お人好し
船がテアラリ島に着く3日前から、あれほど仲の良かったラウラ、カミラ、レイシアは喋らなくなった。
やはり武闘祭では敵同士という事もあるのだろうけど部族の誇りが掛かっているのだという自覚のが大きいのだろう。
そんな3人のピリピリしたムードは他の部族の者たちにも伝染し彼女たちも口を開かなくなってきた。
そんなムードの中、3人と反比例して喋るようになった2人がいる。
俺とミハエル・イワンホフだ。
俺たちは3人よりも冷静でいなければならない分、顔では笑顔だが相手の特徴を探らねばならない、また他の情報交換もしなければならない。
一回戦であたらない分、自分の情報は隠すが互いの初戦の相手の情報は交換した方が得なのだ。
俺の場合ならゲイシー・ロドリゲスの情報を餌にする。
ミハエルならレイシアのパートナーって事だ。
「お前ゲイシーの事で知っているか?闘技場で暴れて逃げた事しか分らなかった」
ミハエルは傭兵という事でよく調べていたが闘技場の事はあまり知らなかった。
俺は、自分が知るゲイシーの情報を提供すると言うと彼もまたすんなりとレイシアのパートナー情報をくれた。
レイシアのパートナーは張馬林というミハエルと同じ傭兵を生業にする元嘉威国の老齢の男らしい。
「まず張馬林は当然だがフオースを使ってくる!テアラリ島3部族のような生まれついてのものじゃない修練によって得たものだ、ヤツラ東方の人間は『錬氣』と呼んでいるがな」
「そいつは強いのか?やっぱり剣術か槍を使うのか?」
「戦場でやり合ってはいないが見た限りじゃ強いな!、それに剣術じゃなく槍と剣を合わせたような武器を使う、あとカンフーと呼ばれる体術だな!」
「そんなのまで使うのか?」
「ああ、それとだがな、これはあまり俺たちとは関係ない事なんだが・・・・・・・」
「なんだ?」
「どうも、ヤツは武闘祭には金で雇われた訳ではないらしい、あのレイシアと何かの約束をしているらしい」
「ふーん、そんな事情は確かに俺には関係ないな、そうか分った!ありがとう!」
その約束とやらには興味はあるが現状では俺とラウラには関係ないので聞かないでおいた。
レイシアにも事情というものがあるのだろうから。
それからミハエルにゲイシーの情報を渡した。
ミハエルには頑張って貰ってゲイシーの全てを曝け出して貰わないとダメだ!
仮にミハエルが勝てば、その時はこいつの対策を考えれば良い!それはこいつも同じだろうが!
「ところで、お前は優勝すればテアラリ島に残って種馬になるのか?俺は金だけが目的だが!」
ミハエルは単刀直入に俺に聞いて来たが俺にはメリッサやリーゼを探すという目的もあるのでは、その気はないと答え理由も話した。
まぁ隠したところで仕方ないからだ。
しかし、あれだけ船のテアラリ島3部族の女たちをガン見してたのに金だけって、よく言えるものだ。
「そうか、しかし俺の情報じゃあ今後元カルム王国人はイグナイト帝国からカルム王国やケンゲル王国への入国が厳しくなるらしいぞ!」
「どういう事だ?」
聞けば先のオービスト大砦侵攻戦でイグナイト帝国も国家財政が厳しくなりつつあり、そこへのケンゲル王国との同盟破棄やカルム王国の領土回復機運の上昇から警戒し元カルム王国人への検閲を強化する動きがあるらしい。
「もしカルム王国に入るなら折角現在テアラリ島に行くんだ!遠回りになるがエルハラン帝国方面から行った方が得策かも知れんぞ、余計な詮索もされないからな!」
その方面から行けば1年以上掛かるかも知れないが安全策を取れって事か!
「考えてみるよ!ありがとう!」
それから俺たちも一切喋らなくなった。
お互いに欲しい情報は手に入れたし別に仲良くする義理も無ければ友達でもなく単なる敵だからだ!
