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キモオタの俺を殺そうとした黒髪美少女は異世界では俺の可愛い妹  作者: 伊津吼鵣
第10部 ウルバルト帝国権力争奪編
151/219

卓球ペア 2

これには関係ないのですが、またまたペンネーム変えました。

リアル友から『「破裂の人形」って判る人には直ぐに年齢バレるわ!』

なんて馬鹿にされたからです。

よって『伊津吼鵣イツクライ』とリアル友が考えたペンネームに変えます。

宜しくお願い致します。


※友の考案したペンネームでは画数が最悪らしいので読み方は同じで字を変えました。


6人の少女達が遊んでいる。

大草原にて花を摘んだりママゴトをしたり、意味があるかのように踊ったりと兎に角楽しそうである。


ツォモルリグ、ペルジド、ホルロー、オルツィイ、バヤン。

沙羅がサラーナとして転生し新たな幼馴染となり側近となる運命付られた同齢の女の子達。

其々が母ボルテの信頼を寄せる者達の娘であり、特にツォモルリグは両親が世話役といった身分の低い者であったが彼らの真っ当な誠実さから抜擢されていたのだ。

これにツォモルリグの両親は感謝し、そして後にサラーナを救う事になる。


しかし現在が5才の幼女でも中身は元中学生である。

ママゴトなど幼女が喜ぶ遊びに興じるなどと心配したボルテであったが直ぐに解消された。


何故ならサラーナが一番熱中して興じているからである。

転生前が幼き頃は卓球だけの日々、花を摘んだりママゴトするなどやった経験も無かったから楽しくて仕方なかったのだ。


そんな6人の少女達の遊びを朗らかに眺めつつもボルテには報告が入って来る。


「やはり離しそうにないですな、百鬼夜行は。

それに‥‥。」


「そうか……やはり駄目か。

もっと早くに判っていれば宝物殿にある時に……あいつ……言って来るのが遅すぎる。」


部下の1人がハタンから百鬼夜行を無理矢理に奪おうとしたが突然の胸痛に襲われ、更にハタンの目に睨まれたのである。

それは狂気であり悲しさ、常人が堪えられるものではなく転生者であるボルテすら同じであった。


ボルテ自身も無理矢理にでも奪おうとしたが同じような突然の胸痛とハタンの言葉そして目的の剣である百鬼夜行によって残念したのだ。


「……お前……死にたいらしいな!」


とても2歳とは思えない狂気の言葉に慄き、その幼き手にある百鬼夜行に睨まれた気分に苛まれるのだ。

事実、奪おうとした者達は残念した日の夜に8つの首を持つ龍に襲われ殺される夢を観ていたのだ。


「しかし気色の悪い忌み子と剣だ。

あれと血の繋がりがあると思うと嫌悪しか感じない。」


「誠に‥‥ですが女帝には貴女様しか頼れる者が居ないのも事実。

百鬼夜行は、そう焦らずとも。」


そう部下が言った直後だった。

不意にボルテの言葉がサラーナの耳に届き予想していなかった事を話し始めた。

それは信頼し共犯だったからこそ話す会話だったのだろう。


「正直、私には百鬼夜行など、どうでも良いのだ。

欲しいのはウルバルト帝国皇帝の称号だ。

第1、第2、第4の帝位継承者達が死に一番厄介と思われた第3継承順位のテムルンが幽閉され、姉オヨンを説得したが実妹の私には譲らず第5位の然も忌み子などに譲ると言い出すから仕方なく殺さねばならなかったのだ。

それが、まさか死ぬ間際に女帝継承をするとは‥‥折角、嘉威国から取り寄せ少しずつ仕込んだ毒が意味無かったではないか、あれは高かったのに。」


毒!?

母が前女帝を殺したのか⁉︎

そんな恐怖に襲われたが、それからもボルテと部下の会話が進んだ。


「まぁ、それでも現在ボルテ様は摂政。

ハタンは女帝といっても2歳の幼女。

頼る者無き女帝など機会があれば何時でも殺せます。」


「そうだな、焦らずじっくりとやるか。

ところでボルドはどうしている?

