◆中央者への書簡
いと高貴なる、いと強大なる中央者(王)
守は御心により、今生においてあまたの人々を導きかつ人々に至福を授ける為に、中央に座す王者が最も高潔寛大な人物であるように命じられました。……
我らの中央者が守から数々の外次元という広大無窮の新天地を委ね与えられましたのは、その地に住む人々に我が守に帰依させ、今生、後生にて彼らに至福の生活を送らせるために他なりません。にもかかわらず、外次元に住む人々は想像を絶する暴力、抑圧、収奪、虐殺を蒙ってまいりました。わたしはHF次元、欧州地域の開拓領土で実際にそれらを目撃してまいりました。……
外次元人を統治し、帰依と救済を任務とする総督たちは、美辞麗句を並べながら、実際にはその使命をないがしろにし、無慈悲な虐待で何百万人を死に至らしめ、日々彼らを絶滅に追いやっています。倶霊部天と称する人口稠密で高度に都市化され、文化的にも馬鈴次元の先端に位置する島国は、現在では人口二千人にも満たない廃墟と化しているといった有様です。彼等は、私欲に溺れ、中央者に仕えるという口実の元に守を冒涜し、中央者の財産を破壊しています。……
さらに、AO次元においても、すでに第一陣開拓軍によって地元民の大規模な殺戮がなされ、人のみならず社会、文化そのものが葬り去られつつあるとの確実な情報も得ております。……
守を冒涜するかのごとき所業がこれ以上繰り返されることなきよう、第三陣開拓軍にて総督および司令官の行動をつぶさに監視、報告いたす所存でございます。非道の所業がございましたら、暴悪の者どもを断固としてご処断いただきますよう、切にお願い申し上げます。
われらが中央者が道義を愛し、尊ばれるゆえに守は外次元をおあたえになりました。偉大なる守よ、われわれが救われる為に、中央者の栄光に輝く日常と国家に久遠に光栄がもたらされますよう。
アオイ。
――パンフィロロドリゴ使の書簡




