後ろから近づき、思いっきりぶち込んでやる。
ジードが引き付け後退したところを、うまくウィルムが横腹を突いた。ようやく後ろをとれたので、コントロールは考えずに炎を放つ。
ウゴゴゴオォ
体を焼き、巻きつけている布が燃え上がっている。しかし表面が焼け焦げただけで、あまり効いていないのではないか。
「うおおおお」
ウィルムが槍を突き刺そうと、突っ込んでいく。
「突っ込んじゃ駄目だ」
とっさに叫んだ。
あれ?声が届いたのか。足を止め後ろに引いてくれた。ウィルムは不思議そうな顔でこっちを見ている。
ウィルムは無事だったが、炎が効いていない。
こうなると体に触れるくらい近づいて体内を焼くか、頭を狙わないと倒せないかもしれない。
魔法使いが近接戦か。愚考ではあろうが、他に方法が思いつかない。
腹は駄目だな、有効ではあるかもだが、一発でしとめれない可能性が高い。あの棍棒での反撃など受けたくない。
作戦を打ち合わせたいが、そんな余裕は無いよな。
いや、やっぱり作戦はシンプルなのが一番だ。
右手を掲げ声を張り上げる。
「今から突っ込むから、フォロー頼んだぜー」
あれ?突っ込みなりが来ないのが意外だが、もう決めた。
男は度胸だ、いくぜ!
鉈を左手に握り、右手を添えて、腰に構えて突っ込んでいく。鉄砲玉ってのはこういう感じだろうか。
やつは棍棒を振り回してきた、慌てて屈みかろうじて避けたが、倒れて地面を這った。
やつは倒れた俺を見て、ニヤリと笑った気がする。そのでかい棍棒を高く振り上げた。これなら苦しまずに死ねるだろう、俺はやつから視線を外さなかった。
棍棒は下りてこない。やつの手は止まっており、膝をついた。
「今だよ!」
「決めちまいやがれー」
やつの後ろから声がかかる。やつの背中の焼け焦げた部分には、剣と槍が突き刺さっている。
さっきの炎は、有効打ではなかったが、皮膚を焼き攻撃が通るようになったのである。
棍棒を持った手が、力なくダラリと下がる。その腕を足蹴にし、やつの顔に握り締めた拳をぶつける。
「これで、終わりだ!往生せいやああ!」
巨大な爆炎が顔の周りに吹き上がる。炎は消えずやつを燃やし続けた。
念のために、横穴の中は確認して回った。あの女の子以外にも、もし村人が捕らえられていたら?出てこなかったし、煙でもう――。
かなりの数のゴブリンを押しのけ、抜け穴でもないかと見て回ったが何も無かった。
いや、あの女の子以外にも捕らえられていたかもしれない。もう日が立ち過ぎたのだ。
「さあ、村に帰ろう」
作戦は成功かもしれないが、気分は晴れてなどいない。
夜が明けていない森を進み村へ向かう。
村が見えてきた、あちこちに松明の灯りがみえる。
女の子が駆け寄ってくる。
ずっと泣いていたのかな、顔がちょっとひどいよ。
「ゲント、おがえりなざいぃ」
「ただいま、リース」
村に帰りつきました。作戦終了です。