これはジーナスの最後の忠告から心掛けている事だった。
「お人好しは長生き出来ない!」
まだ俺だって死にたくはない。
そして船がテアラリ島に到着した。
島では各部族の民たちが多く出迎えに訪れており、当然だがテラン族の族長であるホリーの出迎えにはかなり多くの人が集まった。
そんな中、もう一隻の帆船が俺たちの後に接岸した。
ラウラに聞くとエルハラン帝国の領事館に派遣されていたテリク族次期族長でありレイシアの姉のケイト・テリクであるらしい。
ケイトはレイシアには全く似ておらずラウラと同等か、それ以上に大きな筋肉の塊の女性でだった。
そのケイトが船から降りて来てホリーに挨拶をしていた。
「これはテラン族族長ホリー様、御帰還ご苦労様です!」
「ケイト、そういうのは辞めて下さい!」
「いや、族長様への当然の儀礼ですから!」
「心にも思ってないでしょ!」
「バレたか!」
2人は笑いあっているが、聞くと昔は殺し合いまでいった仲だとか・・・・・・
ホリーよりケイトの方が1つ歳上らしいが仲が悪く決闘騒ぎを起こして最後に本当に殺し合いをして友情が芽生えたというテアラリ島3部族らしい話だそうだ。
だが、そんなケイトを見てレイシアが心なしか暗い顔を見せたのが気になったが。
それから俺はホリーとラウラに族長宅に案内された。
大きな葉っぱを幾重にも重ねた屋根と通気性の良さそうな木の蔓を組み合わせた壁が特徴の家だ!
それから直ぐにホリーが俺とラウラに言ってきた。
「着いて早速ですが、ちょっと武闘祭前に模擬戦でもやりましょうか!」
俺としてもありがたい事だ!
武闘祭のルールは大体聞いたが、やっぱり身体を使って理解した方が良い!
そこで1人の男を紹介された。
マイク・ギニューという50歳代の男だった。
マイクは若い頃、元々はホリーやラウラの母の種馬目的に買われた槍使いの奴隷剣闘士だったらしい。
しかし何度チャレンジしても子供が出来なかった。
マイクは種無しだったのだろう。
そこで侍従という形でホリーやラウラに仕えているらしい。
ホリーやラウラが小さい頃からいたので今や2人の良き小父さんって感じだ。
「では本番を意識して本気でやりましょう!アベルさんも良いですか?」
実戦方式と云う事か!
族長宅の前に広がる砂はに出てホリーのパートナーはマイクが務める事にして勝負を開始した
だが本気と聞いてラウラの顔が曇り始めた。
「姉さま、どうしてもマイクが相手でないと・・・・・」
「これはアベルさんに武闘祭がどういうものか身を持って知って貰うのもありますが、ラウラの事も知ってもらう為です!」
ラウラの事って、どういうことだ?
ラウラは心配だけど今はホリーが相手だ、集中する!
「ホリー様、前回の件もありますので本気で行きますよ!」
「ええ勿論です!私も最初から本気で行きますよ!」
ホリーが心無しかうつろな目になっていった。
武闘祭のルールは基本的には祭りだから期間は3ヶ月で死人が出ないようになっている。
最後にギブアップせずに1人が立っていればよいってルールだ。
しかし、その死人の中にパートナーの男は含まれていない。
要は男は殺しても基本的にはダメだけど絶対ではなく、テアラリ島3部族の女は絶対に殺してはダメとなっている。
よって遠慮なく攻撃をしやすくなる男を狙うのが常套手段と普通はなってしまうが、やはりそこはテアラリ島3部族の誇りというものが作用する。
2VS1などの戦いが卑怯だという意識が出てしまい、通常は男VS女となってから次に勝者同士となってしまうのが常らしい。
俺たちの一回戦の場合なら同じリング上で同時開始で俺とレイシアが戦い、ラウラと張馬林が戦って、その勝者でって感じだ。
そして一回戦後、負傷して怪我が3ヶ月の間に直らない場合は相手の不戦勝となる。
使う武器も前持って申請をした己の得意武器の模擬武器、防具は指定された物を使用する。
「じゃあ、始めましょうか!」
ホリーが俺に向かって突進して来た。
俺の2刀剣では後手に回ってしまうが敢えて勝負する、自分が生き残ってきた手段だ!
これでいざ勝負!
俺はホリーと向かい合い睨み合う中で、直ぐ近くでラウラとマイクが睨み合うがマイクがラウラに突進し槍を繰り出した!
確かに強いが年齢もあるからラウラなら大丈夫だろうと思った時、ラウラの行動がおかしくなった!
防戦一方なのだ!
あれってと思ったが、こっちもホリーと対人中である。
俺も気は抜けない!
