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キモオタの俺を殺そうとした黒髪美少女は異世界では俺の可愛い妹  作者: 伊津吼鵣
第8部 カルム王国旧領奪還編
117/219

御伽話

アメーリアを救い出し意気揚々とエスポワール帝国軍がアニータらのカルネの街へと進軍を続ける。


あれから散漫的なアニータらのゲリラ攻撃が多数あり、その都度の撃退に誰もが最早勝利は見えたと思った。

だが俺には敵の動きが単調すぎ、どうも作戦は無く単に時間稼ぎといった行動としか感じられなかった。


それが証拠にゲリラに出て来るのは何処かの街や村で捕まえて来たような者達であり簡単に撃退出来て、然も呼び掛ければ直ぐに降伏した。

しかし1人1人に対応する手間を取らされ、その度にエスポワール帝国軍の進軍が止まった。


時間稼ぎにやっている、そう感じ警戒をしながらもエスポワール帝国は、カルネの街の3KM前にて進軍を停めたのだ


「一応は使者を送り出してみようと思う。これで返答無くばアニータらに総攻撃を開始する。」


アルベルタが、そう言って使者の役目を帯びたリーゼが単騎にてカルネの街に入ろうと門前に立った時だった。


「あれは何だ?」


誰とも無く騒ぎ出し、各々にカルネの向こうに見える海を指差している。


俺も釣られて見たが大多数の何かが海面を蠢めいて次々とカルネの街に向かっている。


目を凝らし見てみると、それは丸太⁉︎

無数の丸太に何が乗ってカルネの街に向かっているのだ。

そして上陸して行き、2時間後カルネの街から15000人程の美しい雪のような肌の女だらけの軍勢が出て来た。


その15000人程の軍勢は遥かに数に勝るエスポワール帝国軍を怖れる様子も見せずに其々が手斧と丸い盾を装備し、その格好は見た事のある装備とそっくりだった。

はっきり言えばテアラリ島3部族のビキニアーマーだ。

違いは首回りに獣の毛皮を巻き、前腕と下腿にも毛皮を装着させていた。


なんだ、あれは?


エスポワール帝国軍の誰もが思った時、その軍勢から使者らしき可愛らしい女が1人だけで馬に乗り堂々とやって来た。

何故か、この女だけは他の奴らと違い身体の線がはっきりする黒皮のミニスカートタイプのワンピースに短めの黒皮のブーツ、頭には赤のバンダナを巻きレイピアと短剣サクルを腰の剣ベルトに装備していた。


「我らは最北方のバイエモ島から来たバイエモ島3部族である。

アニータ・カルム様からの援軍要請により参上し其方達と相見舞える事となった!

各々方、戦さ準備は宜しいか⁉︎

武器の点検はお済みか⁉︎

体調を崩してなどおられませんか⁉︎

準備が宜しければ我ら3部族の族長達より口上を行いたい!宜しいか?」

何故か俺達を気遣い走り回っている。


全く理解不可解な使者の行動にアルベルタ自ら質問する事となった。


「使者殿、落ち着かれよ・・・・・取りあえずだ、其方らバイエモ島とかいう地から来たというのか⁉︎」


「如何にも!」


「何故だ?すまないが我らは其方達の存在を今初めて知った。

それに、この地は縁もゆかりもない土地であり我らとは争う理由もなかろう!?」


「カルム王国正統継承者アニータ・カルム様がカルム王国の正義を守る為力を貸してくれと頼んで来られた、我らの義侠心に鳴り響くものを感じた!

然も強い男をくれると言ったのだ!

我らは強い種を求める部族であるが故に今回は3部族合同で4ヵ月もかけて丸太ボートでやって来たのだ!」


まるで何処かで聞いたような話だ・・・・・


「すまないが状況が吞み込めぬ・・・・・もっと詳しく話をしてくれぬだろうか!」


困惑したアルベルタが使者に言うとあっさりと俺達の陣まで来て語り出した。


聞くと5年前に大グレーデン王国の漁師に発見されるまで存在すら知れなかった戦闘民族らしく、それまでは強い男を求め各部族で強く体格の良い男を奪い合っていた3部族らしい。

まるで何処かで聞いたような話だ・・・・・


「大グレーデンの奴ら・・・・・黙っていやがったのか!」


商売上、北ルートを確保し大グレーデン王国とも取引のあるスノー・ローゼオが怒り気味で呟くと使者が大声で話し始めた。


「大グレーデン王国には我らの存在を喋ったら国を襲うと脅してあったのだ!彼らが悪いわけではない。」


そう使者は言うと聞いてもいないのにベラベラと自慢げに話し始めた。


嫌な予感と予想が付いた。


要は大グレーデン王国の漁民がバイエモ島を発見した後、領土にしようと大軍勢を繰り出してきたが逆に撃退し恐れられる存在になっていたのだ。

まるでテアラリ島3部族に対するイグナイト帝国のような関係である。


「下手にバイエモ島の存在を知られて、また弱い奴らが来たら面倒だからな!だから黙ってろと言ったらしいのだ!」


だが、それなら極秘裏のバイエモ島の存在をアニータらは知っているのだ?

