【第103話】診療所の片付け後、二人きりの夕方
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【第103話】診療所の片付け後、二人きりの夕方
診療所の戸を閉めたのは、夕日が村を赤く染め始めた頃だった。
「ふぅ……今日はさすがに疲れたな」
いつもはのんびりしている診療所だが、今日はなぜか患者が集中した。
大事に至るようなものはなかったが、数が多いというのはそれなりに堪える。
「お疲れじゃ、主殿」
背後から柔らかい声と、背中にぴたりと温もりが貼りついた。
ナヴィが後ろから腕を回してくっついてきた。労ってくれているのだろう。
「今日は人が多くて大変じゃったのう」
「最近暇だったから余計にね。でも、ナヴィが手伝ってくれて助かった」
「我も慣れてきたからの。主殿の世話はお手の物じゃ」
そう言いながら、ナヴィは俺の頭に手を置いた。
指先がゆっくりと動き、俺の髪を撫でる。
「ほれ。疲労気味の患者に我のヒールは効くであろう?」
「あ~……これは効くなぁ。俺のヒールなんか目じゃないかも」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
どこか得意げな声。
「では、治療費は金貨三枚じゃ」
「たっか!」
「おやぁ?」
背後から、楽しそうな気配が濃くなる。
「払えぬというのなら……体で払ってもらうしかないのう?」
「流れ変わってきてない??」
夕暮れの診療所に二人分の笑い声が響く。
そんな、夕方のひと時だった。




