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もう1人の転生者

朝起きて着替えて顔を洗い御飯を食べて学校に行く。


そんな普通の事が俺にとっては新鮮な感覚と前の世界に置いてきたはずの後悔を呼び覚ます平凡な日々。


俺は現在8歳になった、学校が終わると相変わらず師匠の下で修業している。

最近、師匠が俺の手つきを褒めてくれるようになった。

どうやら俺は鍛冶屋の才能が有るらしい、嬉しい!

前の世界では褒められることがあまり無かったから、凄く嬉しく思う!

正直言うと、学校よりも鍛冶屋の方を優先させたいけど師匠が許してくれなさそうなので真面目に通っている。


この世界でもカルム王国だけではなく日本の教育システムと同じように7歳になると学校に入学し勉学に励むことになる。

違いは授業は昼までで授業内容も1年生の間は国語(言語)を集中的に教えられる。

この世界の言語は東西南北全ての国が単一の言語なのだがやはり方言は存在するらしい。

師匠の話では東の神聖ヤマト皇国とカルム王国では随分アクセントや語尾も違うらしいが、慣れれば然程の苦労はないらしい。

2年生から卒業時までは算数と社会のみ、理科は無い!特に社会重視だ。

それ以外の生きていくのに必要な知識は自分で学べって意味なのだろう。

俺の場合なら実家の家業の農業と鍛冶屋としての専門知識を持っていれば十分って意味としよう。


算数は前の世界よりやや低レベルなような気もするが社会はカルム王国の歴史と地理のみだが世界地図を広げて国の所在や気候や風習などもあるが、ある程度の魔物の生息範囲と種類まで社会という教科に組み入られている。


「アベル君、ヤーマシア大陸におけるサーベルウルフの生息域は?」


こんな感じに先生から質問をされる、質問内容も生活に関わる事が多い。


この社会の授業で俺にとって嬉しい事があった。

それは『各国々の衣裳』という内容の授業でのことだった。

カルム王国の更に海を越えた遥か西南にあるテアラリ島あるテラン国とテアナ国そしてテリク国の3つの国では女性兵士が着る装備が『ビキニアーマー』に似た装備なのだ!違いは腰に短めのパレオを巻いているだけだ!

先生の説明では、この3国の気候が亜熱帯に近いからではないかとの事、ちなみ俺は次の日に、これを質問されて褒められることとなった。

是非とも行かなければ!


学年を重ねるごとに高レベルな質問をされていくが、しかしテストをするとか補修などの概念は無く、

はっきり言えば答えられず覚えなくても怒られはしない、あくまでも自主性を重んじている。


「覚えなくてもいいけど後で苦労しても知らないよ!覚えておかないと死ぬかも知れんしね!」


こんな感じの教育方針だから子供心に聞いて覚えないとヤバイと思うのだろう、真剣に授業に臨んでいる。


それに面白いのは、この世界では先生という職業が最も尊敬される職業とされコープ村のような小さな村の教師だったとしても貴族並の栄誉を受ける事になる。

例えば俺の学年の担任教師を務めるダレン・イーシスはカルム王国の中級貴族にあたるブキャナン家の三女を嫁に迎えているがダレン・イーシス自身は俺と同じ農民の子である。


学校の先生は偉く尊敬されるもの!なんて意識が半端ないのだ。


だが、そういう尊敬される立場にありながら志望するものが少ない謂わば『ブラック企業』的扱いをされる職業らしい。

別に前の世界でいう『モンスターペアレント』がいる訳ではないのだが生徒や保護者などから質問された場合に全てを合理的に答えられなければならず、例えその場で答えられなくとも調べたうえで理論整然と答える事を要求される職業なのだ、もし答えれらずにいると失望され誹謗されクビになるらしい。

だから先生ともなると寝る間も惜しんで自身の勉強を要求される事となる。

たぶん精神的に持たないのだろう。


そんな学校の日々を送っていたある日、授業が終わり俺が帰り支度をしているとダレン・イーシスに呼び止められた。


「アベル君、質問されたフォ―スの件ですが調べておきましたよ!」


「あ、先生ありがとうございます!」


俺は『フォース』についての事をダレン・イーシスに頼んでいたのだ。


たが内容は俺が期待した程では無くアルが話した内容と大差は無かった。

ただ発動する年齢が早ければ早い程、一概には言えないが良いフォ―ス使いになれるらしい。


じゃあ、赤ん坊の時から発動していたメリッサはどうなるんだ・・・・・?

