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四話 3
(窓際の男子)
女子の視線がこっちに向いたのに気付いて、追いやりられるように窓の外を見る。
やっとうるさい男子が消えたと、思っていたのに代わりに女子の話が目立ってしまった。
先ほどから聞こえてくるどの話にも
共感できることがなかった。
―あの人カッコいいんだよ
―やっぱり店入ったら男子に払ってほしいよね
―どうして私には彼氏できないの?
欲望の塊かと思った。
さっき出ていった男子もそうだが
みんな集団で何かしたがる。ご飯食べるときも、トイレに行くときでさえ一人ではない。ワイワイがやがや、その喧騒が迷惑だということにさえも、知らないのだろう。
そんなこと何が楽しいのか、やはり一人は至高だ。誰にも気を使わず、俺のための俺の時間を作れるだから。
外にある桜の木には、葉緑がついていて季節の移り変わりを感じる。
この変化に気づけたのはクラスで何人が意識して見ているだろう。
そう考えると、なんだかもの悲しくなった。
友情も恋愛も大事だとは思わない。
一人で何か成し遂げる力、それを養うことが
学生生活でやることだ。
周りはどう考えるかわからないが
俺はそう思う
四話 完