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始まり

プルルル…プルルル…プルルル…


俺はそんな電話の音で目覚めた。

なぜだか知らないが、アイマスクをつけているようだ。おそらく昨日、かなり飲んでしまったんだろう。それで寝落ちする時にアイマスクをかけてくれたのだろうか?

俺はアイマスクをつけたまま電話に出る。

昔は普通ではなかった通話魔術も、今の時代となっては無詠唱でも扱えるようになるまで改良され、生活する上での必須魔術と言っても過言ではない。


(よぉロベル、お目覚めのようだな)

「なんだ、ルベンか」

電話をかけてきたのはルベン。俺の友達だ。かなり前に知り合ったんだが、今もかなりの頻度で集まって酒場で飲んでいるような仲だ。


「なんのようだ?コンバータリーの無料セックスチケット券は持ってないし、持ってたとしても絶対にお前にはやらんぞ」

(無料セックスチケット券ぐらい持ってるわ。まぁ今はただ暇だったから電話しただけだ)


珍しいなと思う。

あまり暇なことがないほど社畜なこいつのことだから心を癒すためにコンバータリーのポイント券を貰おうとしていると思ったけど、違ったみたいだ。


「で?なんか面白い話とかあんのか?」

(話ではないが、面白いなぞなぞを見つけてきた)

「ほう、やってみようか」

(わかった)

ルベンは一呼吸おいてクイズの問題を言い始める。

(最初は入れると痛いけど、だんだんと慣れてくるものは?)

「最初は痛いけどだんだん慣れる……すまん時間をくれ」

今日のルベンのクイズは俺にとってはいつもより難しくなっていた。少し考えてみるが、よくわからない。

その時


ガチャッ


バニーガールのお姉さんがドアを開け、ロベルに言った。


「何してるんですかお客さん。もう朝ですよ…!」


ロベルからの返事はない。この通話魔術は通話魔術使用中、通話以外の音が聞こえなくなるというデメリットがあるため、全くとしてバニーガールのお姉さんの声は聞こえていないのだ。

バニーガールのお姉さんが深くため息をつき、こういった。


バ「もう一旦閉店の時間なんです。自分で帰れないのなら、親御さんとかを呼んでもらってもいいですが」

ル(じゃぁ一つだけヒントをやるよ)

ロ「お願いします」

バ「なんで私が呼ぶんですか。電話はかけてあげますが、自分で呼んでくださいよ」


ロベルはそんなバニーガールのお姉さんが喋りかけているとも知らず、なぞなぞのヒントを聞いていた。

バニーガールのお姉さんはまたため息をついて、優しくいった。


バ「はぁ…わかりました。今夜は私が呼んであげます。」

ロ「うーん…」

ル(お前これ聞いてもわからないのか?だから濡れている場所に入れるんだよ)

ロ「ハッ!」

ロベルは答えがわかったのか、口を開けた。


バ「電話も私がしますから親御さんの名前を教えてください」

ロ「おちんちん!」

バ「紅魔族でも引きますよその名前」

ル(違うわ!正解はコンタクトだよ)

ロ「あーコンタクトだ」

確かにコンタクトは目を水で濡らしてからつけるな。これは騙された。


バ「コンタクトさん…ですね。随分珍しい名前なのですぐ見つかると思います」

ル(じゃぁもう一問!ふわふわしている動物がいっぱいいる場所は?これじゃ難しいだろうからヒントをあげよう。ふわふわした動物とは、よく毛糸とかの材料として毛が使われるね)

一瞬普通に答えようとしたが、こいつのことだ。どうせ騙し要素みたいなものがあるんだろう。

俺は頭を悩ませる。

ふわふわしていて毛糸とかの材料に使われるなら、おそらくふわふわした物とは羊だろう。

……いっぱいいる……場所………?

ロ「ハッ!」

またひらめいてしまった。これの答えは…


バ「ちなみにご自宅はどこら辺なのですか?」

ロ「子宮の中!」

バ「生まれてくる前の自宅じゃないですよ。胎児じゃないんですから、今の自宅を教えてください」

バニーガールのお姉さんがそう言って下を向き、また大きなため息をした。


ル(だから違うわ!ニュージニア街な!あそこ羊が多いだからな。お前の言ってるのは羊水のことだろ?お前、俺が二連続なぞなぞ出すように見えるか?)