考えても解らないので、家に帰ったらメリッサにやって貰おう。


「ところでアベル君、君の希望とおりの答えになったかな・・・・・もしあれなら時間さえあればしらべるけどね・・・・・・勿論、君さえ良ければだが・・・・」


ダレン・イーシスの顔を見ると実に不安そうな顔をしている。

質問内容に対して的確な答えを導く事こそ彼の存在価値を証明するのだから俺の顔色と返答が気になるのであろう。


「先生ありがとうございました!貴重な時間を頂戴してありがとうございました」


ダレン・イーシスは俺の返答にホッとしたのかニッコリ笑うと、別の話題を俺に振った。


「ところで君といいメリッサ君といい、ストーク家の人は他の子供達とは随分違うように思いますね!大人びた感じがしますね!」


俺は前の世界から転生して来たから見た目は子供でも中身はオッサンだ、そういう風に取られても仕方がない部分もあるがメリッサまでとはどういう意味だ。

俺から見るメリッサは家では少しお転婆な可愛い子供だ、12歳になり身体も成長し大きくなったから、そんな感じに見えるのだろうか。


「いやいや気にしないで下さい!御家の教育が行き届いているからでしょう!」


不味い事を言ったと思ったのか、言い訳をしながらダレン・イーシスは俺から離れて行った。


ダレン・イーシスの言葉は気になるが早く家に帰って昼飯を食べて鍛冶屋の修行がしたいと考えながらの帰宅途中にメリッサが先を歩いていた。


ちょうどいい、フォ―スについて聞いてみるか!


「メリッサ姉ちゃん!」


「あらアベル!このまま帰るの?」


「うん、ご飯食べてから鍛冶屋に行くよ!」


「じゃあ一緒に帰ろうか!」


横に並んで一緒に帰るが、実に残念に思う。


12歳になったメリッサは顔も綺麗な顔立ちで背も高くなりオッパイも大きくなり始めていた、

スタイルも抜群だ、姉で無ければ恋人になって欲しいNO.1だ。


しかし不思議に思うが、なんであんな太った女と禿げた小男から、こんな娘が生まれたのか実に不思議だ!


「ねえアベル、前に父さんに私がフォースを使えるの聞いたんですってね!」


聞きたかったことだが唐突な話の展開に焦ったが、是非ともフォースの事は聞きたい!


「うん、姉ちゃんのフオースを出来れば見てみたいのだけど・・・・」


「うん、いいよ!口で説明しにくいから見せるね!付いて来て!あ、でも父さんと母さんには絶対に内緒ね!それにアベルにも聞きたい事もあるから!」


そういうとメリッサは道端から少し長めの小枝を拾い上げると道から外れ森の方に歩き出した、その森は常々子供だけでは絶対に入るなとアルから教えられた森だ。

何故なら森には常に2~3体で生息するコーネンラットと呼ばれる魔物がいるからだ。

このコーネンラットは大人を見ると逃げるが子供には襲いかかる猫位の大きさの魔物で畑を荒らしたりする農家には害虫扱いされている、特徴は赤い目と茨みたいな尻尾をしている。

しかし毛皮や肉は使えないが骨が鋼属性の為、首飾りや指輪の原料に用いれらたりするから仕留めればちょっとした小遣いは出来る。


悠々とメリッサは森に入って行くので俺は少々ビビりながらも付いて行く。


森に入って暫らくすると俺とメリッサの前にコーネンラットが2体出て来た。


「アベル、姉ちゃんから離れないでね!」


そういうとメリッサは小枝をコーネンラットに向かって構えた!

メリッサが剣術などを習っていないのは俺も知っている、だが当然のように構えている。

剣道で言えば『正眼の構え』ってやつだ、それが俺のような素人でも分るくらいに自然で堂々とした構えだ、おまけにコーネンラットと間合いを測っている。


そう思った時、コーネンラットが2体同時にメリッサに襲い掛かって来た!


次の瞬間小枝全体が青白い光を発したかと思うと、俺も聞いた事がある、しかも『日本語』をメリッサは言葉にした!


「籠手!」「面!」


一瞬のうちにコーネンラット2体は血を吐き倒れた!


呆然となった、いやメリッサのフォースにではない!確かにメリッサは『面』『籠手』と言った。


メリッサが呆然とする俺に声を掛けてきた、しかも日本語でだ!


「リーゼの話からの推測だけど・・・・・アベル・・・・君も転生して来たらしいね!」


どうやら黒髪の美少女以外にもう1人俺の姉弟として転生して来た者がいたらしい。






アドバイスや誤字脱字があれば指摘していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。

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