あのような子供に何が出来る筈も無いが不穏な動きはないか?」


「幽閉されているテムルンが病に伏せったのを心配し頻りに訪ねているとか。

警戒する必要など無いでしょう。

只が6歳の子供、もう終わった2人ですから。」


「もう終わったか‥‥最早、警戒する必要も無いか。

ならば今宵もサラーナと母娘だけの会話と食事を供にしようか。

摂政として忙しい日々が続き、あまり2人になれなかったからな。

其方も偶には娘との会話と交流を大切にした方が良いぞ!」


「それは安心して下さい、私達母娘は会話も交流も十分にございますれば。」


そして2人が和やかに笑っていた。


恐ろしげな会話を聞きサラーナの胸には想いが去来した。


自分達母娘は異世界とはいえ再会を果たしたが、その一方で2歳の女帝は実母を殺され、あまつさえ暗殺の危機下にある、それを実行し行なうのは自分の母だ。

母は前の世界から何一つ本質は変わっていなかったのだ。


『沙羅をウルバルト帝国の女帝にせねば!』


裏を返せばNO.1を目指せという意味である。

女帝、それはウルバルト帝国では最高位、母の興味はNo.1。

前の世界で目指せと言われ続けた卓球世界1、それが女帝という称号に変わっただけで何ら変わりはなかったのだ。


この人は世界が変わっても何も変わっていない……。


そんな哀しい感情が出たが、それでも反省はしているのか自分には優しく愛おしく接してくれる。

その夜の事だった。


「お母さん……女帝を殺そうとしているの?」


聞こえた内容を、はっきりと言った。

もし、それで帝位簒奪など愚かで女帝を死に追い遣るような愚かな行為を辞めさせるなら、そう想いを込めて言ってはみたが母は笑顔で返事した。


「必ず皇帝の称号を得てサラーナを皇子そして次期皇帝にしてやる!」


姿形は変わっても、やはり本質は変わっていなかった。


それでも愚かな暗殺などを止める為、言葉を紡ごうとしたが遮られ母が話を紡いだ、それは意外な内容だった。


「沙羅の言いたい事は分かっている。

これが私達母娘だけなら沙羅の意見も聞くが、ウルバルト帝国いやゾンモル草原に暮らす民達の命が掛かっている!

必ず私が皇帝になりハタンを殺さねばならないのだ!」


「ハタンが皇帝の地位にあれば、いずれフェニックスがゾンモル草原を襲う。

絶望感に苛まれたまま転生した私を救ってくれたウルバルト帝国の民達を救いたいのだ。

それが私の役目と宿命なのだから!」


「フェニックス?」


「フェニックスとは、この世界では5つの人が触れてはならいものの1つに数えられる魔獣。

マーヤ大陸中央大森林地帯を縄張りとし不死鳥とも火の鳥とも呼ばれる魔獣。

他の4つは北方には巨大な狼フェンケル、南には小国ベルンが守護する鰐と魚が合体しようなマガー、西には巨大なイカのような姿のリバイアサン、東に神聖ヤマト皇国が守護するヤハタノオロチ、これらが触れてはならない5種と、この世界では恐れられている。

遥か昔、このゾンモル草原には我らのウルバルト帝国の先祖となる大国ゾンモリルと呼ばれた国があった。その彼らをフェニックスが襲い火の海にし滅亡したらしい。

そして、そのフェニックスを呼び寄せ破壊の限りを尽くさせたのがゾンモリルの最後の女帝、ハタンと同じ白髪を持った女帝オルリコだ!

