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1-12 妨害してみます

 短時間で話し合い、決めた策はこうなった。


 1、街道を先回りし、馬車が進みにくくなる細工を仕掛ける

 2、魔術道具を使い、炎の幻惑を敵に放つ

 3、以上を敵に見つからないように繰り返し行う


 街道への細工はジードが、魔術道具は『ボウズが素質あるかもな』などど言われ任されてしまった。

 リースには、絶対に飛び出さないようにと念を何度も押し作戦決行だ。



 ジードから、魔術道具として小さな袋を渡された。中には木の皮が数個入っていた。

 木の皮を噛んでいると、炎の幻惑を放つ事が可能となり、『幻惑が出なくなったら、皮を交換するんだぜ』との事。

 特に言わなかったがこれも高価な品なんだろう。あまり使わずに済んだりは、しないよなあ。



 アジトから馬車が出発してしまった。


 もう各自離れてしまい、後は各々の判断で行動するしか無い。

 魔術道具の練習など出来ていないが、腹を括って馬車の後方を付けていく。



 馬車が止まってから幻惑を放つように言われたが、どのくらいの距離を進んだら止まるか分からず不安になる。

 ギルドより紹介はあったが、実際のところジードの実力は不明なのである。


 見張りが草むらなどの潜伏していたら?

 ど素人の尾行だ、すぐに気が付かれてしまうのでは?

 どのくらい敵と距離を取った方が良いのだろうか?



 余計な心配をしていたら、馬車の歩みが止まった気がする。

 しかし馬車は3台並んでいるため、前で何が起きているのかは分からない。


 今だよね?


 深呼吸して木の皮を噛む、また舌がしびれるような感覚がある。

 盗賊共を視界に捉えると、何となく手を前にかざしながら、炎が出るイメージを重ねる。


 ゴオオオオオオオオッ


 あれれ、まるで火炎放射器でも使ったかのように、炎の柱が大地を走ったぞ。


「おい、なんだこれ。うわああああ」


 まるで、本物の炎にでも焼かれているかのように、盗賊が悲鳴をあげる。

 確かに衣服も激しく燃えており、ちょっぴり焦げ臭い気もする。

 この魔術道具はすごいな、こんなに効果があるとは思わなかった。



 深追いはせずに、直ぐに離れて様子を伺う。


 偵察なりが来るかと思ったが、構わず進む事に決めたようである。

 炎はすごかったはずだが、馬車が止まっていた時間は短い気がする。次はもうちょっと強めにいってみよう。



 ゴオオオオオオオオッ


 再び馬車が止まったので、先ほどと同じように炎の幻惑を放つ。

 今度は迂回して、列の中央辺りの連中にも放ってみた。

 数人が転がりまわっており、効果はあったがやりすぎたようだ。こちらへ真っ直ぐ向かってくる奴がいる。


 まずい、位置がバレているようだ。



 後方へ走るが、敵もかなりのスピードで迫ってくる。唯一の武器である(なた)を構えて立ち止まる。



 馬車の周りの明かりからは離れてしまい、辺りは真っ暗である。

 月明かりのおかげで、かろうじて敵の位置がわかる程度だ。


 ここは何としても逃げるべき場面だろうか、それともきっちり仕留めて盗賊を追うべきだろうか。


 ふと敵の姿が揺らいだと思ったら、踏み込まれていた。

 ちょっと動きが早すぎでは。


 後ろへ飛ぶが、このままはまずい。放てる保証は無かったが、手を地面に向け振り下ろす。


 少々派手な爆炎が上がる。


 敵に当たってなどいないが、動揺してくれたようだ。

 顔を覆う手がじゃまなので、腹を横に薙いだ。黒い装束のような服を着ている。

 上半身が変な方向を向いている。仕留める事ができたようだ。



 1人は対処できたけど、今度は3人組が近づいてくる。迎え撃ったりはせず、茂みに隠れてみた。


 離れたところに、爆炎が出せないか試してみよう。


 さっきよりは小さめな炎だったが、一番遠い敵に狙って当てることができた。

 悲鳴をあげ狼狽えている連中を、鉈で切りつける。

 木の皮は交換かな?などと考えていたら馬車の方が騒がしい。



「このガキ、いつの間に荷台に入りやがったんだ」

 

リースさん、なに捕まってるんですか。

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