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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第92話】地図にない村

残業で投稿遅くなりました!!すみません!!!!

【第92話】地図にない村


デズに教えてもらった村を探して、俺とナヴィは森の中を進んでいた。


昨日の昼にマルシャを出て、途中野宿も挟んで丸一日。

それでも目的の村はまだ見つからなかった。


「うーん……この森で合ってるはずなんだけどなぁ」


目的の村は地図にも載っていないため、頼れる情報はデズの話だけだ。

街道から外れた場所にある“ラインバルトの森”へ入って既に数時間。

けれど――


「大きい木……見当たらないね」


デズの説明によれば、目的の村の場所と目印は


・街道から外れた森の中

・開けた場所に巨大な木

・そのふもとに村がある


という話だった。

だが、どうにも妙だ。


「うーん、なんか同じ風景というか、巨大な木っていうのがそもそも見当たらないね」


森の中であるが踏みしめられて歩きやすい道もあり、人がある程度行き来している形跡はある。

しかし、進んでも進んでも開けた場所というのは見当たらない。


「ふむ……この森、魔素の流れが少し妙な気がするのう」


「そうなの?」


「うむ。害のある類ではないとは思うがの」


そう言いながらもナヴィは少し警戒しているようだった。




森の中を歩き続けて数時間。

ずっと同じ景色で方向感覚は狂うし、どこを歩いても同じ道なようでげんなりしてきた。


「……ちょっと休憩しようか、ナヴィ」


「うむ、賛成じゃ。主殿、顔が疲れ切っておるぞ?」


「こんだけ探して成果ゼロだとね……はぁ……」


俺はその場に腰を下ろし、水筒を一口飲む。

じんわりと体の疲れが抜けるような気がした。


気づけば昼も過ぎていたため、休憩しながら昼食を取ることにした。

食事の準備をしながら、ふと気になっていたことを口にする。


「そういえばさ、あのニトラーゼって異形族、もしかしてナヴィのこと知ってた?」


言いながら飲み物を渡す。ナヴィは倒木を椅子がわりに座り足をパタパタしながら頷く。


「うむ、どうやら我が魔王軍におった頃の下っ端みたいでな。我は戦場でも名が通っておったからのう。向こうが一方的に知っておるだけじゃ」


「なるほど」


俺が納得しながら返すと、ナヴィは少し肩を落とすように呟く。


「しかし……この姿で我じゃと見抜かれるとはな。サイズといい、見た目はかなり違っておるはずなんじゃが……」


「ナヴィはどっちの姿も美人だから目立ちそうだもんね」


疲れていたからか、ぼーっとしながら言葉を返した。


「……んッ!? けほっ、けほっ……!」


ナヴィが突然むせた。

俺は何か変なこと言っただろうか? と首を傾げたが、ナヴィは何やら顔を赤くしてぷるぷる震えながら無言になってしまった。


(……怒ってるわけじゃないよな?)


よく分からないまま昼食を済ませ、探索を再開する。




森を歩き続けてどれくらい経っただろう。

話の流れで、今日見つからなかった場合は一度マルシャの街に戻るか、次の街へ向かおうと話していたところ――


急に、視界が開けた。


「ぬ?急に道が開けたぞ?」


ナヴィが立ち止まる。


「……うお!ナヴィ!アレ!」


俺は思わず指を差した。


目の前に――

森のど真ん中とは思えないほど開けた空間が広がり、

その中央には、空に向かってそびえ立つ、まるで塔のような一本の巨大な木。


幹の根元にはいくつもの家が寄り添うように建ち並び、

そこには確かに“村”が存在していた。


風が一瞬だけ逆巻き、視界の揺らぎが消える。

まるで幻が晴れたような感覚だった。


まさか本当にこんな場所があるとは――。


俺たちは村へ向かって、ゆっくりと歩みを進めた。

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