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キモオタの俺を殺そうとした黒髪美少女は異世界では俺の可愛い妹  作者: 伊津吼鵣
第3部 テアラリ島3部族武闘祭編
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ゲイシー・ロドリゲス

男には、ある瞬間に奇妙な感覚に遭遇する瞬間がある。


もしかしたら俺はイケメンじゃねえ!?

もしかしたら俺は頭良いんじゃねえ!?

もしかしたら俺は結構やり手じゃねえ!?

もしかしたら俺は何がデカイじゃねえ!?


そして・・・・・・

もしかしたら俺は強いんじゃねえ!?


青年は親の仕事が木こりだった事もあり同じような木こりの決まった人間たちとしか会わない生活と山奥で生活をしているのに魔物にも遭遇した事が無い幸運な生活を送っていた。

人に会わないから揉める事もない、魔物に会わないから戦う事のない生活に彼は満足だった。

平穏無事が一番、そう彼は元は平和主義者だったのだ。


そんな彼が20歳の時、父親と兄が崖から馬車ごと落ちて亡くなってしまった。

急遽、家を継ぐために結婚し嫁養子を貰う事になり村の父親の知り合い達は伝手を頼り誰か居ないかと探した結果とんでもない候補者が現れた。


ケルゲン王国の貴族であるパネレンス家の5女のベネット33歳だった。


村の人々は身分の違いと年齢的理由から断ろうとしたがパネレンス家から押し切られた。

パネレンス家には理由があったのだ。

素行が悪く浮気を繰り返し6度の離婚を経験しているベネットに困り果て下人が話しているのを偶々聞いて乗ったという事だ。

要は山奥にベネットを捨てたかったのだ。


彼が初めてベネットに会った時の第一印象は最悪なものだった。

年増が無理しやがって汚い!汚物が!と思った。

ベネットも彼の第一印象は最悪だった。

身体がデカい筋肉馬鹿が!と思った。


互いの最悪な第一印象を抱えたまま結婚生活はスタートした。

だが、スタート僅か3分で破局の原因が発生した。

偶々、村に滞在していた街の絵描きの青年が彼らの結婚式を見学しに来た事が原因だった。


その絵描きはベネットの理想そのままの青年だった。


顔が薔薇のように美しく若葉のような華奢な身体、そして甘い声!

全てが理想だった、人に聞けば年齢も20歳だと分った。

それからベネットの絵描きへの恋愛願望が始まった!


絵描きが丘で絵を描いていると聞けば追い掛けて行き林の中にいると聞けば追い掛けた!


ベネットが、そんな事を繰り返していると当然だが噂になり彼は笑い者になった。


あいつは甲斐性無しか!


そんな中傷を受ける事になってしまった!


僕は何もしてないのに!頼んでもないのに勝手にお前らが連れて来た嫁だろう!

よし分った、あのベネットと絵描きをぶち殺して村の奴らも皆殺しにしてやる!

僕は怒ったぞ!


そう誓い彼は家を飛び出した!


丘に行くと絵描きの横にベネットがうっとりした顔で佇んでいた!


2人ともぶち殺してやる!


まずはベネットの頭に拳を思いっ切り叩きこんだ!

頭が陥没し血を噴き出し死んだベネットを見て絵描きは自分の無実を訴えた。


「その女がいつも俺に付きまとって来て困ってたんだ!」


だが、そんな言葉は彼には通じなかった!

もう彼は絵描きの言葉など聞ける精神は残っていなかった!


思いっ切り絵描きの顔を殴った!

薔薇のような美しい顔は赤い薔薇のような血を噴き出して崩れた!

その後、後頭部を思いっ切り殴るとグチャっと音を立てて絵描きは死んだ!


それから彼は村中の家を周り1人1人村人を殺した。

彼に恐怖し逃げる者もいたが彼の超人的な足の速さの前には不可能な事だったのだ。


この時に彼は思った!


もしかして僕って強いんじゃねえ!?


それから彼はベネットと絵描きと村人たちをを殴り殺した罪から逃げる為、ケンゲル王国と敵対関係のイグナイト帝国に逃げ込み、自ら奴隷剣闘士になり30戦無敗し暫らくすると奴隷にまた舞い戻り奴隷剣闘士になって人生を楽しむ事になる。


しかし飽きが来た。

弱い奴らと戦う事が嫌になってきたのだ!

初めてベネットの頭を殴った時の骨が砕ける感触が楽しくて奴隷剣闘士をやっていたのに飽きて来たのだ!

そろそろ辞めて楽しい事でも探すか!


そんな彼が26歳の時、1人の奴隷剣闘士と戦う事になった。

華麗に二刀剣を操り彼と互角に戦う奴隷剣闘士に初めての感情が起こった。


こいつはもしかして強いんじゃねえ?