と思ったらホリーから、待った!、が掛かった!
「ごめんなさいアベルさん!折角テアラリ島まで来て貰いましたが無意味な事でした。武闘祭を観戦してゆっくりと適当に過ごして下さい!」
「え・・・・・・俺なんか不味かったですか?」
観戦って・・・・・・出場するなって意味してるんだけど。
「いえアベルさんではありません!ラウラの方です!お気づきになられたでしょう!」
「・・・・・・はい」
ラウラを見た時に何と無くだが分かったような気がした。
ラウラはマイクが相手だとミノタウロスやニードホックと戦ったような迫力ある戦い方を全く出来ていなかった。
それどころか逃げるように防戦一方だ、マイクに攻め入る隙なら俺が見た感じではかなりあった。
ふと思った・・・・・・ラウラは人間相手では攻撃出来ないのではないのかと・・・・・
「ラウラが出ても負けるだけです!」
ホリーは、はっきりとそう言った。
「ですが、姉さま・・・・・・」
「ラウラ、これ以上は私に言わせないで!それからアベルさん、ちょっと2人だけでお話しましょう!」
目に涙を溜めるラウラをマイクに任せてホリーと砂浜を歩きながら事情を聞いた。
「ラウラはテアラリ島3部族でも最強の強さを秘めた戦士です!それは誰もが認める事です!
でも同時に誰よりも弱い戦士でもあるのです!」
テアラリ島3部族は昔ほど各部族が競い合い争う事も少なくなったが、それでも気性の荒さは残っており
何かあると決闘で物事を決まる風習はしっかりと残っている。
ホリーとケイトなんかの決闘がそうだ。
しかしミノタウロスと互角に打ち合いニードホックとも勇敢に戦うラウラは魔獣相手では最強、対人戦では最弱とテアラリ島3部族の間では言われており、口では堂々と決闘と言うが、まず相手を攻撃出来ずにボコボコにされてしまう事が殆んどらしい。
だから、カミラとも口喧嘩だったのか・・・・・・カミラは分ってたんだ、今思えばだけど。
「あの子は昔から気が優しくて人間にはまず戦えない子なんです!」
「でも、確か闘技場で聞きましたけどレイシアと斬り合いをしたとか言ってましたけど?それから海賊を退治したとか?」
「あの時も、ラウラは攻撃出来ずにレイシアにやられっぱなしでした、カミラがいたから止めてくれただけです。それにレイシアもラウラの性格が分っていたから途中で止めましたから!海賊も斬りはしましたが殺せませんでした!」
「でも、それじゃあ武闘祭の一回戦でレイシアとは・・・・・・」
「まず戦えません、レイシアもテアラリ島3部族でも有能な戦士ですから!」
「じゃあ益々、俺がレイシアを確実に倒さないとダメですね!」
「それは無理です!何故ならレイシアが最初からラウラを狙ってくるからです!」
「え?でも最初は男VS女ですよね!」
「そんなルールはありません!皆がやりやすいからやっていただけの話です!」
「って事は俺が最初にやり合うのは張馬林って事ですね!」
「そうです、レイシアは先にラウラを余裕を持って倒してから力を温存して疲れ切ったアベルを倒しにかかるでしょう!その方が効率が良いですからね!」
「なるほど・・・・・」
「ですからアベルさん、貴方が来る事で極僅かな期待を掛けて御力をお借りしようと考えていましたが、やっぱり無理でした。残念ですが」
「あのホリー様、もしかしらラウラをなんとか出来るかもしれませんよ!俺に考えがあるので協力願えませんか?出来ればマイクさんにも協力願えたら!」
それから俺の考えをホリーに話して驚いてはいたが納得して貰った、マイクにはホリーから話して貰う事にした。
その晩、ラウラはまだ砂浜で落ち込んで泣いていた。
ちょうど良かったので俺は完全装備の上、ハブーブを持ってラウラのところへ行った。
「ラウラ、事情は聴いたよ!」
まだラウラは泣いていたけど隣に座って話を聞いてあげた。
「すまんアベル!ダメなんだ、人が相手だと感情が先に立って何も出来なくなる」
「それって寧ろ普通じゃないかな!」
「でも、ダメなんだ、テラン族としてはダメなんだ!」
「じゃあ人間相手でも戦うしかないよね!」
「だが、それが出来ないんだ!」
「あのさラウラはっきりと言うわ!お前さぁ一体何がしたいの?さっきから聞いてたら、あれはしたいけど出来ない、でもそのくせ一族がどうたら。本当にお前ってさボンボンだよね!テラン族の族長出でなかったら確実に死んでるぞ!単なるお人好しだよ!」
「アベル、なんだと!」
「だってさハブーブなんて大層な剣持っているけどさ、これって母ちゃんの剣じゃん!お前は弱いけど娘だったから持てただけでしょ!ホリー様みたいに実力もあってサブーフを持っている事を皆に認められている訳でもない、ただ単に遺産相続じゃん!母ちゃんも泣いてるよ!」
「母さまを馬鹿にしているのか!アベル!」
「いやいや馬鹿にしてないよ、たださ遺産相続して楽して貰えて俺ら平民出からしたら羨ましいと思ってさ!」
「なんだと・・・・アベル!いくらアベルでも言って良い事と悪い事があるぞ!」
「じゃあお前の為に言ってやるよ!ぶっちゃげ話さ、お前の感覚の方が真面だと思ってるよ!
