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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第65話】強化の余韻と遺物

【第65話】強化の余韻と遺物


床に散らばったゴーレムの残骸を一瞥し、ナヴィがふぅと息を吐いた。


ゴーレムが粉々になり、部屋に静けさが戻る。

俺とノイラは顔を見合わせ、すぐにナヴィのもとへ駆け寄った。


「ふむ……しかし、ここまで精密な強化魔術は、我も初めて見るのう」


「え、えっと……そうなんですか?これくらい、誰でも使えるのでは…」


ノイラは杖を抱えたまま、戸惑ったようにぱちりと瞬きをする。


「魔力の巡りが一切淀んでおらん。強化にありがちな感覚のズレも全くない。例えるなら…まるで強化された今の状態が本来の実力と認識してもおかしくないくらいじゃ」


「そ、そんな……大したことじゃ……」


ノイラは慌てて首を振るが、わずかに頬が赤い。


「謙遜するでない。戦闘中にここまでの精度をブレもせず維持できるのも驚きじゃ。おぬしの腕がなければ、もっと時間を食っていたじゃろうな」


ナヴィが素直に褒めると、ノイラはもじもじと視線をそらし、何かをごまかすように小さく咳払いをした。



そんなやり取りを横で聞きながら、俺は部屋の奥へ視線を向ける。

そこには、いつの間にか淡い光を放つ魔法陣が浮かび上がっていた。


「あ……あれが出口に繋がる魔法陣、ですね」


「おお、やっと外に出られるね」


ノイラの説明を受けて魔法陣へ向かおうとすると、不意に袖を引かれて止められた。


「あ、あの、ちょっと待ってください。えっと…い、遺物保管場所を守っていた魔物が強敵の場合ですね…その、遺物を媒体にしている可能性がありまして……。こ、高ランクの遺物かもしれませんし、探してみませんか…?」


なるほど…そういえば以前も似たシチュエーションで遺物を拾ったな。

軽く頷き、俺たちは手分けして部屋を探すことにした。


「主殿、あったぞ」


ナヴィがピンと指で弾き、俺へ投げてよこしたのは――装飾のない金色の指輪。

よく見ると、指輪はうっすらと透けており、質感は金属だがまるでガラスでできているような見た目だ。


「んー、今度はどんな遺物なんだろう…ノイラは何か分かる?」


「は、発動しないことには……」


「なるほど…じゃあとりあえず試してみようか。何が起こるか分からないから、少し離れてて」


(……ステータスは、ノイラの前じゃ見ない方がいいだろう。直接見えるわけじゃなくても、情報の出所を怪しまれるかもしれないし)


ノイラが少し離れたのを確認し、一呼吸置いて指輪を装備した。


…特に変化はないな。能力向上系じゃなくて宝物庫の指輪みたいな効果だろうか……ん?いや、なんだ…?急に背中がムズムズしてきた……嫌な予感が――


「うおぉっ!?」


次の瞬間、俺の背中から半透明の腕がニョキッと生えた。


「ひっ!?」


突然の光景にノイラが凍りつく。

俺は思わず振り返ろうとするが、その腕はにょきにょきともう一本、さらにもう一本と増えていく。


「うわぁ!?え!なんか生えた!?」


背に生えた三本の腕をなんとか動かそうとするが、思うように制御できない。

一本が勝手に横へ伸び、もう一本が足に絡みつき――


「おわっ!?ちょ、待……ぐぇぇっ!」


三本の腕がそれぞれ勝手に暴れ回り、俺の体をぐるりと一回転させる。

次の瞬間、派手に床へ転がり込み、顔面をゴンッと打ちつけた。


「ぬははははは!なんじゃその有様は!」


間抜けな俺の一部始終を見たナヴィは腹を抱えて笑っていた。肩を震わせ、息も絶え絶えに――完全にツボに入ったらしい。

ノイラはまだ固まったままだ。


打ちつけた顔にヒールをかけながら、コソッとステータスを開く。


【装備】

 多腕の指輪

  ・伸縮可能な腕を作り出す


「……つ、使い道がわから〜〜ん!!」


俺の叫びが、笑い声と一緒に部屋に響き渡った。


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