9.当たり前
肉食動物たちは草食動物たちより元気があった。相手がすごく元気だから話している僕まで元気になった。
「シロ、噂聞いたか?」 「噂?」
「見えない何かが爪や牙で襲ってくるらしいぞ」
「そんなここは争わないんじゃないのか?」
「悪魔に操られてるんだろ、お前も一応気をつけろよ」 「うん…」
操られている子は辛いだろうな。一人で海を眺めながら考える。大切な仲間を自分の手で殺してしまうなんて。
「あれ…仲間?うぅ痛い…」
『仲間』この言葉に何かが引っかかった。頭の中に声が響く。
「なんで殺した?」 誰だ?殺したってなんだ?僕は殺しなんてしない!
「僕は悪くない」これは僕の声? 「背くというのか」 何にだ?背く?
これは僕の記憶なのか?僕は一体…
「シロ!!」
後ろからクロの大きな声が聞こえて目の前に海が現れた。いや違う、海は元からあった。僕はあの白い空間で何をしていたんだろう…。
「どうしたの?クロ…」
クロの方に体を向けようとしたら左腕が千切れ、何処かにいった。
’
「シロ!早く治せ!」 「治すって何言ってるんだ?」
失った腕は戻らないのにクロは治せとおかしなことを言った。
そういえば痛みがない。腕は確かに無いのに血が一滴も流れない。
「クロ、僕どうにかしちゃったみたいだ。全然痛くない」
「そりゃそうだろ、いいから早く治して撃つ準備をしろ!」
そりゃそうってなんだよ。僕は驚いているのに。地面に落ちている僕の腕を見ていたら腕が宙に浮いた。
「おいクロ!僕の腕浮いてるぞ!」
こんな信じられないことが起きているのにクロはため息をつく。
浮いた腕は光ってチリのようになり僕のもとにやってきて腕になった。
「え、え?クロ!腕が治った!」
「うるさいぞ、噂を忘れたのか?早く構えろ」




