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distortion.  作者: kou∞
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エピローグ前編 サクラダタクマ

さて、また僕で申し訳ない。



けれど、この先を語るには僕が良い。



いや、僕しか出来ないと思う。



まずは、、、



間崎さんについて。



南雲光彦が捕まって二週間の頃。



「真姫、、、マジで転校しちゃうのか?」



日向が言う



「うん。私、ここじゃダメみたい」



「俺のせいで、、、大事なものを、、、」



「時雨は悪くないわ。もちろんかおりんもね。」



「ごめんなさい、、、」



悲しい別れだった。



悲しすぎる。



「雄大の願いはみんなが仲良くすることよ。」



最後の言葉、最後の笑顔だった。



転校先で自殺したことをみんなに言うのは本当に辛かった。



遺書には雄大への想いと、僕らへの感謝が書かれていた。



「愛してた。彼の事を忘れられない。生きていても楽しくないの。そして、楽しみたくないの。忘れたくないの、彼を。」



一生この言葉を忘れない。



次は翔平かな



アイツは雄大の墓にほぼ毎日行っていた。



そして、彼女との絆が深まったらしい。



「誰も失いたくない。そんな気持ちなんだ。」



アイツの彼女は事件後から、凄く幸せな顔をしている。



本当に大事にしているんだろう。



さらに、アイツは、、、



「マジで言ってんの?」



僕は言う。



「あぁ。警察官になる。」



「そっか、、、」



「お前を越すからな。天才探偵」



「あぁ挑むところだ」



僕が今までいろんな事件を解決してきた事はもう隠せなかった。


「勉強頑張れ。」



「お前もな。」



こんな会話をしてから最近はあんまりしゃべってない。



多分、僕らと話すと決心が揺らぎそうになるんだろう。



きっと翔平とは笑える日々がくる。



そう信じて、願っている。



荒木さんと時雨。



時雨は全て自分の所為と責めていたが、何も悪いことをしてない。


荒木さんはいつも時雨に寄り添う。



悲しみを隠すように。



二人は付き合ってない。



付き合うという境界線を越してしまったらいけないと思っているんだろう。



自分達だけが幸せになるというのがいけないって、、、



「付き合っちゃえよ。」



日向がチャラチャラした感じでいう。



「無理だよ、、、」



泣きそうな時雨



「時雨、何を悩んでるんだ。お前の所為で雄大や真姫が死んだとでも?」



僕はこんな時に優しい言葉をかけられない。



欠点だと思う。



「あぁ俺の所為だ!」



「じゃ、そう思うんなら、アイツらが創ることの出来なかった幸せな家庭をつくれよ!」



僕はアツい人間だ。



言った後に恥ずかしくなる。



「、、、いいのかな?俺らだけが幸せになっても、、、」



「それがアイツの願いでもあったんじゃないのか?」



「、、、わかんない。」



「まぁ、あとは自分次第だ。」



「あぁ、、、わかった。」



この6年後に二人が結婚する。



罪を忘れない。



雄大を忘れない。



真姫を忘れない。



愛を忘れない。



それをモットーにしている二人が凄く幸せな家庭を築けないわけがない



次は南雲光彦か、、、



彼は宣言通り、捕まって一ヶ月も経たないうちに死んだ。



それだけで十分。



この事件を題材に最後の作品を書いた。



ベストセラーになった。



僕は悲しい。



僕らの辛い経験を興味本位で買う人がいて、面白いと読むわけだろう?



なんて無責任なんだよ。



もう、無力感さえ覚える



許せない。



故に僕はインターネットでサイトを立ち上げ、買って読んだ人々を批判した。



賛否両論、、、否のほうが多かったけれど、、、



それでも共感してくれる人もいてニュースにもなったくらいだ。



何も変わらない。そんなのわかっているけれど、、、それでもいい。



僕らが少しでも繋がっていられるように、、、



だけど、、、その繋がりも危ういんだ。



僕、日向、加織、紡樹のことについて話そう。



ハッピーエンドなんてもとからなかった



雄大が殺されたその瞬間から。



ことの発端は冬に入り翔平が久し振りに話してきた言葉からだった。



「紡樹の両親が事故って重体らしい、、、」



僕はどうすれば良いのか迷った、、、



というかその時、翔平が何を言ったのかさえ解らなかった。



その日ぼぉーっとしながら帰宅した



何故こんなことになったのか、、、



僕の両親を恨むことは出来ない。



仕方なかったんだ。



ただ、、、僕は僕自身を恨んでいる。



僕さえ産まれてこなければこんなことにはならなかったんだ。



でも、もう遅い。



嘆くのは無駄だ。



翌日、紡樹の保護者が亡くなったことを聞かされた。



「父さん、母さん。俺は今度、紡樹を家に呼ぶ。話そう。」



両親はそうだな。と承諾してくれた。



葬儀が終わった翌日。



帰り道に紡樹の家に寄った。



「紡樹、、、」



「何?琢磨くん、、、」



「今から俺の家に来てくれ。」



「えっ!?」



僕は手を引っ張り、自転車の荷台に紡樹を乗せた。



「な、なんなの急に、、、?」



「お前に言わなきゃならないことがあるんだ。」



「えっ?」



「言うというより、謝らないといけない。多分、相当なショックを受けると思う。そして、俺や両親を許せなくなるかも知れない。でも、お前は一人じゃない。」



「どういうこと、、、?」



その後は何も言えずに僕ん家についた。



加織も丁度帰りついた時で家に入る前に会話をした。



「ふ、二人ってもうそういう関係だったの?」



「いや、ちがうのかおりん、、、急に琢磨くんが、、、」



「今、話すのはめんどくさい。加織、お前も俺ん家に来い。」



「えっ?」



これまた強引に手を引っ張り連れていった。



別に加織は関係無いが、言っておきたかった。



「ただいま」



「お、お邪魔します。」



「お帰りなさい。あっいらっしゃい」



両親が言う。



「どうしたの琢磨くん、、、」



はりつめた空気に堪えられない紡樹が言う



「まずは座って、、、」



「うん。」



そして、僕の左側に両親。



向かい側に加織と紡樹が座った。




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