知人や愛する人は勿論人間とは戦えない、それは美徳だよ!この島の感覚の方が狂ってると思うよ!でもテアラリ島では別な話じゃん!それに、この俺たちが生きる世界ではダメだ。
前に風習がって話したけど現在この島の常識は違うんだろ?その状況を打破もしないでウジウジと泣いているしかしてないじゃん!前に俺を誘いに来た時言ってなかったか?やりたい事があるから優勝したい!とかさ。したい事があるのに立ち向かえない、どうしようもないよね?だったらどうする?
答えは簡単さ!
お前が戦士を辞めればいい!このハブーブもホリー様にあげればいい!テラン族も捨てればいい!」
「そんな・・・・・でも何とかしなければいけないのは分っているんだ!」
「ふん、分ってないね!じゃあ身体に教えてやるよ!掛かって来い!自分がどんなに甘っちょろい環境にいたか教えてやるよ!」
俺はハブーブをラウラに投げた、驚くラウラに言ってやった。
「お前さ、前々から思ってたけど、俺の事勘違いしてるよな!」
俺は2剣を抜き、速攻で撃ちかかった!もちろん殺す気で!
「何をする!アベル!」
俺の剣を受け止めて焦る顔をするラウラにまた言ってやった。
「お前さ、俺が単なるお人好しだと思ってるだろ?心の何処かで俺がお前を助けてくれるとか守ってくれるとか思ってるだろ!」
「何を言ってるんだ?アベル・・・・・」
「俺は闘技場の中で散々人を殺してきた!命乞いしたヤツでも平気な顔をして殺してやった!俺が生き残る為だ!生き残って家族に会う為だ!その為ならなんでもした。こんなところで死ねないんだよ!
弱い女のパートナーにされて死んじまう訳にはいかないんだよ!だからラウラ死ねよ!」
ラウラは、俺の剣撃をなんとかハブーブで受け続けるが攻撃に転じる事は出来なかった。
寧ろ、顔からはありありと俺に対する恐怖が浮かび上がっていた。
そして遂に俺の剣撃に耐えきれずハブーブが宙に舞った!
「あ~あ剣を離しちゃった!終わりだ!ラウラ!」
「止めてくれ・・・・・アベル・・・・・」
「止めないよー、悪いけど!俺だって生き残りたいもの!死ねよ!」
「・・・・・・助けて!」
もうまるでテアラリ島3部族など関係なく、そこにはか弱い女がいるだけになってしまった・・・・・
「うーん、どうしようか・・・・・じゃあこうしよう!俺も生き残る事が出来てラウラも生き残る!そんな方法があるけどどうする?しかもテラン族の務めも果たせるオマケ付きだ!」
「・・・・・・なんだそれは?」
俺はラウラの髪の毛を掴んで砂浜を引きずり回してから岩陰まで連れて行った。
「脱げよ!着てる物を全て脱げ!」
「・・・・・なんだって・・・・・アベル」
「だってこれしかないだろ!お前弱いもの!もう戦士じゃないよ!だったら男に媚を売って生きるしかないよ!その方がラウラにとっても楽だと思うぞ!少なくても強いだけの男の子供を産んでテラン族の務めも果たせて皆から喜ばれて精神的には楽だぞ!それにラウラは男好きする身体だから直ぐに種付け志願者も現れるぞ!」
「・・・・・・・」
「一応、俺こう見えてもホリー様に勝った訳だし、その資格は十分すぎるくらいあると思うんだわ!
