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distortion.  作者: kou∞
10/12

解決。サクラダタクマ

まだ続きます

さて、ここからエピローグまでは僕が語ろう。



僕は嘘をついた。



嘘。



仕方ないことなんだ。



みんなを守るため。



僕の手で殺してしまわないように。



今はもうお昼前だ。



時雨曰くもう少ししたら加織の叔父さんが来るらしい。



「今日、、、いろんなものを失ったわね。」



荒木さんが言う。



「真姫、、、もう顔あげな。」



僕は言う。



「、、、」



無言。



大事な者を失ったんだ仕方ないよ。



本当に申し訳ない。



僕は、、、



「叔父さんが来たわ。」



加織がちょっと安心した感じで言う。



蟠りは消えない。



僕らの絆は、、、



蜘蛛の糸の様だ。



切れたら切れたまま。しかし、繋がってるところもある。



宙ぶらりんのその糸は、駆除されてしまう。



日が経つにつれ、誰もかれもがそれを忘れてしまう。



悲しいくらい。切ないくらい。



加織の叔父が来て警察を呼び、事情聴取を受けた。



事件は解決していると僕は言い、説明をした。



僕の言うことは信じてもらえる。



当然。



いくつもの事件を解決しているのだから。



警察も楽をしたと思っただろう。



事情聴取が終わり、僕らは船に乗り帰った。



港につき、それぞれ今日は遅くなったので解散した。



「加織、送っていこうか?」



加織の叔父がいう。



「うん。たっくんも乗る?」



「良いですかね?」



「もちろんだ。乗りなさい。」



ベンツ。



「ありがとうございます。」



乗らしてもらった。



20分ほどして僕と加織の家の前についた。



加織が外に出たのを確認。



トランクからカバンをとる。



不思議そうな目で加織の叔父の後部に座ったままの僕を見る。



「さぁ、車を出してください。」



僕は言う。



その言葉だけで十分。



「加織、トランクを閉めてくれ、琢磨くんは忘れ物をしたらしい」



「じゃ、私も一緒に、、、」



「いや、遅いから帰りなさい。」


気迫に押されたのか不貞腐れた感じで帰って行った。



車が動きだす。



僕はナイフを取り出す。



そして、加織の叔父、南雲光彦の首に当てる。



「何の真似だい?」



白々しくいう。



今から殺されることを知っているクセに



「あんたは俺の質問に嘘無く答えろ。」



「わかった良いだろう。」



「あんたはわざと雄大を殺したのか?」



「どういう意味かね?」



「包丁と偽ナイフの見分け方を嘘ついたんだろ?」



「なんで私が?」



「雄大はそんなのを間違えるようなバカじゃない。」



そんな死ぬかも知れないのに間違うか?



もちろん計画のために電気を消していたから間違えるかもしれない。



でも目印をつけているだろう。



その目印が問題だ。



「あんたが刃先に蛍光塗料を塗ったんだろ?」



「ああ確かに私が塗り、渡したよ。」



「そして嘘をついた。」



「何を根拠に?」



「計画ですかね。」



計画。



何かに柄を刺して椅子からそれ目指して背中から飛び降りる。



それは、他殺に見せかけるための自殺方法。



別にそれをわざわざ実行しなくとも良い。



しかし、何故あいつらは単純なことにきづかなかったのか?



それは南雲光彦だから。



それ故に何の疑いや考えを持たなかったんだ。



超有名推理作家。



そんな彼の創る計画に疑いを持つなという人間のほうが少ない。



「ふぅ。素晴らしい推理力だね」



「褒められても嬉しくありませんね。」



「故意かどうかと言われたらYES。だね。」



「そうか。じゃ死ぬ覚悟は出来てますね?」



「おいおい、いきなり殺すのかい?理由は?聞かなくて大丈夫なのかい?」



、、、



「じゃ、一応聞きます」



数学の解けない問題を聞くくらいの軽い感じで言った。



なぜ雄大は殺されたのか。



殺されなければいけなかったのか。



理由を聞くのには躊躇いなどいらないと僕は思った。



「じゃ、聞いてもらおう。」



「手短にお願いしますよ」



「いきなりだが私は残り一ヶ月程度の命なんだ」



正直、で?どうした?という気持ちだ。



この一言で僕はすべてを悟る。



「あー、もう大丈夫です。」



「まだ一言しか言ってないのだが」



「あなたは自分の命が残り僅かだと言うことを知り、最高の作品を作りたいと思った。それは歴史にのこるような、、、そしてこの計画を思いついた。死ぬ間際に私が犯人だ。と言いたかったんだろ?」



「、、、君は本当にすごいな。感心を越して尊敬に値するよ。」



「嬉しくありません」



「で。私を殺すのかい」



「まぁそのつもりです。」



「そしたら加織は傷付くだろうなぁ」



「は?」



「大好きな人が、殺人犯として捕まるなんて」



「、、、」



「しかも、ここで犯人の私を殺したら、君が犯人として捕まるんじゃないのか?誰が君の言うことを信じる?」



ここまで計算してたんだ、、、



僕が事件を解決、真相を掴み、南雲光彦を殺しにくることも計算のうち。



僕は本当に何も出来ない、、、



無力なんだ、、、



「なんてのも俺わかってました。」



携帯電話で父に電話を繋げていた。



「なっ?ハハハハいつの間に?」



「チェックメイトです。」



「負けたよ、、、」



その後、しっかり彼は捕まり、彼の意に反して犯人が捕まるという形で物語は終結した。



僕はいつも思う。



人を殺しても何も解決しない。



相手が殺人犯だろうと。

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