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主殿、我だけを見よ~異世界で助けた奴隷少女は元・魔王軍幹部!?独占欲と戦闘力が規格外な娘と遺跡探索スローライフ~  作者: 猫村りんご


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【第97話】破壊と確信犯

【第97話】破壊と確信犯


大樹の村に来てから数日。


午前中は家の掃除、午後は村の中を見て回るという流れを続けているうちに、俺たちの顔も村の人たちにだいぶ覚えられてきた。


「おはよう」「ナヴィちゃんは今日も美人さんだねぇ」「よう、遺跡の旦那」


気さくに声をかけてくれる人が多く、ナヴィは特にお年寄りやお姉さん方に可愛がられている。

(おそらくナヴィの方が年上なんたろうけど)


俺の方は、以前の食事処で遺跡関連の話をしたのが印象的だったらしく、変な呼び名が定着してしまった。


「馴れ馴れしいやつが多いのう」


そんなことを言いつつも、話しかけられればちゃんと立ち止まり、相手の顔を見て会話を返している。

満更でもなさそうなその様子を見て、俺もなんだか嬉しくなった。




昼食用のパンを買いに、村のパン屋へ立ち寄る。

この店の甘いジャムパンをナヴィは気に入ったらしく、立ち寄った時は毎回2つ買うのがここ最近の恒例行事となっていた。


パン屋の店主は毎回試作品のパンをオマケしてくれるのだが、当たり外れが激しく、昨日は激辛パンを食べたナヴィは口から火を噴くんじゃないかという勢いで床を転がっていた。



その後、今日は家具屋へ向かった。

空き家だった家の掃除も終わりが見えてきているが、細かいところは修繕が必要だった。


家具屋に入るとカランカランと鈴の音が鳴り、奥から店主が出てくる。

背は低いがガッシリした体格の店主で、家具屋の一家はドワーフ族なのだとか。


「おう、いらっしゃい。今日は何か探し物か?」


「手頃な木材を探してるんです。扉の立て付けが悪くて……寝室が隙間風で寒いんですよね」


そう説明すると、店主はなるほど、と頷き店の奥へ引っ込んだ。

しばらくして戻ってきたときには、両手いっぱいに木材と道具を抱えていた。


「余りの板だが、削ってやれば扉の補強くらいには使えるだろ。それと、少し古いモノだが金槌と釘、それから小さめのノコギリだ」


「おお、ありがとうございます。全部でいくらですか?」


「ああ?古いモンと余りモンを新顔に押し付けてるだけだ、こんなんじゃ金なんざ取れねえよ」


そう言って半ば無理やり押し付けられ、店を出る時にさらに細かい道具までおまけしてくれた。


……なんだか、この村は親切な人が多いなぁ。




家に戻ったところで、さっそく修繕開始だ。

俺は木材を測りながら、ナヴィに声をかけた。


「ナヴィ、扉を一度外したいから、蝶番(ちょうつがい)のところを──」


「うむ!任せよ!」


元気よく返事をしたナヴィに背を向け、俺が工具を並べていたその時。


バキィィィィッ!!


派手な破壊音が響いた。


「うお!?ナ、ナヴィさん!?」


驚いて振り返ると──


扉が、根元ごと外れていた!

というか、壁の一部までついてきている!?

入口が明らかに広がっていた!


「外し方が分からぬから、試しに引っ張ったら取れおったわ」


胸を張るナヴィ。

堂々としているあたりが余計にタチが悪い。


「少し直すつもりが、これじゃリフォームだなぁ……」


「入り口が広くなるのう!」


「うーんポジティブ」


隙間風どころかドアが消滅してしまった。

手持ちの木材じゃ修復は難しそうなので、新しい扉を作り直すしかなくなった。



仕方なく、もう一度家具屋へ行って事情を話すと、店主は腹を抱えて笑った。


「がっはっは!やるな嬢ちゃん!」


「壊すのは得意じゃ!」


「胸張って言うことじゃないんだよなぁ」


笑い終えた店主は、「少し待ってろ」と一度奥へ引っ込む。

戻ってきたときには、小柄で筋肉質な女性が一緒だった。


彼女は店主の娘さんで家具職人らしく、家の状態を見るため同行してくれることになった。



家に戻ると、彼女は早速入り口や部屋のサイズを手際よく測り始めた。


「ふむふむ……部屋の広さは問題ないですね。窓の高さはコレくらい、と。入り口も今の広さなら……うん!これなら前にお話しいただいたベッド、余裕で入りますね!」


「ん?ベッド……?」


隣のナヴィに視線を向けると、ナヴィがニヤリと笑っていた。


「前に行った時にな、主殿と寝るための大きな寝台の話をしておいたのじゃ」


「じゃあ、扉壊したのって……」


「アレでは入りきらんからのう、運び込みやすいようにしたのじゃ。いくら我でも扉を外すだけで壁まで破壊せんわ」


完全に確信犯だった。


そして数日後。

俺たちの家にとんでもなく大きなベッドが運び込まれたのだった。


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