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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第60話】遺跡下層の防衛機構

【第60話】遺跡下層の防衛機構


ノイラが落ち着きを取り戻してから、少しの時間を置いて、俺たちは下層へと向かうことにした。


「ノイラさん、体の調子は大丈夫?」


念のため確認すると、ノイラはおずおずと首を縦に振った。


――とはいえ、顔色はまだ悪いし、何より目の下のクマが目立つ。

こんな状況だ、きっと満足に睡眠も取れなかったのだろう。


「うーん、ちょっと疲れてそうだし…良かったらヒールをかけてもいいかな?」


「いいんですか…?あ、でも、でも、わたし……ま、まだ頑張れますのでっ…」


「遠慮しなくていいよ。というか、俺は回復専門だからこれくらいしか役に立てないから」


そう言って軽く手をかざすと、ノイラの身体がふわりと淡い光に包まれる。

見た目には大きな変化はなかったが、ノイラは安堵したように小さく息を吐いた。


「……す、すごく、楽になりました……ありがとうございます」


「うん、それはよかった」


「あ、あと……その、ノイラ“さん”じゃなくて、ノイラだけで、だいじょうぶです……」


「分かった。じゃあ、ノイラ。よろしくね」


「よ、よろしく……です……」


というやり取りをしていた一方――


「むぅ……」


前方のナヴィが後ろの俺たちのやりとりを見て不貞腐れていた。


「我に先頭を任せて後ろはずいぶん楽しそうじゃのう…?」


「ごめんごめん。あー…そうだ!帰ったら豪華な食事でもご馳走するから!」


「…ふん、とりあえずはそれで手を打ってやるかの」


くるりと反転し前方を歩くナヴィ。ふう…なんとか機嫌を損ねずに済んだようだ。

現在、ナヴィには普段の“小さい姿”へ戻ってもらっていた。

どうも魔力の濃度とは別でシンプルに圧を感じているのか、大人状態のナヴィを目にするとノイラがビクついて会話どころじゃなくなるからだ。




探索を進め、階層を一つ降りたあたりで――


「む…止まれ、主殿。――なんじゃ、これは」


「ナヴィ、どうかした?」


突然立ち止まったナヴィが、眉をひそめて顔をしかめる。


「……この階に降りてから我の魔力がうまく出せぬ」


「ええ!?」


思わず声が上ずった。


「今の姿を維持する程度なら問題なさそうじゃが……本来の力を解放しようとすると阻害されるような感覚がある。なんじゃコレは…」


「うーん…道中で罠を踏んだような形跡はなかったと思うけど…」


そのとき、後ろからノイラが一歩前に出て、遺跡の壁に刻まれた紋様に目を向ける。


「……この刻印…紋様の性質……あ、あの…魔力自体じゃなくて、魔族や魔物を対象とした制限系の効果……かも、しれません……」


「…というと、魔族が強い力を出せないようになってるってこと?」


「た、多分……。そうなると…この階層では、ゴーレム系のような…非魔族系の敵が配置されてる可能性も高い、です。……魔族や魔物への抑制を行なって、物理型の兵器で対応してる、みたいな…感じでしょうか…」


「なるほど…この遺跡は下層に行くほど防衛が強固になるって感じかな」


その直後、話を聞いていたナヴィがぴくりと肩を揺らし――


「この我を魔物と一括りにするとは…なんという無礼な遺跡じゃ!この床ごとぶっ壊してくれようか!!」


遺跡によって魔力は抑え込まれているはずだが、ぷんすかと怒ったナヴィの足踏みに床がひび割れ、壁の埃がぱらりと落ちる。

突然の衝撃にノイラが「ひいっ!」と縮こまってしまった。


「あーはいはい、ナヴィ落ち着いて。本当に床が壊れそうだ。生き埋めになっちゃうよ」


俺が慌てて宥めると、ナヴィはふんすと鼻を鳴らして渋々腕を組み直す。


ふと、そんなやり取りを見ていたノイラが首を傾げた。


「……この術式は、魔族や魔物の力をほぼ抑える、と思ってたのですが…ナヴィさんは、ぜんぜん…」


「んー……うちの相棒はちょっとパワフルだからね」


流石に元魔王軍幹部だとは説明できないのでふわっと説明してしまった。流石に適当すぎたか――


「は、はぇぇ……」


当のノイラはぽかんした様子でナヴィを眺めていた。

…うん、誤魔化せたっぽいな。多分。


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