異世界に転生する面接 (俺編)
俺は何か分らんけどデブ達が列をなす部屋みたいな所にいた。
前のオッサンのデブを見ると汗をかきながら怠そうに、やる気の無さそうに並んでいる。
勿論、俺も怠いし汗だくだ。
しかし先頭のデブを見るとガッツポーズをしながらお辞儀している。
何してんだ?
俺の3つ前のデブになって内容が分って来た。
何かオッサンがいてデブ1人1人に懇切丁寧に面接をしている。
これが異世界への転生か!
「君の条件じゃあ、これが精一杯だね!」
「え、え、な、・・・・なれないんですか?」
「だって君、引きこもり良いとこ3ヶ月でしょう?職業種族選ぼうと思ったら最低10年だよ!
せめて軽トラにでも轢かれてたらねえ、これじゃあ、君、良いとこ村人だよ!」
「な、な、何とかないっすか?」
「そうねえ、これどうだい?ドラゴンなんだけど、いや、誰も来ないような沼のドラゴンなんだけど
君の努力次第では、もしかしたら可愛い女の子の生贄が送られてくるかもね!」
「でも討伐隊みたいなの来たらどうなるんですか?」
「そこは・・・・君努力だよ、努力!」
「・・・・・じゃあ安全牌で村人で」
「はい、決定、君の転生に幸福有れー」
デブは光の玉になって上空へ飛んで消えた。
そして俺の前のオッサンのデブになった。
「貴方の経歴なら好きな希望で良いですよ!引きもり歴29年おまけにトレーラーに轢かれるプレミアム付き!親から巻き上げた金額3200万!言う事無しです!ご苦労様でした!」
「え、え、え、え、え、え、ええーと、ど、ど、ど、どっどんなのあるんで、で、ですか?」
「ご説明しますとですね、
まず魔法世界です、好きな職業好きな種族への転生、これには魔族も含まれます!
苦労は味わいますが、あらゆる種族の可愛い女の子やスタイル抜群の女性が貴方をサポート!
感動・友情・愛情そして欲情が必ず貴方に導かれます!引きこもり10年以上なら大体皆さん、これをご希望されますね!」
「そ、そ、そ、それ以外は?」
「はい、貴方ほどの逸材には特別に何もしなくても最初からハーレムが存在しエッチな事がし放題!
美味いもの食べて好きな時に寝て気が向いたら苦労もせずに修得した最強クラスの剣技・魔法で魔王や王国を討伐!御苦労なされた貴方への我々からの御褒美です!」
「あ、あ、あ、あああのう、スライムってないですか?」
「え、ありますよ・・・・・でもこれ・・・・・」
「じゃ、じゃ、じゃあ、それで!」
「本当に良いんですか?」
「は、はい、スライムって事はやる気が無くても務まりますよね?」
「まあ、どうでも良いなら岩陰でジッとして誰か来たら適当にやり過ごせば・・・・・」
「ス、スス、スライムで!」
オッサンのデブは消えた、実にもったいない。
どうやら異世界転生ってのは引き籠り期間と親からせびった金額によるらしい。
トラックに轢かれていれば尚良しみたいだ!
そして俺の番が来た!
「あのー、俺の希望なんですけど・・・・・・」
「君ね、条件もクリアーしてるしトラックに轢かれてるから言う事は無いんだけどズルしたらダメでしょ!」
「え、ズルってなんですか?」
「君・・・・・リア充だよね!」
「それは絶対ないです!彼女いない歴34年、童貞です!フィギアも大好きです!ニ〇動にもコメントしてました!wwwwwwとか!」
「いやね、何て言ったら良いのかな?君死んだ時幸せな死に方してるよね!」
「幸せな死に方って・・・ナイフで刺されてトラックに轢かれたんですよ!」
「だーから、その時可愛い女の子と一緒に死んでるよね!しかも2人重なるようにして!最低だな君は!」
「そんな・・・・・・でも、あれって不可抗力じゃないですか!」
「じゃあさ、特別に異世界への転生はさせてあげるけど魔法世界なんて豪華な物ないからね!
エルフとかさドワーフとか、そういうのいないから!但し魔獣とか魔物はいるけど、しかも火とか風とか吹くし!」
「そんな・・・・・じゃあ、どうやって魔物相手に生きていけばいいんですか?」
「それは自分で考えてよ!剣とか弓とかはあるからさ!それから生きてた時の知識を使うってのも無しね!あれ反則だから!転生したら科学的知識は消えるけどね」
「なんで?」
「考えてみてよ!変な知識持っていて世界観崩れちゃったらどうするの?
