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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『0歳編』
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残された手記 15歳

以下抜粋。


レイ暦264年 1月11日

 7歳の誕生日から毎年の誕生日に貰っているノートに書き始めたこの手記も9冊目になった。

 今日は15歳の誕生日だった。

 日記をつけ始めて9年目になるんだと思うと感慨深いものがあると思う。

 今日は私の成人祝いだったので、家族全員でお店を休んで王国まで買い物に行った。

 緑色の可愛いリボンを買って貰って嬉しかった。

 セミージャの髪の色みたいで綺麗だったからこの色を選んだのは内緒だ。


レイ暦264年 3月4日

 この村に新しい命が誕生した。

 それも二人もだ。

 2人がほとんど同時に産気づいたので、セミージャに呼ばれて出産の手伝いに入った。

 と言ってもお湯を沸かしたりとか簡単なことだったけれど。

 私はセミージャと一緒にセドロさんの方につくことになった。

 貴重な経験だったと思う。

 何時も元気いっぱいで男勝り。

 この村で2番目に強い彼女。

 疲れた顔一つ見せず、たまに現れる魔物を軽く倒してしまう。

 そんな、とっても強いセドロさんが、赤ちゃんを産んですぐは汗だくで、ぐったりとしていた。

 出産って怖い。

 どうして子どもなんて生むの?

 まぁ・・・生まれた赤ちゃんはとっても可愛かったけれど・・・。

 セドロさんのすぐ後にブリランテさんも無事に出産を終えたらしい。

 様子を見に行ったら、いつもの微笑みを浮かべるブリランテさんがいて拍子抜けしてしまった。

 ブリランテさん・・・すごすぎる。

 数年ぶりの赤ちゃんだからきっと村総出でお祝いすることになる。

 これから忙しくなるぞ!

 まずは食品の確認からだ!


レイ暦264年 4月2日

 あの出産の日から早くもひと月が立とうとしていた。

 祝いの雰囲気も少しずつ収まって、日常に帰り始めていた最近。

 ブリランテさんにはいつもお世話になっているから、日ごろのお礼も兼ねてミルクのおすそ分けに行った。

 赤ちゃんを抱いて微笑みながら出てきたブリランテさん。

 抱かれている子はちょっと不思議な子だった。

 目を開けてはきょろきょろして眠る。

 ずっとこれを繰り返しているのだ。

 あと、あんまり泣かないらしい。

 たまによくわからない泣き方をするそうと心配そうな顔をしていたけれど、一体何を心配しているのか?

あまり泣かないならお利口さんで助かると思うんだけど・・・。


レイ歴264年 7月9日

 フェリスさんが王国に行ってしまった。

 ひと月近く見えなくなってしまうと思うと悲しい。

 ブリランテさんやセドロさんもいなくなってしまうので、しばらく村の中が少しピりつくと思うと二重で辛い。

 あの4人がこの村の守りの中心に立っているからみんな警戒するのだ。

 4年前、あの4人が来る前は問題なかったはずなんだけど・・・。

 一応自警団長さんが指揮を執って男の人たちが守ってくれてるけれど、多分ほかの子のお母さんたちも戦うことになるだろうな。

 ・・・私も長耳族だったらよかったのに。


レイ歴264年 8月1日

 ブリランテさんたちが帰ってきた!

 村に何事も無くて良かった!

 村人たちも安堵したのか表情が緩んでる。

 やっぱりあの4人はこの村にとって大切な存在なんだなと思った。

 明日はとうとう、フェリスくんとサティスちゃんがここに来る日だ。

 楽しみ半分、不安半分だ。


レイ歴264年 8月2日

 良い一日だった。

 この村にいる子どもたちが、家の店に一つに集まって楽しそうにしていた。

 ジュビアくんとベンディスカくんもだ。

 3年前に来て1人だったジュビアくんと、去年からこの村に来たベンディスカくんが仲良くなったて2人だけの世界だったが、少しだけ意識が他の子に向いたと思う。

 それに、ベンディスカくんの嬉しそうな表情と、セドロさんの言葉に感動してしまった。

 ちゃんとは見えなかったけれど、ベンディスカくんが笑ったのだ。

 事情は知っている。

 ここの村人全員だ。

 そんな彼が笑ったのだ。

 きっかけはフェリスくんとサティスちゃんの笑顔。

 多分、あんな光景を見る事ができるのはこの村だけだろう。

 全員がサティスちゃんとフェリスくんを中心に笑顔になっていたのだ。

 セドロさんが言ってくれた言葉は絶対に忘れない。

 『この村で母になって良かったよ』

 こっちがこの村を選んでくれてありがとうです、セドロさん。


レイ歴264年 9月18日

 大変な一日だった。

 魔獣が大量発生したのだ。

 とにかく大変だった。

 久しぶりに避難した。

 訓練ではなく、本番だ。

 セドロさんが近くにいてくれたことが幸いだった。

 いなかったら大変なことになっていたかもしれない。

 やっぱりセドロさんとブリランテさんは凄い。

 他の人たちもすごい。

 終わってみたら誰も怪我無く終わったのだ。

 助けられてばかりだ。

 今回の事の理由は分からないけれど、終わった後酒場で祝杯と共に開かれた、村人会議を聞いていたら魔族のせいかもしれないとの事だった。

 魔王が復活してからもう4年が過ぎている。

 勇者様が命を懸けて負わせた深手がもう治り始めているという事なのかもしれない・・・。

 不安になった。

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― 新着の感想 ―
たちねこさん、いつも応援いただきまして本当にありがとうございます♪ 15才、魔王復活4年など、情報の詰まった手記ですね……。
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