ロ「なら最初からそう言って欲しいんだが…」

バ「普通わかるでしょ今の家を教えてほしいってことぐらい」

バニーガールのお姉さんがロベルを見てそう言った後、テーブルの上のゴミを移動魔法でまとめてゴミ箱に突っ込んだ。


ロ「ニュージニア街か…」

バ「へぇそんなところに住んでいたんですね。では、ニュージニア街のコンタクトさんに電話してみます」

そう言うとバニーガールのお姉さんは通話魔術を発動し、ニュージニア街のコンタクトさんの連絡先を探す。


ル(じゃ、俺は用事があるしもう切るわ。またな)

ロ「おう!」


そう言うと通話が終了し、俺はアイマスクをとった。


プルルル…プルルル…プルルル…

目の前には昨日一緒に飲んだと思われるバニーガールのお姉さんが通話魔術を発動していた。


「あっ!ついに起きられましたね。今親御さんに電話していますから、ちょっと待っててください。電話に出たら変わりますんで」

どうやら俺は、この店でかなりの時間を過ごしたようだ。身分確認とかのために電話をしているのだろうか?

俺は咄嗟に言った。


「いえ、私通話魔術使えるんで、今から自分でかけても……あ!魔力が足りない!」

「なら尚更私がかけますよ。あなたは親御さんが電話に出るまでそこに座っておいてください」

「わ、わかった。ありがとう。」

俺はなんだか少し恥ずかしくなり、バニーガールのお姉さんから目をそらす。

それにしても親か…

父は通話魔術が使えないから、おそらく母が出るだろう。

母はライカンといい、いろいろとお世話になったものだ。母と喋るのも久しぶりだ。なぜ母親の名前と住んでる街を知っているかは知らないが、受付の時に書いたりしたんだろう。酔っ払いすぎてよく覚えていないが、まぁそんなことはどうでもいい。


…カチャッ_


電話が掛かった。

なんだか緊張してきた。最後にあった時と印象変わってたらどうしよう。なんかちょっと前に手紙が送られてきた時、声とか性格が結構変わったと書いてあった気がする。今もあの温厚で優しいお母さんのままだったらいいんだが…

まずはバニーガールのお姉さんが喋る。


「はじめまして。私、カフェ・コンバータリーのメーシャ・イグナイルと申します。あなた様にようがあるロベルというお客様がいらっしゃるのですが………はい……わかりました。今変わります」

そういうとルインさんは俺に魔術付与をかけた。

俺は緊張しているのがバレないように流暢に喋る。


「ひ、久しぶり…」

「久しぶりだな小僧。お前、あの事件から逃げてよくのこのこと電話してきやがったな。ぶっ殺してやるよお前」

「いろいろ変わりすぎだろ!もう昔の頃の影すらねぇぞ」

というよりもう性別すら変わってないか?いやまあ、男になりたかったのかもしれない。

そんなことを考えていると、母さんらしき人が突如喘ぎ声のようなものを出した。


「…おい、もうやめろ……話してる最中に…ん……しゃぶるのは」

「おい!どういうことだよ!今誰にフェラしてもらってんだ!」

お母さんらしき人は一息ついて、俺に言った。


「そんなん、結婚相手とに決まってんだろ?」

「は!?もしかして、俺に隠してただけで、実はちんこはえてたのか?」

「生えてるに決まってんだろ!怖いわ生えてなかったら!」

お、俺の母さんちんこ生えてたのか……

そんな衝撃の事実に目の前が眩む。

そんなとんでもないことを知って黙り込んでいると、母さんが言ってくる。


「おい小僧。そんなことはどうでもいい。早く帰ってこい。お前の母さんも人質にとってんだよ」

「じゃぁ今喋ってるの誰だよ!」

「俺に決まってんだろ?とぼけんのもいい加減にしろよ。昔みたいに俺たちのものパクって俺たちの家から出ていった時みたいに軍隊送りつけてやろうか?」

「どんな英才教育だよ!それごときで金使いすぎだろ」

俺の親ってそんな物騒なことしてたのか?なんかもう意味がわかんねぇ。

俺はこんがらがった頭を整理し、母さんにいった。


「あのさ、一応聞くけど母さんだよな?」

「あ……?もしかして人違いか?」

「………そうだな。多分そうだ。母さんにちんこ生えてるとか考えられないしな」

「………わかった。これに関しては聞かなかったことにしておいてくれ」

「そうだな。そうしよう。ではまた」


ピー


俺はメーシャの方を向いて言った。


「人違いだったみたいだ。母さんと思って話してた人がマジヤクザの人だった」

「本当ですか!?すみませんこっちの不手際で」

「いえいえ、なんかちょっと仲良くなれましたし、よかったです」

「それは本当に良いんですか?」

メーシャが少し心配そうな顔で言ってきた。

俺はそんな顔を見ながら言う。


「さて、これからどうしたものか…」

そんな言葉を聞いたメーシャがお辞儀をしながら言ってきた。


「私に家まで送らせてください。これは私に原因があるので」

「……わかった。よろしく頼むよ」

メーシャは名刺のようなものを渡して言ってきた。


「メーシャ・イグナルと申します。よろしくお願いします」

俺はその名刺を受け取り、笑顔で言った。


「ロベルだ、よろしく」

なんだか、少しだけ幸せな気分になった。

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