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distortion.  作者: kou∞
6/12

容疑者5、ナグモカオリ

なんでこうなってしまったのでしょう。



犯人は私と言っても過言ではありません。



翔平くんの隣を歩いているときずっとそう思っていました。



犯人は私。



雄大くんを殺してなくても犯人は私。



そう、私がこんなところにみんなを連れて来たから、、、



たっくんの事が好きなのに、、、



自分に嘘をついたからいけないのです。



私が悪いんです。



たっくん。



私だけがそう呼んでいます。



私と彼は幼なじみです。



ずっと隣に当たり前のようにいた。



大切さに気がつかずにいた。



大切さ。



同じ高校に入り、私は女友達が沢山でき、たっくんにも沢山男友達ができました。



だから、交わることは少なくなりました。



それでも家は隣ですし、変わらず仲良く出来ると思っていました。



しかし、仲良くなんて出来ません。



男と女なのです。



私の一方的な想いだったのです。


そこで気付きました。



私はたっくんが好きなんだって。



ある日たっくんから話掛けられました。



「加織。今度遊びに行かないか?」



嬉しかった。



「いいよ!」



もちろん即答しました。



でも、、、



「お前の友人の田城さんって子も誘ってくれないか?」



「え?」



ショックを受けました。



その夜、泣いて泣いて泣きました。



それでも、諦められない。



でも、、、つみっきーの気持ちも大事にしたい。



結局、日向くんと合わせて4人で遊びに行きました。



同じ人を好きになった私達は親友になりました。



ライバルだけど、、、それでも、大親友。



でも、たっくんの事が好きということは内緒。



そんな私達とユイちゃんと真姫っち。



去年から一緒のクラスです。



たっくんたちも去年から同じクラスらしく、たっくんと私の繋がりでみんな仲良くなり、それぞれがそれぞれを好きになりました。



そして、今日。です。



それで、今。です。



雄大くんが死んだことには冷静だったたっくんがつみっきーが倒れた時には凄く慌てました。



あんなたっくんは初めてです。



絶望的な差です。



私は結局つみっきーに負けっぱなしなのです。



大敗です。



清々しいくらいです



たっくんが幸せになるんなら、私は幼なじみというだけで構いません。



でも、涙が溢れてきます。



日向くんに告白するなんて嘘をつきました。



つみっきーが返事をもらったあとに考えようとしてました。



そんな卑怯な私が初めから勝てるわけなどないのです。



「重たい表情だな、琢磨のことを聞いたから怒ったのか?」



不意に翔平くんに言われました。


「ち、違います!自分の不甲斐なさに悲しくなったんです。」



そう。悲しくなりました。



苛立ちなんて感じません。



雄大くんが死に犯人はわからず、私は恋愛で惨敗しました。



苛立ちなんて感じる余地なんてないのです。



「お前、悩みすぎじゃねーか?」



翔平くんの言葉に驚きます。



「え?」



「どーせ紡樹が琢磨のこと好きとか言ったから、自分の感情を隠してんだろ?」



その言葉に冷や汗が出るのを感じました。



何故、そんな話を今この状況で?



「お前はそんな人間だってわかるぜ。俺は気の利いたことなんて言えねぇけどよ、お前は好きって言っても良いんだよ。」



えっ?



言えませんでした。



表情を読んでくれたのか翔平くんは続けてくれました。



「人間って恋愛するだろ?異性やはたまた同性にも。」



「うん」



これには声が出ました。



「時には家族にも。なぁ?」



「え、、、」



何が言いたいのかわかりませんでした。



「今話すべきことじゃねぇよな。関係ない話だ。」



どういう意味かわかりません。



「気にするな」



それで食堂につきました。



食堂にはやはりはりつめた空気。



つみっきーはたっくんの膝枕で苦しそうにしている。



羨ましい。



けど、きっと彼女はそれどころじゃないはず。



急いで治療し、なんとかおさまりました。



良かった。



走るなとたっくんは言っていたので走ることが出来ず、長くつらい思いをさせてしまったことにちょっと罪悪感を感じます。



ピリピリと痛い空気の中、私は一人思います。



思うというか願望です。



この中に犯人はいない。と


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