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キモオタの俺を殺そうとした黒髪美少女は異世界では俺の可愛い妹  作者: 伊津吼鵣
第4部 ムフマンド国編
52/219

暗殺する?される?2

右手を骨折してから復帰しました。

ブックマークして頂いた方々には消去せず残して頂き感謝しかありません。

前話の1の方も編集して投稿済です。

合わせて読んで頂けると幸いです。


ありがとうございました。

「おーい、汚物……いやカミラ!手伝ってやろうか?」


「ふざけるな!手を出したらゲイシーから殺すぞ!」


「何だと!お前がママの娘でなかったら即殺してるぞ!」


そんな物騒な事を言い合う2人を見て暗殺者の爺さんが吠えた。


「心配せずとも2人とも纏めて消し炭にしてくれる!」


この言葉にカミラとゲイシーが呼吸を合わせたように言った。く


「爺さんは火葬が望みらしいなぁ!」


カミラとゲイシーがヘラヘラと爺さんを見て笑うと爺さんが、また吠えた!


「火葬は、お前ら2人だ!」


暗殺者である黒い全身を覆うマントというかポンチョというかの様な布を羽織った爺さんが吠えた瞬間にゲイシーが面倒臭さそうにカミラに言った。


「こんな爺さん、さっさと殺してしまえよ!」


「言われなくても、もう殺す!」


そんな2人と暗殺者の爺さんとの影で唯一の真面な神経の持ち主のラクシャータは思う。


「こいつらは狂ってる⁉︎」


一応役目を果たす為、ゲイシーが面倒臭さそうにラクシャータを守る態勢をとるのを確認したカミラがコスタリカを下げた無防備なまま爺さんに問う。


「お爺ちゃん、お待たせ!どこを抉られて死にたい?」


この言葉はカミラなりの挑発だったのだが、一枚上手の爺さんは笑って返答してきた。


「お前こそ、どこから抉られて死にたい?胸は辞めてやろうか?貧乳の小娘!」


「何だと!爺、お前死んだぞ!」


一番気にしている部分にヒットしたのか、挑発を仕掛けて逆に挑発に引っかかるカミラだった。


「おいカミラ!やっぱり代わってやろうか?」


「ふざけるな、ゲイシー!」


「じゃあ落ちついて敵をしっかり見て戦えよ!」


このゲイシーからの言葉で挑発に乗ったカミラが落ちついた。

自分はテアラリ島武闘祭で姉とゲイシーの挑発に乗った事からパートナーを殺してしまった。

自分は何の為にパートナーだった男のコスタリカを手にしている?仲間を二度と死なせない為だ。

そして、過去の自分を戒める為だ!


そこからカミラの雰囲気が一変した事にゲイシーも暗殺者の爺さんも気がついた。


カミラが、どこか力の抜けたような、そして穂先は爺さんには向けながら、目がどこか暗く寂しさが漂うような遠くを見つめる雰囲気になったのだ。

それは全くと言って良い程に殺意は感じられない自然体となったのだ。


このカミラを見てゲイシーは、まぁ大丈夫だろ!と感じたと同時に暗殺者の爺さんの表情が変化した。


こりゃ真剣に戦う必要がある!そう感じたのだろう。


「お爺ちゃんの名前を聞いておいても良いかな?」


カミラ自身も暗殺者である者が名前を言ってくれるとかの期待ではなく、挑発でもない、単に自然に出た言葉だったが爺さんは素直に答えてくれた。

だが残念な返答だった。



「聞いてくれてありがたいが名は無い。爺さんと呼べばいい!」


「じゃあ暮石には、お爺ちゃんと彫って貰うよ……」


そう言った瞬間にカミラがコスタリカによる連打に撃って出た!

1秒間に三回程の連打をあっさりと爺さんは躱したが、羽織ったマントには損傷を与えた。


「ほう!さすがに躱しきれなかったか!」


「中々速いね!お爺ちゃん!」


「いや小娘も大したものだぞ、我らの主には及ばぬが中々の連打だったぞ!」


「主って、あのアニラとかいう女?」


「いや、あれの姉だ!」


そんな、やり取りが2人の間で続くと、焦れたゲイシーが口を挟んできた。


「おいカミラ!さっさと終わらせろ!爺さんも暗殺者だろうが⁉︎要らん事は喋らん方が良いぞ!」


この暗殺者というゲイシーの発言に爺さんは怒りを露わにした!


