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第7回なろうラジオ大賞参加作品

告りたいからって自転車の2人乗りは違反です!

作者: 辻堂安古市



なろうラジオ大賞参加作品です。





 文化祭まであと一週間。

 準備に没頭していると、下校を促すアナウンスが校内に流れてきた。



「やべ。帰ろーや」

「ペナくらうし、急ごっか」



 そんな話をしながら昇降口まで来た時に、真美(マミ)が声をかけてきた。



「ねぇ、今日チャリで来たんでしょ?送ってってよ」

「マテ。オマエん()反対方向だろ?」

「2ケツしたらいいじゃん!」

「女の子が『ケツ』とか言うなって!んでバレたら罰金だぞ?」

「ダイジョブもう暗いから!」



 コイツは決して悪いヤツではない。

 それどころか人気者だ。

 だから…

 


「送ってあげないの?」

「真美カワイソー」

「おまえ…ないわー」



 こうなるよな。

 ハイハイ わかりましたよ!



「頑張れ真美ー!」



 解せぬ。

 頑張るのは俺なんだが?



「よーしれっつごー!」

「…股広げて座るなよ」

「だって安定しないし」

「ソウデスヨネー」



 でもなんで俺?

 チャリって俺だけだったっけ?



「ほらガンバレー!」



 いや坂だから!

 重いとか言えないし!


 お?ようやく登り終わったか。



「坂降るから掴まっとけよ 危ないぞ?」

「うん わかった」



 そこまでギュっとしなくてもいいんだが?

 なるべくゆっくり坂を降るけど、それでも風切り音で周りの音が聞こえにくい。



「ねえー?彼女いないんでしょー?」

「フラれたばっか!準備ん時に言ったろーが!」



 だからさー

 お前は何で傷を抉るんだ



「だったら──」

「はいー?聞こえねーぞー?」

「もう!ちょっと止めろー!」



 なんだよもう!

 急ブレーキは危ねーんだぞ?

 ほら「慣性の法則」で背中に顔めり込んだろが!



「ったく、顔大丈夫か?」

「──じゃ、ダメ?」

「はい?よく聞こえな…」









「私じゃ、だめ?」







 はい?




 あ。




 あーつながった。

 だから「頑張れ」…か。




 真美は背中に顔を押し付けたままなので顔は見えないけど、少し震えているのは分かる。

 



「おい。ちょっと手ぇ離せ」

「……顔見られたくない」

「あのさ、今の俺の状況分かってるよな?」

「うん。でも我慢できなくなっちゃった」

「と言われてもなあ」

「……やっぱ、ダメ?」


 俺は少し頭をかいて考える……ふりをする。

 こーいうのの返事はなかなか言いづらい。





「まだ完全に吹っ切れたわけじゃないんだ。だから……」



 締め付けていた腕を振りほどくと、真美の顔は真っ赤で今にも泣きそうだった。


 そんな顔するなよ。

 言いづらいじゃないか。










「責任取って忘れさせてくれ。よろしくな?」


「────!任せて!」


「じゃあもう歩くぞ」


「えー?」


「あのなぁ」






最初の記念日が「罰金の日」なんて嫌だろ?












お読みいただき、ありがとうございました。


二人乗りは ダメ、ゼッタイ。






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― 新着の感想 ―
最後の歩く下りが、主人公の慎重さを示していて良かったです。こういう女子にはこの手の男子が無難ですよね。 半世紀前だったら、そのまま二人乗りだったでしょうけど。
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