幕間 しょうねんとしょうじょ 1
「うぅぅっ、うえぇぇぇ」
(泣かないで)
「だって、だっ、てっ…うあぁぁぁぁ」
(ほら、泣かないで)
殺風景な部屋。
座り込む少女。
その傍らに浮く光の玉。
「ご、ごめ、ごっ…ごめん、なっ、さい…」
泣きじゃくる少女。
光の玉に表情はない。
(謝らないで)
「だ、ってっ、だって…だっ、て」
(いいじゃない、しょせん一度死んだ身だよ)
「そ、んなっ、いいっかたっ、しっ、ないで…うぅぅぅぅぇぇ」
嗚咽が響く。
座り込んだ少女の膝に涙が落ちる。
ストッキングに染みた涙は、大きなシミとなっていた。
(うーん、ね、でも実際そうじゃない? 一度死んだ僕が今生きている時点で儲けものなんだし、さ)
「うぅぅぅ、うえぇぇぇん」
(後悔なんてしてないよ)
「ゃ、めてっ、やめてぇ」
(君を守って死んだ一度目も)
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
(また、君を守って死ねる二度目も、さ)
「うぅぅ、うぅっ、うぇぇ、うぇぇぇん」
(だから、お願い、泣かないで)
「ごめ、んなさいっ、わたし、わたし」
(泣かないで、死に行く僕を、笑って、見送ってほしいんだ)
「うぁぁぁん、うえぇぇん、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい」
(ほら、ははっ、しかも今度は君だけじゃない。
僕は人類を救っちゃうみたいだぜ?
まさか自分がヒーローになるなんて、思ってもみなかったけどね)
「うぅ、うぅぅっ」
(だから、笑ってよ)
「うぅぅ…」
(笑って、お願いだから、僕の背中を押してほしい)
「うぅっ、ぐすっ、うぅぅっ」
(死ぬのはやっぱり怖いから)
「うぅぅぅぅぅっ」
(もう一回死ぬのは、最初と違って、知ってるから)
「ごめっ、ごっめんっ、なさいっ」
(だから、誇らしいんだけど、やっぱり、怖いんだ)
「うぅ、うぅぅ」
(だからお願い。
僕の背を押して。
僕に言って。
君が、大好きな君が僕に、言ってくれ)
「いやぁ…いやぁぁぁ」
(君の為に死んでくれ、と。
君が僕に言ってくれ、みさき)
嗚咽の響く部屋。
遥か彼方、空より絶望が落ちる。




