プロローグ
俺は10階建てビルの屋上にいた。
どうしてって?
飛び降りるからに決まってるじゃないか。
はっきり言えば自殺ってのをするつもりだ。
・・・・・つもりだ。
・・・・・・やっぱり怖ええええ。
下にいる人間が豆粒じゃん!
・・・・・こんなの駄目だ
止めた、日を改めよう!
月が出ない日は縁起が悪いって死んだ婆ちゃんが言ってた!
うん、きっと言ってた・・・・・はずだ。
それに異世界に転生するにはトラックに轢かれなければならないルールもある!
異世界転生出来なくちゃ死ぬ意味がない!
(可愛い女の子もしくは将来イケメン確定の男の子に転生が希望、魔法が使えれば尚良し!)
最悪でも異世界転移はしたい!
(出来れば、やってたネトゲみたいなのを希望、俺様最強がしたい!)
もうどっちでも良いから巨乳ビキニアーマー姉さんのいる世界ならどこでもいい!
俺の名は末松明彦34歳、独身、つい半年前までは『ヒキニート』ってやつだった。
両親に騙されて無理矢理就職したのは良いが、そこはブラック!
残業なんて当たり前!
おまけに歩合制だからキモオタの俺が営業しても売れるはずも無く途方に暮れた。
あの暖かな俺の城(実家MYROOM)に逃げるにも、これまた結婚間近の妹の策略に嵌まり
家を追い出された、新婚生活に悪影響を及ぼすが原因だ。
俺と縁を切りたいらしい・・・・・
帰れるのは親父が借りてきたワンルームだけだ。
あそこには帰りたくなかった。
一度、腹が減ったので実家と勘違いして「床ドン」したら下の階のヤバそうなオッサンに
ピンポン連打されて開けたら謝る前に殴られた。
隣りの部屋の派手な兄ちゃんが毎日女を連れ込んでセッ〇スしてたのでオ〇ニーTIMEだったけど
飽きたから「壁ドン」したらピンポン連打されて開けたら謝る前に殴られた。
それからは俺の自宅はネカフエになった。
あんな凶暴な奴らのいるワンルームには帰らない。
仕事も辞めた!ってか行かなかったらクビになってた。
それからは夜9時から朝8時までネカフエで漫画とアニメとネットの充実生活!
昼間は健康的に公園のベンチで昼寝。
楽しいなああああああああああああ!
・・・・・・でも1ヶ月持たずして財布の中は64円。
・・・・・・俺の人生終了。
人生やり直す事が出来たら・・・・・
なんで、こんなことになったんだ。
よくある高校生活ドロップアウトだろう?
単に働かなかっただけじゃん。
引き籠ってただけじゃん。
人畜無害だったろ?
そりゃ親には迷惑かけたけど。
どうして俺は、こんなにツイてないんだ。
そうだ異世界だ!異世界に行こう!
今流行の異世界でやり直そう!
でも自殺しようと思ったけど出来なかった。
やっぱりリアルは甘くないなあ・・・・・・飛び降りたら痛そうだし・・・・
第一、異世界なんてあるわけないよな・・・・・・
そんな都合が良いのあるわけないよな・・・・・
トボトボと歩いて誰もいない公園へ・・・・今日の俺のベッド(ベンチ)に向かう。
ベットは固い・・・・・・それにちょっと蚊が多い。
最悪だなあ、俺、このままヒキニートからホームレスか・・・・・
これも、ある意味転生かぁ、最悪・・・・・ジョブチェンジかな・・・・
なんて考えてたら叫び声が聞こえた!
何事だ!と思って声の方に行くと、中年らしきオッサンが15・6歳位の黒髪の美少女に思いっきり
ナイフで刺されてた、刺しまくられていた!
美少女は何やら叫んでた。
「この野郎、金誤魔化しやがって!死ねええええ!」
どうやらオッサンはピクッともしないところを見ると、もう絶命しているようだ。
巻きこまれては敵わないから逃げよう!
どうせ金とか言ってるところみると援交の縺れかなにかだろう!
俺には関係ないや!
だが、神などいないとの現実が俺には理解出来る瞬間が訪れた。
俺は、そこに用意されていたような空き瓶に躓いて黒髪美少女に居場所を告げるかのような派手な音を立てて転んだ!
「おいデブ、お前見たなああ!」
俺の前に立ちふさがった正面から見る黒髪美少女は俺が過去に愛した嫁(二次元)達のように可愛いが
オッサンの血を全身に浴びて怖さ1000倍になっている!
「お前も死ねえええ!」
いきなり俺の腹に黒髪美少女のナイフが刺さった!
痛てええええー
だが俺のゴールドクロス(脂肪)が守ってくれたようで致命傷は避けた。
殺される!逃げなきゃ殺される!
美少女を力任せに振り払い逃げた、確か公園の入り口から100m程の所にポリボックスがあったはずだ、
そこまで逃げれば!
だが、今度はゴールドクロスとヒキニートだった事で得た体重(110kg)という名の大いなる経験値が
俺の負荷になった。
上手く走れない・・・・足が上がらない、息も上がって来た・・・・
おまけに腹から血が出てるから体力が奪われる。
それでも必死に逃げた、ポリボックスまで行けば助かる!
だが悲しいかな黒髪美少女は陸上部に所属していたようで凄い速さで追い掛けて来て俺の背中を次々と刺した!
刺されても逃げる俺、刺しながら追い掛ける黒髪美少女!
やっとの事で公園の入り口を出た!
もうちょっとだ!
と思った瞬間、キラっと光りビビビーーーーと音が聞こえて、同時に黒髪美少女の呟いた声も聞こえた。
「ウソ・・・・・」
そんな黒髪美少女の向いた方向を俺も見るとトラックが突っ込んで来て俺達はしっかりと轢かれ、奇しくも俺が望んだ状況になった。
トラックの車輪で俺達が合体して押しつぶされた。
童貞なのにある意味黒髪美少女と身体を合わせた事になった、最悪・・・・・・そして死んだ。