不自然すぎる・・・・・


俺の疑問をアルベルタも思ったらしく使者に聞くと笑いながら答えた。


「我らの族長達が大グレーデン王国に行った時に偶々おられたアニータ・カルム様の重臣の方と親しくなりバイエモ島に御招待したのだ!」


要は自分達で喋ったのか、口の軽さまでテアラリ島3部族に似ている・・・・・


ふと、その時思った。


そこまでテアラリ島3部族と似ているなら・・・・・まさかフォースとか全員使えたりするのではないのか・・・・・


「ちょっと質問良いですか、もしかして全員がフォースを使えたりするとか・・・・・・?」


遠慮気味に使者に聞くと俺を見た瞬間に嫌そうな顔になりながらも答えてくれた。


「全員が使えるぞ、使えない方が珍しいくらいだ!しかし何故だ・・・・・お前ムカつく!」


ムカつくって・・・・・別に悪い事などしてはいないのだが・・・・・


しかし、これでアニータ側の目的が解った。


バイエモ島3部族にエスポワール帝国を相手にして200年前にイグナイト帝国にテアラリ島3部族がやった事を再現させるつもりだ。

彼女達が到着するまでの時間稼ぎだったのか!

そして、そういう保障があったからイグナイト帝国と手切れにしたのか!


いくらエスポワール帝国が数に勝り勢いに乗っていたとしても全員がフォースを使える15000人を相手に戦ったら勝ったとしても大打撃になり負ければ皆殺しにされる、現にテアラリ島3部族が80000人のイグナイト帝国と戦った時は半数以上殺戮したのだから。


これはバイエモ島3部族との戦を何しても避けなければとんでもない事になる・・・・・・


必死で回避手段を考える、すぐに思い付いた。


アルベルタに進言し俺をバイエモ島3部族への使者にして貰い、バイエモ島3部族の使者にも1時間ばかり戦を待ってくれとバイエモ島3部族の族長達に伝えて貰う事を頼んだ。


「何故1時間も待たねばならないのだ!?」


そう厳めしい顔を浮かべる使者に俺は言った、はっきり言って挑発だ。


「なんだ1時間くらいの余裕もないのか?もしかして怖いのか!?君達の部族って弱いの?誇りも無いのか?」


「なんだと!1時間くらい待ってやる、族長達にも伝えておく!」


そう言って俺の思惑とおりに怒りながら帰って行った。


それから俺はラウラ、カミラ、レイシアを呼び事情を話し謝った。

俺の考えた事には彼女達の命が必要なのだ。


「すまない、3人の命を賭けてくれ!」


だが3人は命を賭ける件には平気な顔をしているがレイシアを代表にして質問はして来た。


「アベルさん、確かにバイエモ島って言ったんですか?」


「うん、確かに・・・・・知ってるのバイエモ島!?」


「いや・・・・・テアラリ島に昔から伝わる『3人のアホのブサイク戦士』って御伽話があって、そのブサイク戦士達が最後に向かった島がバイエモ島って名前なんですけど本当に存在したのか!」


「どんな御伽話?」


レイシアが話してくれたが1000年以上前に、とある島があり平和に暮らす6人の女がいた。

6人うち3人は精強で美しく優れたスタイルを持っていたが、残りの3人は絶望的に弱く然も自殺したくなるようなブサイク度合いだった。

ある時、彼女らが住む島に地震が発生し海に沈み始めた。

精強で美しい3人は勇気を出し行く先困難な南へと繰り出し、そして多くの魔物達と勇敢に戦った末に美しい島を発見したのだ、それがテアラリ島であり、その3人が後にテラン・テアナ・テリクの族長達になり誇り高く繁栄して行く事になった。

だが勇気の無かった3人はアホでも行ける北に向かったはずなのに絶望的な島しか発見できず、そこで悲惨な生活を余儀なくされ生きて行く事になった、その島がバイエモ島である。


そんな御伽話だった。


「じゃあ元は同じ種族だったのか?」


「やめて下さいよ!そんな『ブサイク戦士』と同じだなんて!」


思いっ切りレイシアは否定しラウラも最高に嫌そうな顔をしカミラは同じ種族と俺に言われた事を怒っていた。


「まあ、それは置いておいて兎に角だ、俺と一緒にバイエモ族の陣まで行って彼女達を挑発してくれ!もし俺の予想が当たっていたら乗って来るはずだ、それで上手くいけば彼女達は退くはずだ!」


そして俺達はバイエモ島の陣まで向かったが陣に向かう途中でもバイエモ島3部族の戦士達が奇妙な目でテアラリ島3部族の3人を見ている。


陣に着くと、先程の使者と3人の族長達らしき女とお付であろうか4人の女達がいた。


「サーガ・バインだ、バイン族を仕切る者だ。」


「オーサ・バエクだ、バエク族を仕切る者だ。」


「カイヤ・バモナだ、バモナ族を仕切る者だ。」


それぞれが礼儀正しく対応してくれたがテアラリ島3部族の3人を見て、やはり奇妙な顔を浮かべた。


「その方ら我らと似たような格好だが、どこの者達だ?」


聞かれた3人が、またレイシアを代表に誇らしげに自慢するように胸を張って言った。


「我らは『テアラリ島3部族!』の者です!」


そう言うと周りからヒソヒソと小声が聞こえて来た。


テアラリ島って本当にあったのか!


