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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第44話】遺跡報告と呼び名

【第44話】遺跡報告と呼び名


部屋には朝の柔らかな陽光が差し込んでいた。

ナヴィを起こさぬよう、そっと布団を抜け出し、顔を洗って軽く身支度を整える。


部屋に戻ると、まだ布団の中でまどろむナヴィが、ようやくもぞりと動いた。


「くぁ……妾も、支度をするかのう……」


寝起きの声は妙に艶っぽく、彼女が上体を起こしたその瞬間――

大きめのシャツの隙間から、滑らかな肌と豊かな胸元がちらりと覗いた。


(うおっ……!?)


慌てて目を逸らす。洗ったばかりの顔が熱く感じる。


(い、いやいや……今のは事故……決して下心があって訳では…)


当のナヴィ本人はまったく気にした様子もなく、寝起きのぽやっとした顔で髪を手ぐしで整えている。

その無防備な様子がまた余計にドキドキさせるという罠。


「……んん?主殿、顔が赤いぞ。風邪でも引いたか?」


「大丈夫。なんでもないです…」


何気ない一言すら破壊力抜群の彼女を前に、俺は変に意識してしまう自分をごまかすので精一杯だった。


その後ようやくナヴィがいつもの姿に戻り、俺の心拍数も落ち着いたところで、ふたり揃って宿を後にした。



俺の隣を歩くナヴィは、いつものようにフードを目深にかぶり、角を隠している。


「そういえばナヴィ」


「なんじゃ?主殿」


「その呼び方なんだけど、“主殿”ってやつ……今もそのままなんだなって思ってさ」


今朝からの、ふとした疑問だった。

昨日“奴隷契約”は解消となった訳で、てっきり呼び方も変わるものだろうとばかり思っていた。


するとナヴィは少しだけ目を逸らしながら、平然を装った声で返す。


「ぬ、ぅ……その、いきなり変えるのも妙じゃろう?……それに、今となってはこの方が呼びやすいのじゃ」


「な、なるほど」


言葉自体はそっけないが、その後ろ姿からほんのわずかに漂う戸惑いのようなものを感じた。

言いながら、語尾がほんの少し揺れていたようにも思う。


まるでこの呼び方を大事に、特別にしているような。

…なんて、流石に考えすぎだな。そんなことを思いながらギルドへと向かった。




ギルドに到着すると、昨日と同じ受付嬢が俺たちを迎えてくれた。


「あっ、昨日の探索の方ですね。マッピングの記録と、探索結果のご報告をお願いします」


「どうも。えーと、こちらが記録になります。遺跡の地形は、おおよそこの範囲で……」


俺はマッピング用の魔道具で記録した地図を渡し、簡単にルートと構造の説明を加える。

地形の把握は順調だったこともあり、受付嬢は説明内容をメモすると満足気に頷いた。


「ありがとうございます。では、遺跡内部での遭遇情報について教えていただけますか?」


「……それが、少々難しくて」


困ったのはここだった。


俺たちは遺跡の奥の隠し通路から、動く鎧や大型のモンスターと戦った。だが、大型の方は倒した直後に青白い光の粒子となって霧散してしまったのだ。

魔物の死体は残らず、証拠らしい証拠もない。かといって「光になって消えました!」では信じてもらえるかは微妙なところだった。

…が、仕事なのだから言わない訳にもいかない。


「……奥の部屋に、動く鎧のような魔物が複数。そちらは説明しやすいのですが、問題はその先でして……更に奥の部屋で戦った大型のモンスターは、倒した直後に粒子のように……」


「粒子?」


「はい。光になって、消えてしまいました」


受付嬢は少し考えたあと、業務記録のようなものを取りだしページを捲り始める。


「なるほど。たしかに、そういう魔力制御系の防衛魔物も存在すると報告されたことがありますね。ただ、詳細はかなり限られていて……」


「あぁ、そういう例は他にもあるんですね」


「はい。あ、ただ、滅多にないケースですので、また色々とお伺いしてから記録に残させていただきますね」


鎧型のモンスターの方は亡骸がそのまま残ったことを伝えると、そちらの方が納得されやすかった。

大型の方は、あのアンバランスな体型を絵にしてみたが…画力の問題が発生してしまい、後ろで見ていたナヴィが大爆笑していた。


「ふ、ふふ……ゴホン、それでは、こちらの報告内容をまとめた上で処理に回しますね。次は別室での対応となりますので――」


「…別室?」


「――あ、変な意図はありませんよ。おふたりにはこのあと、遺物についてお話がありますので、ここではなく奥の部屋までご案内いたします」


受付嬢は軽く会釈すると、カウンター奥の扉を開けた。

俺たちは案内されるがままにギルドの奥まった通路を進む。


そして――


「こちらです。どうぞ、お入りください」


遺物についてか…一体どんな話なのだろう。

少し緊張を抱えながら、俺たちは案内された部屋の中へと足を踏み入れた。


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