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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第104話】大樹の村と、眠っていた記録

【第104話】大樹の村と、眠っていた記録


「ぬぅ……暇じゃ〜」


診療所の患者用ベッドの上で、ナヴィが仰向けになったままそう呟いた。


両腕を広げ、足をぶらぶらと揺らしながら天井を見つめている。

完全に退屈を持て余している姿だった。


「最近は落ち着いてるからね」


書類に目を通しつつ返事をする。


診療所を開いてしばらく経つと定期的に来る人も減り、今日は午前中から静かなものだった。



俺には書類整理や村長への報告があるけど、ナヴィは基本的に待機するだけ。

体を動かすのが好きなナヴィにとって、刺激の少ない日々が続けば、こうなるのも無理はない。


ナヴィも村の人と馴染んでいるし、狩猟に参加させてもらえないか村長に相談してみようか。

それか、いまは継続して治療が必要な人もいないし、マルシャに遊びに行ってもいいかもしれない。


そんなことを考えていた、その時だった。


コンコン。


控えめなノック音。


「はい、どうぞ」


扉を開けて入ってきたのは、村長のハルラスだった。

いつもの穏やかな表情だが、今日は手に分厚い束を抱えている。


「こんにちは、ハルラスさん。今日はどうされました?」


「急にすみませんな。実は……以前お話しした“魔力酔い”について、少し調べておりまして」


その言葉に自然と意識が引き締まる。

魔力酔い……今でも定期的に魔族患者が訪れる、流行病のようなものだ。


「何か分かったんですか?」


「ええ。村の古い書庫を整理していたところ、先代よりもさらに前の時代の手記が見つかりましてな」


ハルラスは机の上に古びた紙束を置いた。

文字はやや掠れてはいるが、丁寧に保存されていたことが分かる。


「この村の成り立ちに関わる記録です」


そう前置きしてから、ハルラスは要点を語り始めた。


かつてこの地の周辺では、“淀み”と呼ばれる現象が発生しており、当時の冒険者たちが調査に訪れたそうだ。


人族と魔族の混成チームの冒険者たちがとある遺跡を発見する。

長い日数をかけて攻略し、最深部で“淀みの原因”と思われる鉱石を見つけた。

それを厳重に保管して遺跡の外へ持ち出すと、周辺の不調は収まったという。


しかし、遺跡の中には残り滓のようなものが残っていたらしい。

残り滓の漏れ出しを防ぐため、浄化作用のある樹木の魔術で根を張り巡らせ入り口を閉じたそうだ。


数日後に様子を見に行くと、木の根で蓋をしたはずのそこには大きく成長した一本の木があった。


「その後、監視のために近くに設けた拠点……それが、現在の大樹の村の原型だと、この手記には記されています」


俺は情報を整理しながら話を聞いた。


「それじゃあ、この大樹の村は、遺跡の監視所みたいなものだったんですね」


「ええ。実は私も今回の件で初めて知りました」


ハルラスは少し困ったように笑いながら言った。


「先代からは特にこの話は聞いておりませんので……かなり古い時代の記録のようですね」


「その“淀み”って、今でいう魔力酔いのことですかね」


「調べた限りでは、ほぼ間違いないでしょう」


なるほど。

最近、大樹の村の純魔族に魔力酔いの患者が増えているのは、やはり偶然ではなさそうだ。


「御神木の周囲は確認してみたのですが、遺跡の入口らしきものは見つかりませんでした」


「木の下に完全に埋まってるということですね」


「ええ。周りから掘り返すにしてもあの御神木の周辺となると、気の遠くなるような時間が必要でしょう……遺跡経験のあるお二人は、何かいい案はないでしょうか?」


「うーん、俺たちも遺跡に特別詳しいわけではないので……」


ハルラスと2人で悩んでいると、隣で聞いていたナヴィが口を開いた。


「専門家を呼べばよいのではないか?」


「専門家……あっ、なるほど」


ひとつ心当たりが浮かんだ。


遺跡、魔力、調査。


「どなたか、心当たりでも?」


「はい。遺跡調査に慣れてる人がいるので、連絡を取ってみようと思います」


ハルラスはほっとしたように頷いた。


「それは心強い。村としても、できる限りの協力は惜しみません」


こうして、大樹の村に静かだった日常の中に“新たなイベント”が発生した。

少なくとも――ナヴィが暇を持て余す時間は、しばらくなくなりそうだ。


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