彼が初めて他人を強いと認めた瞬間だった。


殴りかかっても華麗に避けられ、そして自分も剣を躱した。

それは彼にとって、魅惑的な言葉のやり取りに思えた。


その後も決着は着かなかったが漸く奴隷剣闘士の膝を破壊する事に成功した!

しかし同時に自分も左肩を斬られた!


初めて斬られた、こんなにジンジンして痛いんだ!

なんて感覚だ、これが人に傷付けられるという感覚か!


拳と剣で愛を語り合い、そして拳と剣で肉体を破壊し合う初めての愛撫!


なんて素敵な人なんだ!


ベネットの件で汚物には一切の興味は無かったが、この奴隷剣闘士には興味が出た。

初めて胸の高まりを感じた。


そう考えた時に気がついた。

このままでは奴隷剣闘士を殺さねばならないのだ!

奴隷剣闘士たちのルール上、生きて闘技場を出れるのは1人なのだ!


ダメだ、このままでは殺さねばならない!


次の瞬間、自分でも意識していなかった言葉が彼の口から出た!


「僕は強い男が好きなんだ!だから生かしておく!」


彼が、そう叫んだ瞬間、奴隷剣闘士は勿論、闘技場の全ての人々が呆気にとられ静寂が支配した。


そして彼自身も・・・・・・


「ヤベええええ!こんな事を言っちゃったら僕に矢が飛んでくるじゃん!」


事実、彼に向かって多数の矢が飛んできた!

闘技場が大パニックになった!


これは彼が僕の愛を確かめる為に与えた試練なんだ!と都合良く解釈し戦いのゴングが鳴った!


飛来する矢を時には躱し時にはベアナックルを装備した両の拳で叩き落とし身を守った!


この矢は魔物の硬い皮膚や鱗を貫通出来る高価なものだ、数に限りがあるに違いない!

そう彼は読んだが見事に的中した!


矢が止まると、今度は警備兵50人が彼に殺到して来たのだ!


チャンスだ!こいつらをぶち殺して出て来たゲートから逃げれば逃亡成功だ!


乱闘になり全員をぶちのめしゲートに飛び込んで、まず彼は魔物たちが収容されている地下室に向かった。

地下室で魔物たちの檻をベアナックルで破壊し全て逃亡させ闘技場とその周辺地区をパニックに陥れ、自分も紛れて逃亡を成功させた。


逃亡に成功すると彼は自分の収容所に戻り、直ぐにプロモーターを殴り殺した!

プロモーターを殺したのは自分の逃亡の軽減もあるが他の奴隷たちの為でもあった。

この収容所は珍しく奴隷剣闘士は彼だけであった。

他は年端の往かぬ少年たちを変態貴族たちに貸し出したりして運営する娼館も兼ねていたので、それが許せなかったのだ。


少年たちの契約書を破り捨て、彼らに、好きにしろ!の一言を残し彼は以前からの知り合いのバーに向かい庇護を頼んだ。

そのバーは、彼が30戦無敗で解放されてから、よく通っていた店だった。

時折女性が来る以外は客が来ない、閑古鳥が鳴いている店だった。

店の主人は直ぐに了承してくれた、主人も彼には世話になっていたのだ。

店の借金取りを彼が隠密に始末してくれた恩もあったからだ。


それから主人に街の様子や追手の情報を調べて貰い、落ち着いた頃に彼は行動を起こした。


あの二刀剣の奴隷剣闘士への告白である。


主人の情報では自分が傷付けた膝が原因で奴隷剣闘士ではなくなったが別の収容所で付き人のような事をしているらしい。


早速、彼は奴隷剣闘士に会いに行った。

途中で花束も買い、告白のセリフも考え身だしなみも整え奴隷剣闘士に会いに行った。


しかし結果は散々たるものであった。


奴隷剣闘士にはボロッカスに言われ収容所の人間には警備兵を呼ばれ彼は悲しくなった。


告白のセリフを間違えた・・・・・・

花束を間違えた・・・・・・・・・・

告白の時を間違えた・・・・・・・・


そんな事を考えると無性に何もかも間違いだらけの自分に腹が立った!


気がつくと奴隷剣闘士は逃げ、自分は泣きながら警備兵たちと格闘中であった。


なんとか殺到する警備兵たちから逃げ遂せバーに戻った。


また泣きながら酒を飲んでいると時折来る女性が入って来た。


来るなよ、こんな時に!と思っていると、普段は1人で黙って飲んでいる、その女性が声を掛けて来た。


「泣いておるではないか、どうした?」


「うるせえ!汚物が僕に声を掛けるな!」


「おやおや物騒な男だな!だがな泣いている理由を他人に話せば少しは気が楽になるぞ!」


彼は女など信用もしていないし嫌いでもあったが、女性の言葉に何故か反応し奴隷剣闘士の事、そして自分の今までの人生の事を全て話した。


話し終えて女性の顔を見るとシクシクと泣いているではないか!