良かったじゃん強いだけの男の子供を孕めて!分ったら脱げよ!脱いだら尻を上げて俺に乞え!子供を作って下さいってな!言えばラウラは楽になれて、俺は気持ち良くなれる!一挙両得だ!」
俺は、そうラウラに言って着けていたブラの紐をカムシンで切ってやった!
大きな形の綺麗な胸が露わになって一瞬見とれそうになった時だった!
「・・・・・・ふ・ふ・ふ・ふざけるなああ!」
ラウラが俺の一瞬の隙を突いてタックルして俺はふっ飛ばされた!
直ぐに走ってハブーブを拾い上げると俺に斬り掛かって来た!マジで斬り掛かってきた!
「アベル!殺してやる!」
「おっと!やれば出来るじゃん!でもこれじゃあ俺は殺せないなあ!」
そこから十合ほど剣を交えた時、ラウラが俺に左の剣カムシンで受け止めさせた時に俺の腹に衝撃が走った!
ラウラは右手でハブーブを持ったまま左手で俺の腹を殴り態勢がよろめいた瞬間を狙って今度は右の手首を翻して俺の首を狙ってきた!
俺は右のショートソードでなんとか受け切り、一旦後方に逃げたがラウラの突進が止まらず俺は防御に徹するしかなくなった。
「うらああああああ!」
ラウラが猛然と攻撃を仕掛ける中で、やっと槍が飛んできた!マイクの槍だった!そして漸くホリーが俺とラウラの間に入ってくれてマイクがラウラを抑えてくれた!
「はい、そこまで!」
「姉さま、どいてくれ!マイク離せ!」
完全に興奮状態のラウラが暴れる中で俺が言った言葉がラウラの興奮を止める事になった!
「遅いよ!ホリー様もマイクさんも・・・・・もうちょっとで殺されるところだったじゃないですか!」
「え・・・・・・?」
ホリーが笑いながら言ってきた、その時マイクは俺に殺意のある目を向けていた・・・・・・
「ごめんなさいアベルさん!こちらもマイクを止めるのが必死でして!ぶっ殺してやる!とか叫んで!」
「いやマイクさん、本気じゃなかったんで許して下さいよ!」
謝ったけど許して貰えず、こんな事を言われた・・・・・
「お前、絶対に殺すからな・・・・・ラウラお嬢様の身体にあのような事をしやがって・・・・・・これからは安心して寝れるとは思うなよ!」
「・・・・・・ごめんなさい」
「どういう事ですか?姉さま!」
「あのねラウラ、アベルさんがラウラの為に一芝居をしてくださったの!人と戦えるようにと!」
まだ事態が理解出来ないラウラにホリーが事情を話し出した、しかし俺はその間にマイクの殺意ある目に晒されたが・・・・・
「アベル・・・・・ありがとう・・・・・・心配を掛けた」
「いや、俺こそごめんな、発破掛けるつもりだったんだけど調子乗ってお母さんの事まで言って」
「いや、私が悪かったんだ」
「でも、これでレイシアでも他の人でも戦えるでしょう!俺を殺そうとしたんだから!」
「それは言わないでくれ・・・・・アベル悪かった」
「いやいや、あれで良いんだよ!自分の身を守る事をする、生き残ろうとする!目的の為に頑張る!それでいいんだよ!」
「そう言って貰えると助かる・・・・・」
「それからラウラ・・・・・・あれだ・・・・・」
「なんだアベル?」
「その胸を隠してくれるとありがたいんだが・・・・・・・」
それでもラウラは隠そうとしなかった・・・・・それどころか・・・・
「なあアベル・・・・・あの最後の言葉なんだが・・・・・・」
「ん?」
「子供を作る件だ・・・・・・その・・・・・・戦士の誇りを捨てなくても良いなら・・・・・私は良いぞ」
「いや、それは言葉の運びと発破掛ける為に言っただけで・・・・・・・」
でも、まあこれでレイシアとの一戦は、かなり明るい展望を持てたと思う!
まさか、レイシアだって本気のラウラを相手にするとは思っていないだろう!
だが、これで安心は出来ない!他の者たちと同列になっただけの話だから!
アドバイスや誤字脱字等があれば宜しく御願いします。