「誰が暗殺者だ!我らは戦いには誇り高きマヤータ族じゃ!」


「おいおい、爺さんはラクシャータ様を暗殺に来たんだろうが⁉︎」


「それは……」


爺さんが顔が一瞬的に、やりきれない表情をしたのでカミラは気がついたが、今は戦闘中!気を引き締めて爺さんに穂先を向けた。


「こちらの都合は良い、さぁやろうか!」


「うん、お爺ちゃん!」


爺さんが傷付いたマントを無動作に剥ぎ取ると両前腕と両下腿ふくらはぎのに3つの刃が並んだ防具兼武器が現れた。


その防具兼武器を見て爺さんが接近戦を得意とするタイプの戦士である事、変幻自在にどの方向からでも攻撃する嫌な相手である事も理解した。


改めてコスタリカの穂先を爺さんに動きを合わせ出方を伺う事を選択した。

謂わば受けの態勢である。


爺さんが穂先から身体を逸らそうと動く度に

カミラが逃さぬように照準を合わせ構えた。

その照準のスキを探るように爺さんがユラユラと揺れるような動きをする。


自分は、この動きと同様の戦いを過去に経験済みだ!カミラはそう思った。


一度、テラン族族長ホリー・テランに胸を貸して欲しいと頼み戦った時だ。

あの時は、この動きに眩惑されて後にボコボコにされた。


ならば自分は槍と剣の違いはあれどアベルがホリーと戦った時に見せたやり方を再現して戦う!


カミラの穂先が爺さんの身体の正中を外さないに苛ついたのか突然身体を一瞬だけ捻った動きを見せてからカミラに向かって飛び込んできた!


間合いに進入したの確認し且つコスタリカを僅かに突く仕種を見せると爺さんが突然身を屈め足払い兼下腿の刃でカミラの足を斬りに掛かってきた。

だがカミラはコスタリカを縦に回転させ柄の部分で受け止めると再びコスタリカを縦に回転させ後方に飛び退く爺さんの腹への一撃を放った!

剣では逃げられても槍の長さには逃げる事は不可能だ!取った!そう確信したカミラだったが目の前で信じられない光景を見る事になった。


確実に爺さんの腹の中央部を捉えたと確信したのに爺さんの腹が単体で動き横にCの字に変化したのだ。


槍は的を外れ穂先は爺さんの腹の横を掠める事すらなく通り過ぎ代わりに爺さんのカミラの首への一撃を狙った攻撃が向かってきた。


咄嗟!という言葉が相応しいようにカミラが一歩踏み込んで爺さんの一撃を狙った態勢の頭を狙ったように頭突きを放った。


幸いにしてラムシハが機転を利かして買ったダイアデムが防具としての役目と武器としての役目を果たし爺さんの額に傷を負わす事が出来た。


刃よりも一瞬早く到達した頭突きの反動で爺さんの一撃は逸れたが、それでもカミラの首の薄皮に傷付いた、薄っすらと血が滲み流れた。


「長いこと戦って、こんな躱され方は初めてだぞ!小娘!」


「お爺ちゃんも凄いね、あんな躱し方初めて見た!」


「あれはな、長い間の修練を積んで会得した呼吸法を応用した防御法でな、基本が分かれば誰にでも出来る!」


いやいや基本とか、そういう事ではないだろう!と思うカミラだったが世界には色々な戦い方をする人がいる、そう思った。


元々、カミラは戦った経験や見た戦いを参考にして戦うタイプの戦士である。

あまり、自身独特の戦い方を追及するタイプではないだ。

謂わば勤勉家ではあるが『自身』を持っていないのだ。

だから、戦いにおいては比較的に安全牌を探って戦う傾向にある。

頭の中でシュミレートをしすぎて中々勝負に出ないのだ。

考えすぎてしまい後手に回ってしまいがちになるのだ。


「おいカミラ!自分から出ないと決着が付かないぞ!勝てる戦いを捨ててしまうぞ!」


後ろで叫ぶゲイシーの声が疎ましく思うが確かにそう思った、だが、その忠告を遮るように爺さんがまたしても突っ込んできた!


