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1話 2
(テレビ)
あれは夜中の2時辺りだった。
ガシャンと金属の物音がして、リビングにある犬の入っている柵から、おぼつかない足取りで一匹の犬が出てきた。
犬は体を何度も倒しながら、立ち上がっては進みを繰り返し、そして最後には私の前で力尽きた。
最後の最後まで手を前へ向けて、進もうとしていた。
私が人であれば泣いてやることもできるだろう
だが、テレビの私は感情なくただ犬を見ているしかできなかった。
きっとコイツは幸せだったに違いない。
奥さんにも旦那さんにも可愛がられ、部屋を走り回っていた。
晩年こそおとなしくなったが、それ以外は騒がしい犬だった。
ご冥福をお祈りする。




