第13話・UNLOCK!異世界といえばこれでしょう
俺達はついに家を手に入れた。
パパラパッパラー!
頭の中でファンファーレが鳴る。
……これ前回もやったわ。
一度決めた家をキャンセルして、新たに契約を結び直した。
時間も時間だったから、その日はギルドへ報告してから宿屋に。
そして改めて今日、無事ヤードさんから鍵をもらった。
今度こそ本当に家が手に入ったぜ!
「そういえば家具とか揃えなきゃね」
「お前が風呂問題で騒いだせいだろが」
「……でもそのおかげで広くもなって、将来的にお風呂も設置出来るのよ?」
「へーへー、ありがとさんですぅー」
どうせなに言っても言いくるめられる未来しか見えないから、適当に礼を言っとく。
「まぁ今日からこの家で暮らしてくんだし、最低限は欲しいよな」
「本当に何もないものね……」
1階は調理場と作業スペースが一緒になった広めの空間。日本でいうLDKに近い。
その奥に小さめの部屋とトイレ。
2階には広めの部屋と、それよりも少し小さい個室が2つ。
家具といえば、作業台に使えそうな大きいテーブルと作り付けの棚がいくつか。
「あまり贅沢は出来ないけど、椅子とベッド、カーテンくらいは欲しいわね」
「布団出し入れするとこもないしなー」
「あとは追々、揃えていきましょ」
「さんせー!」
ヤードさんに紹介してもらった家具屋に行き、あれこれ物色。
とはいえ予算もある。
無難なものを選ぶにしても、それなりの出費になりそうだなぁ。
「おい、これすげーぞ!ベッドフレームに宝石付いてる!」
「カーテンにも宝石が付いてる……」
「貴族の店じゃねーか……」
「でも付いてないものもあるし……ほら、これなんて良さそう」
予算との兼ね合いで、多分店で1番安いものをチョイス。
「テーブルに椅子4脚、ベッド2つ、カーテンと……あとなんかあるか?」
「大きい物はこれくらいじゃないかしら。必要なものはその都度買い足しましょう」
「だな!すんませーん、欲しいの決まりました」
「はーい、どちらのお品物ですか~?」
目星を付けたものをお願いする。
「沢山お買上げありがとうございます!お引越しですか?」
「そっす!まだなんもなくて」
「そうでしたかぁ。この量だと配送ですよね?店じまいした後か明日になってしまうのですが……」
申し訳なさそうに言われてしまう。
が、その心配ならご無用だ!
「あ、俺らアイテムボックスあるんで持ち帰るっす!」
「えええ!アイテムボックスお持ちなんですか~!?」
そうか、漫画でもアイテムボックスってレア度高かったっけ……。
あんまり大っぴらにしない方が良いのか?
「とはいっても持ち上げなければいけませんよね……?少しお待ちください、人呼んできますね~!」
そういって店の奥に走る店員さん。
「……アイテムボックスってなに?」
「そーか、華蓮は知らねーのか」
「常識ではなさそうよね?」
「簡単に言うと、アイテムを収納出来る異次元ポケット……?」
「異次元……?」
「俺も仕組みは詳しくねーから!」
「どれくらい入るのかしら?」
「大きさにもよるだろうけど、今日のやつなら……ってアイテムボックスって《小》だったよな」
「覚えてないわ」
「は、入らねーかも……?」
「試してダメなら配送お願いしましょ」
こんなことなら一度試しておくんだったなぁ。
そうこうするうちに、パタパタと戻ってくる店員。
「お待たせしました~!ちょっと今、手が空いてる者がいなくて……」
「あの!実は使ったことなくて……試しに今やってみてもいいっすか?」
「それは全然構いませんけど……」
不思議そうな顔をする店員。
そりゃそうだ、アイテムボックス持ちで使ったことないなんて普通ないよな。
えーと、スキルだからタグは握らなくていいよな……。
とりあえずベッドに両手をかざして……。
「お言葉に甘えて……《アイテムボックス》!」
目の前に、淡く光る半透明のウィンドウが開く。
……両手は関係なさそうだな。
せっかくポーズ取ったのに恥ずかしいわ!
「出たな」
「出たわね」
「……何が出たんですか?」
店員には見えていないようだ。
華蓮が見えてるのは、同じ異世界人だからなのか?
改めてウィンドウを見ると10個の空白の枠がある。
これに入れられるってことか?
試しに1枠をタッチしてみると、手のひらが光り出す。
「うお!これ見えてるか?」
「手のひらが光ってること?」
「わ、私も見えます……!」
これは他人にも見えるらしい。
その光った手でベッドをタッチすると輪郭が淡く滲み、その場からパッと消える。
そしてウィンドウの一枠が、そっと埋まる
「すげっ」
「本当に収納されてるの……?」
「き、消えましたね……!」
収納されたベッドをタッチすると、また手が光る。
そしてその光る手を、何もない床へかざす。
次の瞬間──
ボフッ、と鈍い音を立てて、ベッドが元の場所に現れた。
「すげっ!!」
「ホントにすごい……」
「アイテムボックスって初めて見ましたぁ……。こんな風に使うなら人要らなかったんですね」
「すんません、初めて使ったもんで……」
「いえいえ、私も知らなくて……!」
店員が目を丸くしている。
やっぱりこのスキル自体、珍しいもんなんだなー。
俺はもう一度ウィンドウに視線を戻す。
さっきまで埋まっていた枠は、再び空白に戻っていた。
「空いてる枠を選んで、光った手で触れば収納。出すときも同じ要領ぽいな」
「意外と分かりやすいわね」
「これなら家具も持ち帰れそうですね~!」
「ですね!華蓮も自分のベッドとか、自分でやってみろよ」
「そうね、やってみる」
「お二人共お持ちなんて凄いですねぇ……冒険者の方でも滅多にお持ちじゃないのに……」
やっぱり珍しいもんなんだな。
俺ら二人共持ってるのは、異世界転移者の特権なのかもしれない。
便利だけど、扱いには気をつけたほうが良さそうだなぁ。
今度詳しい人に聞いてみるか。
とりあえず持ち帰りに問題なしということで会計を済ませ、さくさく収納。
店員にお礼を言い、家具屋を後にする。
「なんかちょっと疲れたなー」
「同じく……」
もしかして、いわゆるMPを使ったから疲れてるのか?
その辺も聞かなきゃだなぁ……。
「でも雑貨屋さんとかも行かないとよね」
「それ終わったらさ、今日はもう食いもん買って家で乾杯でもしねー?」
「いいわね……賛成!」
そう言って華蓮はさっさと走り出す。
元気じゃねーか!
まぁ多分腹が減ってるんだろう。
「早く!急ぐわよ!」
「へいへーい!」
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次回更新・2月24日