前にいたんだよ!転生した世界で原爆作った奴!500個作って世界の破滅よ!禁止にする前だけどね」
「・・・・・・それは流石にダメですね」
「だろ、だから君も地道に頑張ってスペシャルな武器とか手に入れて一生懸命努力して転生世界を生きて下さい!」
「はい、頑張ります・・・・・」
「でも、君落ち込む事無いぞ!君の希望のビキニアーマーとかに似たエロイ感じのはいるから!」
「本当っすか!」
「おお、嘘は言わないぞ!あ、但し君の場合は機会があれば会う事もあるって感じだけどね!そこは努力次第だよ!」
「それでもいいです!頑張ります!」
「そうか、なんか君には好感持てるよ!」
「ありがとうございます!あのー、素朴な質問あるんですけど良いですか?」
「勿論良いよ!そうやって素直に疑問をぶつける、良い事だよ!」
「異世界転移とかってのもあったりするんですか?」
「俺の管轄外だけどあるよ、でも君の場合は無理かな?」
「どうしてですか?」
「あれは、そこそこ真面目に生きている人が行ける所だから、君みたいなクズはダメだねえ!」
「そうなんですか・・・・・」
「だってさ、考えてごらん!転生ってのは『クズがもう一度やり直したい!』ってことでしょ!
転移ってのはさ『何かしらの理由があって才能を必要とされた!』って事じゃない!
ここに来るようなクズには無理だよ!誰にも必要とされてないもの!」
「ですよねえー」
「でも、本当に君みたいな人は好感が持てるよ!イケるんじゃないかな君なら!」
「そうですか、ありがとうございます!」
「どうせ転生したら、ここに来た事も忘れちゃうから言うけどね、異世界転生したのに、そこで失敗する奴が殆んどなのよ!自分のいた世界で失敗してるのに他の世界で成功する訳ないじゃん!」
「え、そうなんですか?」
「だってさ、ゲームっていうの?勘違いしてる奴が多いのよ!異世界にリセットボタンは無いって!」
「そうですよね・・・・・・ところで貴方は誰なんですか?」
「俺?君たちが神って呼ぶ存在!」
「え、そうなんですか!神様ですか!」
「そうだよ、結構偉いんだよ!」
「だから異世界への割り振りしてるんですね!」
「まあ君達だけじゃないんだけどね、やり直したいって考える奴ら!」
「他はどんな人たちが?」
「あっちを見てごらん!あっちの列!」
よく目を凝らして見てみると半魚人みたいなのとか耳の長いエルフみたいなのが並んでいた!
「あの列さ、別の世界の奴らなんだけど、アイツらも生まれ変わってやり直したいってクチなんだよ!」
「どこの世界にもいるんですね、俺達みたいなの・・・・・」
「ちなみにアイツらが転生する先は、君達のいた世界なんだけどね!」
「へえー、頑張ってほしいですね!」
「おっと時間がオーバーしちゃってるわ!そろそろ行こうか!」
「え、俺も光の玉とかになるんじゃないんですか?」
「いや君の場合は背負っているものがあるから!」
「なんですか?背負っているものって?」
「業ってやつだよ!君さあ、どうして俺がリア充って言ったか分ってる?」
「可愛い女の子と一緒に死んだからですよね?」
「いや、後ろ見てごらん!」
「後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわあああああああああああああああ!」
俺と一緒に死んだ黒髪美少女が俺の後ろで笑ってた、全く気がつかなかった・・・・・・
そりゃ可愛い女の子引き連れたキモオタなんていないよなあ!
「トラックに轢かれた時に、この子の魂の半分が君に着いてきちゃったんだね、俺もこんなの初めてだから!」
「どうしたらいいですか?それに半分って!もう半分は?」
「それは俺にも分らないなあ、でも、この子の善の魂と悪の魂に分かれたみたいだね!」
「で、今いるのは?」
「うーん、どっちだろうね?まあ片方を転生させれば善と悪どちらも転生する事になるから」
「どちらもって魂が二つ一緒になって1人になるって事ですか?それとも善悪別々の2人?」
「どうだろうね、こんなケース初めてだから!
まあ、とりあえずは君を転生させてから、この子を後で転生させるわ!転生先で君の身近な存在になると思うけど面倒見てあげてよ!」
「そんな無責任な・・・・・」
「あ、さっき君と話してる間に、ちょっと彼女にも聞いたら魔法とかそういうの興味ないし分らないらしいから!だから君にも魔法無しの世界に行って貰う事にしたのよ!」
「ん、それって俺に何の罪はないけど厄介ごとを俺に押し付けようって魂胆ですか?」
「そうとも言うね!」
「おいおい、お前神だろう!?だから好感持てるとか言って俺を煽ててたのか!」
「はい、じゃあ頑張って!ここから先は俺は干渉しないから!あ、御詫びに少しはイケメンになるようにしてあげるから!他の人にはしないサービスだぞ!」
「この悪魔があああ!!」
そして俺は異世界に転生した。
歴史の小説を書いていますが、異世界転生(以前も書いてたけど盗作とも思える流れになったので消去しました)の小説も書いてみました。
アドバイス等頂ければありがたいです!