上から下、左右、斜め下から上、様々な角度から斬りに掛かってきた。

コスタリカをフルに操り防御一方になった。

爺さんの動きと攻勢に合わせてコスタリカを操作し防ぐが中々に

自身が攻勢に出るチャンスを掴めない。


勝負に出てみるか!そうカミラは考えた。


コスタリカを自身が持つ最大限のスピードで操り爺さんの攻撃を防ぎ、無理矢理作ったような一瞬の爺さんの隙に喉を突きに掛かった!


「甘いな、小娘!」


爺さんの首までが器用にC字型に変化しコスタリカを躱し先程と同じように爺さんが間合いを詰めてきた。


しかし、先程とはカミラは違った。

突きを放つと同時に左手で腰に装備していたジャベリンを引き抜き、そして爺さんの胸に斬りに掛かったのだ!


カミラにしてみれば爺さんの独特の防御法である身体をC字型への変化は肋骨等の無い、ある程度どの方向にも可動する事の出来る部分に限られているのでは?との推測もあった

C字型に変化して間合いを詰めて仕留めにくる、それが爺さんの攻撃パターンとも読んだ。

それがジャベリンで斬りに掛かる結果を生み出したのだが、それさえ爺さんの身体の変化は更に上をいっていた。


爺さんは今度は腰を反らせると後頭部が自分のふくらはぎに接触するほどの曲げて防ぎに掛かったのだ。


腹の上をジャベリンが空を斬ると直ぐに攻撃に出ようと爺さんが身体を起こした。


だがカミラの姿は、目の前には無かったのだ。


後ろを振り返ると棒が一本だけ床に突き刺さり垂直に立ていた。

その棒はカミラの持っていたコスタリカで柄の先の部分にはカミラが器用に立て上からサーベルを抜き爺さんを見下ろしていた。


「ヤッホー、お爺ちゃん!悪いけど、お爺ちゃんの頭上は貰ったよ!」


爺さんには自分の死が目先にある事を感じとれた。

自分の防御法は頭上からの攻撃には対処出来ない。

いや出来るがサーベルを抜き撃ち込む態勢をとるカミラを相手には対処出来ないだろう。


カミラはコスタリカで突きジャベリンで斬りに掛かかり躱された事も計算し、頭上からの攻撃に備える準備に爺さんの防御法まで利用し目線から一瞬離れる瞬間さえ利用していたのだ。

コスタリカの突きが躱されジャベリンの斬る作業も躱され、爺さんが身体を逆U字になる事すら利用してコスタリカの突き出した方向に逆らわず、そのまま自身の身体を飛び込ませ、そして床に突き刺し頭上を獲る作業をやってのけた。


そんな計算ずくの相手には最早逃げる事すら不可能だろう、そう思った。

逃げる躱すにしても先は読まれているのだから。


「小娘の勝ちだ、殺せ!」


だが、そう言われたカミラだったがサーベルを鞘に収めコスタリカから飛び降りると爺さんに問うた!


「お爺ちゃん、どこか本気で戦っている感じがしなかったけど無理矢理に暗殺なんて事させられていたんじゃないの?」


「儂らはマヤータ族、暗殺なんて本来はやらん……だが」


「だが?」


「主様が病なのだ、それにはサルマン様が持つ高価で数に限りがあるらしいナラタケ草を煎じた薬が必要なのだ!」


爺さんが土下座をして頼んで来た。


「すまん、こうするしか現在のマヤータ族の儂らには出来なかったのだ!すまん!」


爺さんが必死で土下座をするなかでラクターシャが呟いた。


「ナラタケ草を煎じた薬とは、もしかしてナラタケ反丹の事を言っておるのか?」


「そうでございます!知っておられるのか?」


「そもそもナラタケ反丹は現在サルマン様を守護するサリーに私が昔勿体つけて高値で売った物だ!我が領地には幾らでも生えてくるのだがな、そんなもので良いなら幾らでもあるぞ!勿論無料で欲しいだけやるぞ!」


「なんと!」


カミラは聞いていて思った。


馬鹿らしく、この戦いは全く無意味な戦いだと。


「ゲイシー、早くレイシアがいる部屋に行って無意味な戦いだ!って伝えてあげて!私はラウラの部屋に行くから!」


2人は大急ぎで走り出した。








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