プロローグ “主人公side”
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【プロローグ】
――あの日、俺は“死にかけていた魔族の少女”と出会った。
あれが、全ての始まりだった。
仕事に向かう朝。
コンビニで買った飲食物の入った鞄を片手に、もう片方の手ではスマホを操作しながら、
俺――勅使河原 晃緒は、いつも通りに職場へ向かっていた。
行儀が悪いのは自覚してる。
けど、もう何年もこの“歩きスマホ出勤”が俺の朝のルーチンだ。
次の商談の確認、昨日のメールの処理、部下の進捗確認、上司からのLINE未読三件――憂鬱で朝から胃が痛くなるような日常。
なのに、その日だけは“非日常”が唐突すぎる形で割り込んできた。
ピコン。
マナーモードで無音のはずのスマホが、なぜかゲームみたいなSEを鳴らした。
…いや、違う。スマホじゃない。
目の前に、空中に浮かぶ“ウインドウ”が現れていた。
まるでソシャゲのレベルアップ画面のように、青白いフチがゆらめくタッチパネル式のウインドウ。
表示されていたのは、ただ一文――
「ステータスを確認しますか?」
そして選択肢は「はい」のみ。
「なんだこれ……ステータス…?」
声に出した瞬間、画面が弾けるように光を放ち、視界が白で埋め尽くされた。
そして――世界は、反転した。
目を開けると、そこは一面に広がる草原だった。
コンクリートも、電線も、ビルも車もない。
代わりに、風が揺らす草の匂いと、太陽の温もり。
「……まさか、これって…漫画とかで流行ってる……」
頭の中をよぎるのは、ネット小説や漫画で読んだ設定の数々。
「異世界……転生? いや、これは……転移、か……?」
そんな俺が、数日後――
奴隷市場の片隅で、“死にかけた魔族の少女”と出会うことになるなんて。
この時の俺は、まだ何も知らなかった。




