2-2 会議が進みます
「不足の資材については手配を急がせえ。基礎部分が終わったら検分させるんじゃぞ、報告を忘れんことじゃ」
「次は、伐採の遅延について報告を」
「西側の現場進捗は昨日と変化ありません。空いた稼働を北側に集中させてみましたが、作業者で溢れかえったため、運び出しと加工の方に人数を回すよう変更しております」
「遅延の解消についての見通しが聞きたいんじゃが?」
「えーっと、新しい伐採具につきましては、昼に街へ向け出発しております。在庫品の数は不明ですので、悲観的にみて遅延を4日短縮の見込みとなります」
「そうか。新しい伐採具も直ぐに使いこなせるとも限らん、あまり期待し過ぎんようにしておこうて」
「次の、警備隊についてはボクの方から――」
ちょっとお婆の気迫が怖いが、話し合いは順調に進んでいるようだ。借りてきた猫のように隅で大人しく聞いている。
始まる前にリースから聞いた話では、ジードが直ぐにやれる対策を伝えた後に、街へ行ってしまったとのことだった。
これひょっとして毎日やってるのかね。
進行役だけやってるのかと思ったウィルムでさえ、警備隊の報告とやらをしている。
「あー、ちょっといいだろうか?」
一斉に気合の入った目でこちらに顔を向けられ、一瞬固まる。
「ちょっと確認した上で、提案をさせて欲しい」
「ああ、なんじゃろうか」
「ひょっとしてだが、毎日これやってるのかい?日が沈んだ後に皆で集まって?」
「そうじゃ、もうこれ以上の――」
「うーん、そうなのね。提案だが毎日は止めた方がいいと思う」
「そんな甘いことは言っておれんわい」
「そうよ、今は1日だって無駄には――」
「意気込みは買いたいけれど、それじゃ長くは持たないよ。それに指揮する人間がそんなに肩に力が入ってると、作業する人達にも伝わってしまう」
「ふむ」
「計画において遅延が懸念される案件と、承認など即応性が求められる件のみを、都度村長かお婆に相談。二人の情報共有は、夜以外の時間帯で実施」
「それじゃと現場の進捗が――」
「進捗について把握しておきたいのは分かるけど、各担当にもう少し任せてみては。当面の間は数日おきに集まってもいいけど、目的は対策が必要な案件の検討に絞り、細かな報告は無しね」
「お、おう」
「それと、話し合いが終わった後の食事会はどうだろうか」
諸手を挙げて賛同とはならなかったが、お婆が『やってみるかね』と言ったら解散となってしまった。
今回はお婆が折れてくれたが、どうしたもんだか。
トップダウンが当たり前な世界なんだろう、よそ者が急に変な事を言ったと感じているだろうに、意見すら出なかった。
「警備隊の報告をしてくれてたみたいだね」
仕事をしてた村長に声を掛けてみる。ちょっと伝えておかないと。
「警備隊は以前からやってましたし。今は男手が足りませんからボクが代わりに」
ガタイがいいのにボク発言なのが、どうしても違和感がある。
「そうだったんだ。あー、警備長についてひとつ相談したい事があってね、もしかしたら続けることは難しいかもしれないんだよ」
「もしかして、先日の怪我が……?」
「怪我はもう治ってるよ大丈夫さ。詳しく言えなくて悪けど、ジードに変わってもらえないか口説いてみるよ」
「そうかい、残念だよ」
「あ、言っておくけど、この件は内緒にしてね」
「うん、分かったよ。そうなるとゴブリンについてはどうしようかなあ」
「ゴブリンがどうしたって?さっきの報告では何も」
「じゃあ、リースを入れて話してみようか」