オルリコは人々を恐怖させ死に追いやる存在、人の死を眺める事だけを生きがいにした存在。

だからウルバルト帝国では白髪を持って生まれた子供は『忌み子』と呼ばれ嫌われる。

私とてハタンは姪、現在の立場である摂政という地位さえあればウルバルト帝国という単位だけなら好きにも出来る。

しかし、それではウルバルトいやゾンモル草原の民は守れないのだ!」


母は何を言っているんだ!?と思った時だった。

突然、頭の中に声、然も日本語が響いた。


「だから俺とボルテは協力関係にある、まあ利害の一致だな。」


気が付くとゲルの隅にフードマントに身を覆った不気味な小さな奴がいた。


「フトシ遅いぞ!」


「……すまないボルテ。

今もやってみたがハタンの奴……やはり俺では無理だ。」


「だから言っただろう無理だと!

お前では殺気が強すぎる。」


「ああ、そうだな……ボルテの言う通りだった、悪かった。

だがハタンとは何者だ!?、『業の深き者』の俺でさえハタンに触れた瞬間に気が狂いそうになったぞ!?」


「よく分らんがハタンには得体の知れない物がある。

悪いが、お前が頼んだ百鬼夜行を奪えなんて、とても直ぐには無理だ。」


「そうだな、身を以て知った……急いで貰いたいのはやまやまだが、あれでは仕方ない。

その辺はボルテに任せる。」


「ところでフトシ、依頼の件はやって貰えるんだろうな?」


「その前に……そいつ、本当にボルテの前の世界の娘なのか?

前の世界の母娘が、この世界でも母娘などあり得るのか?」


「沙羅いやサラーナ……今のフトシの言葉を理解したか?」


「今の何、お母さん、変な日本語が頭の中で響いていたけど……!?」


「……転生者には間違いないか……ボルテの頼みだ、ならば依頼を受けようか。」


奇妙な奴が唐突に沙羅の胸に手をあてると語りだした、そして一番知りたかった事を話しだした。


「どうやら、お前は一緒に死んだ奴とは親しい間柄だったようだ。

……しかし、おいボルテ、お前の相棒の娘だったみたいだぞ。」


「フトシ……その『相棒』という言い方は辞めろ、気分が悪い。

不快だ、殺すぞ!


顔を歪ませながらボルテが言ったが気にした様子もなくフトシが話を進め、より不快にさせた。


「だが……これは俺の予測と探った時に微妙に感じた事からだが、もしかしたらだが、お前ら母娘と同じように転生いるかも知れん。

相棒が西方にいるなら、もしかしたら一緒に死んだ奴も西方で再び相棒の娘に転生しているかもな!

東にボルテ母娘と西方には相棒の母娘!」

しかし、この世界でも母娘とはな!

奇妙な話だ、余程ボルテ達とは縁があるのかもな。」


「何だと!?おい、もっと詳しく分らんのか?」


「ここまでが俺には限界だ。

もしかしたら西の長であった『業の深き者』ムツオなら俺よりも歳上だから探れたかもしれんが、もう死んで今は新しい小娘らしいからな、まず無理だろう。」


「そうか……。」


それからボルテとフトシによるサラーナへの話が始まった。

この世界で、これから起こりうる事態、『忌み子』であるハタンがウルバルト帝国の女帝となった以上、確実にフェニックスの到来を呼び込む事態だと何度も刷り込まれたのだ。


勿論、最初は『そんな事なんてあるか!』と考えて当然であったが、否定すれば裏を返すように何度も問いかけ深層心理に刷り込んでいく。

まるで、そこに事態が差し迫っている。

そんな感じに何度も何度も刷り込み思考を奪っていく。


この行為自体がボルテもフトシから受けた事だが、転生者という事実と『相棒』の存在をチラつかせながら訴えるから、やがて信じていった。

サラーナの場合なら、西方にいる過去の世界で一緒に死んだ者を使ってだ。


何処かの世界、何処かの日本、何処かの犯罪と同じやり口だった。


少しの真実と大袈裟な嘘を刷り込まれ、やがて沙羅いやサラーナは頷いた、それを真実だと信じたのだ。


そして7日後、何者かの暗闇に紛れての急襲よってボルテが殺された。

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