「辛かったであろうな、自分の事を誰にも判って貰えない!そして気がつけば1人きり・・・・・

辛かったであろうな」


そして彼の頬に手をあて言った。


「いつの日かお前を理解してくれる人が現れる、慕ってくれる人が現れる、笑顔をくれる人が現れる、その時は必ず来る!現にこうやって涙を流した女もここに居ろう!」


この人は女神か?いや母性の神か?


思わず幼き日に亡くなった母を想い出し、ママ・・・・・と言ってしまったが、女性は笑顔で言ってくれた。


「ママか、お前が救われるなら今日から私がお前の母だ!」


それからは相変らず汚物は嫌いであったがママだけは違った!

ママが来てくれるのを楽しみに待つようになった。


だが、ある時ママが浮かない顔をして店にやって来た。


理由を聞いて彼と店主は驚く事になった。


ママの正体はテアナ族族長アン・テアナであった。


彼も話には知っていたが服装もテアラリ島3部族の服装とは違いイグナイト帝国の女性が着る一般的な服だったから全く気がつかなかった。

アンは、この店を忙しい公務の合間の息抜きの場としていたのだった。


正体を知って怯える店主を前に彼はママに浮かぬ顔の理由を聞いてみた。

ママの上の娘が今度テアラリ島3部族の武闘祭に出場するがパートナーが決まっていないのだ。

正確には決められないのだ!理由は娘が強すぎて決まらないのだ!パートナーも強くなければ納得しないのだ!

だから、どうすれば良いか悩んでいるとの事だった!


ママが浮かない顔をしている!自分は何が出来る事はないか?そう考えれると答えは簡単だった!


「ママ!良ければ僕が、その汚物・・・・いやママの娘のパートナーになるよ!」


こうして彼はアン・テアナと指名手配中の為、極秘裏にテアラリ島に行く事になった。


一応、その汚物とも戦ってみたが、あの奴隷剣闘士並の強さで一瞬殺してやろうか思ったがママが悲しむので耐えた。

そして汚物にも認められパートナーになりあっさりと優勝した!


だが、これが彼にとって地獄の日の始まりだった!

優勝した途端にママの部下たちの汚物たちが群れを成して彼に寄って来たのだ!


気持ちが悪い笑顔と身体を振りまきながら彼を誘ってきたのだ!

時には寝ていた彼の寝室にも侵入してきた汚物たちもいた!


全員ぶち殺してやる!


一瞬思ったがママが悲しむので耐えた!

耐えて耐えて耐え忍んでいると1本1本また1本と髪の毛が抜け始めた・・・・

そして彼は禿げた、ストレスだった・・・・・・


いっそテアラリ島から逃げようか?だが逃げればママと会えなくなる!

そんな葛藤の中、苦しむ彼を救ったのは、この島の貧相な男たちであった。


苦しむ彼を誘い出してくれ、自分たちの溜まり場であったバーに連れ出してくれたのだ!


彼らと馬鹿騒ぎをし共に笑い、共に喜び、共に酒を飲み、彼らの1人が悩んでいれば共に悩み、彼らの1人に不幸があれば共に悲しみ、そんな事をするうちにストレスは無くなった!


僕が求めていた生活は、ここにあったんだ!

僕は全てを共有出来る仲間が欲しかったんだ!


そんな嬉しさと喜びが彼を支配した時、ママの言葉は嘘じゃなかったんだと思い、よりママの事が好きなった。


ママが頼むなら僕はママの為に1国とも戦おう!

ママが死んだら僕もママの必ず後を追おう!


そう思いママに感謝し愛した。



しかしより深く汚物たちは嫌いになったのだが・・・・・




※       ※       ※



そんな話をしたゲイシー・ロドリゲスと一緒に俺は今、ゴウドのバーでジュースを飲んでいる。


ゲイシーが俺を誘いにテラン族族長宅に来たのだ!


約束してたからと言われたが、約束してったけ?と悩んだ。

確かにゲイシーとミハエルの戦いの後言ってたなあと思い出し一緒に来たのだ。

断ってテラン族族長宅で暴れられても困るしね!


しかし、ただの殺人鬼かと思っていたが、ゲイシーにも色々と紆余曲折があったようだ。

それに今、俺の目の前にいるゲイシー・ロドリゲスがミハエルを殺したゲイシー・ロドリゲスと同一人物とは思えないほどの笑顔と穏やかさだ!


誰にでも親切にしゴウドが料理を運んでいると自分から率先して手伝っていたりする。


どちらが本当のゲイシー・ロドリゲスなのだろうか?


俺は、そんな疑問を抱えながら、取り敢えずは、この場を楽しむことにした。





アドバイスや誤字脱字等がありましたら御指摘よろしくお願いします。

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