あの御伽話の・・・・・


あれが・・・・・


その小声は明らかに馬鹿にしたような感じがした、仕方が無いので聞いてみた。


「実は我らのバイエモ島に伝わる『3人のボケのブス戦士』という御伽話があってなあ・・・・・」


代表しサーガ・バインが話してくれたが1000年以上前に、とある島があり平和に暮らす6人の女がいた。

6人うち3人は精強で美しく優れたスタイルを持っていたが、残りの3人は絶望的に弱く然も自殺したくなるようなブス度合いだった。

ある時、彼女らが住む島に地震が発生し海に沈み始めた。

精強で美しい3人は勇気を出し行く先困難な北へと繰り出し、そして多くの魔物達と勇敢に戦った末に美しい島を発見したのだ、それがバイエモ島であり、その3人が後にバイン・バエク・バモナの族長達になり誇り高く繁栄して行く事になった。

だが勇気の無かった3人はボケでも行ける南に向かったはずなのに絶望的な島しか発見できず、そこで悲惨な生活を余儀なくされ生きて行く事になった、その島がテアラリ島である。


「そうか、お前ら『3人のボケのブス戦士』の子孫共か!可哀想に・・・・・」


お付であろう4人の内の3人がテアラリ島3部族の3人を見て笑い出した・・・・・・

早速だがカミラがキレた・・・・・


「なんだと!ぶっ殺すぞ、お前らこそ『3人のアホのブサイク戦士』の子孫共のクセに!」


「ぶっ殺すだと、お前等こそ殺すぞ!」


そう叫びあって計6人が武器を取り出し、外にいたバイエモ島3部族の他の者達もテアラリ島3部族の3人を囲もうとした時、バイエモ島3部族の族長達が叫んだ。


「やめろ、それでも誇り高きバイエモ島3部族の戦士達か!多数で少数を相手に戦うなど、お前らに誇りは無いのか!」


やはり、この辺はテアラリ島3部族と同じかと思っていると、カイヤ・バモナが聞いて来た。


「ところで、その『3人のアホのブサイク戦士』とは何だ?」


仕方なくレイシアから聞いたとおりに話した、やはりだが激怒して来た・・・・・・


「なんだと!それは我らの祖先を馬鹿にしているではないか!」


「でも、そちらもテアラリ島を馬鹿にしている訳ですからお互い様かと・・・・・」


「我らは誇り高きバイエモ島3部族だぞ!祖先が馬鹿にされて黙ってられるか!」


当初、俺が考えた事はテアラリ島3部族の3人にバイエモ島3部族を馬鹿にさせて族長達3人を殺させようと思っていた。

そうすれば誇りを重んじる以上は少数を多数で襲う事も出来ず退く事になると思っていた、それで戦は回避できると。

だが違う形にはなったが3人の族長達が激怒しテアラリ島3部族に今にも襲いかかろうとし巧く行ったと思っている時だった。


あの使者として来た女が口を開いたのだ。


「3人の族長達よ、こいつ等テアラリ島3部族とかいうのの族長達ですか?」


「どういう意味だ、フェリス?」


「いや、こいつらがテアラリ島3部族の下っ端なら族長達が戦って勝っても、それは勝利ではありませんよ。格を対等にしないと、ただの弱い者虐めになりますよ!」


「なるほど・・・・・」


くそ・・・・・邪魔された。


「お前等、テアラリ島3部族での身分は何だ?」


聞かれた3人も正直にテアラリ島3部族族長達の妹だと答えるとバイエモ島3部族の族長達が笑い出したのだ。


「なんだ丁度良いではないか!エンマ、サラ、ティーナ、我らの妹達であるお前らが祖先の名誉とバイエモ島3部族の誇りを守る為戦え!」


妹達と呼ばれたお付だと思っていた4人の内の3人が頭を下げると残った1人が残念そうな声を出した。


「私1人が何もなしか・・・・・気が利かないんだな、さすがは『3人のボケのブス戦士』の子孫共だ・・・・」


「なんだと・・・・・もう1人いるぞ、お前なんかあっさりと殺せる『テアラリ島3部族最強』が!」


キレたレイシアが言ってから、しまった・・・・という顔をしたが遅かった・・・・・


「では、その最強とやらも連れて来い、その方がどちらの祖先の為にもなるだろうからな!」


ソニア可哀想・・・・・と思った時だった。

また、使者のフェリスと呼ばれた女が口を開いたのだ。


「3人の族長達よ・・・・・それでは4対4で、こちらが勝つでしょうが、万が一にも勝敗が縺れた場合を考えると複雑になりますが、ですから後1人いるかと。」


そう言われても、こちらには4人しかいないのだと思っていると、またまたフェリスが口を開いた。


「私が、この男と戦いましょう。なんかムカつくから、コイツ!」


何故、ムカつかれているか全く分からないが俺まで戦う事になった。


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