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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『6歳編』
66/940

6歳 2

 『道場』の中にはジュビアとベンディスカ以外、ラーファガ含む『アルコ・イーリス』のメンバーとセドロ、ブリランテが揃っていた。

 ジュビアとベンディスカは『自警団』優先。

 ベンディスカは、父からもしもの時は『アルコ・イーリス』を優先し、『自警団』と『アルコ・イーリス』の情報共有に貢献するように言われている。

 「よし、揃ったな!?ブリランテ!状況は!?」

 中心で輪になって話が始まった。

 セドロがブリランテに状況を聞く。

 「えぇ、壁を再度壊した『魔族』が『人族領』内に入ってきたわ」

 俺は生唾を飲む。

 『人族』と『魔族』の冷戦終了と言うことなのか・・・?

 確か、冷戦状態になって今年で10年。

 とうとう痺れを切らしたということだろう。

 「数は100。ただ、この『魔素』・・・。厄介だわ。『四天王』が2人、含まれている・・・カランバノの『気配魔術』でしっかりこの村に意識を引き付けているから隣村は大丈夫そうだけど・・・」

 『四天王』だと?

 それは、まずいのでは?

 「え、うそ、待って!?」

 口を押えるブリランテ。

 「どうした!?」

 「まずいことになったわ・・・情報が漏れた・・・進路変更してまっすぐ『ブランコ村』に向かっているわ!!」

 「『ブランコ村』?」

 俺は初めて聞く村の名前に首をかしげる。

 そんな村は地図にはなかったと思うが・・・。

 「隣村だ」

 セドロが答えてくれる。

 葡萄酒やぶどうジュース等で話に出ていた『隣村』の事だったのか。

 「だが・・・あそこには『アスセーナ』がいるだろ?簡単には見つからないはずだ」

 セドロが腕を組んで話す。

 「え、叔父さんがそこに?」

 カリマが驚いた顔をした。

 「ん?あぁ、カリマは知らないか。アスセーナは『ブランコ村』で『気配消失』の仕事をしている・・・だからそう簡単に見つからないはずだが」

 「・・・駄目ね。あの人が裏切ってるわ」

 ブリランテがため息を吐いた。

 「あの人って?」

 デスペハードが問う。

 「2年前に『ディナステーア』の『東区』から移住してきたあの『魔族』よ」

 俺は丘の上で見た、ジュビアの両親に近づいていた『魔族』を思い出す。

 黒い髪は一つに結ばれ、眼鏡をかけた鋭い瞳。

 高身長。

 行き場が無くてここに来たとか聞いていた。

 セミリャの手伝いとして働き、すっかり村民として受け入れられていたあの女。

 「・・・まずいな。助けに行くか?」

 「・・・難しいわね。『四天王』が1人、24人の『魔族』を引き連れてこっちに向かって来てる。この村から私とセドロのどっちかが欠けたら守り切れないかもしれない」

 「だが、私たち『ミエンブロ』の仕事は『ブランコ村』の隠蔽と守護だろ?」

 『ミエンブロ』?

 なんの話だろうか?

 「その通りよ、でも、セドロ?この村を捨てられる?」

 ブリランテに言われたセドロが頭を抱える。


 「無理だ。この村は捨てられない」


 セドロの返答に頷くブリランテ。

 「えぇ、だから、まずは向かってきている『四天王』と『魔族』を討つ。アスセーナの『練度』はかなり高いから簡単には見つからないはずだわ。たとえ、あの裏切り者が、『ブランコ村』の位置情報を持っていたとしても」

 「そうか・・・そうだな」

 セドロは頷いて納得する。

 「仲間を信じて任せる。『量才録用』。私達のパーティーの信条の1つよ」

 「そうだったな。アスセーナを信じよう」

 セドロの様子に頷いたブリランテが瞳を薄く開けた。

 瞳からは、青い炎のような何かが揺れている。

 「それに、もっと不味いことになってる。これは・・・どっちにしろ助けには行けなさそうね」

 「なんだ?なにがあった?」

 俺はブリランテの話し方に違和感を覚える。

 現在進行形の情報なのか?

 まるで見ているかのように話しているのだ。

 それに、あの瞳に揺らめいている青いもやはなんなのだ。

 ジュビアが使う『強化魔術』で身に纏うもやに似ている気もするが。

 なにか、『魔術』を使用して敵の情報を奪っていたりしているのだろうか?

 「『魔獣』達も動き始めてるのよ!・・・くっ、そういう事だったのね。あの『ドラゴン』も・・・」

 何やら1人でぶつぶつ言っているブリランテ。

 「落ち着け!しっかり教えてくれ!」

 セドロがブリランテの肩を掴んで目を合わせる。

 はっとした顔のブリランテ。

 頭を振って頷く。

 「えぇ、『魔獣』は『ブランコ村』に向かった方の『四天王』が操ってるわ。『魔族領』から連れてきたものと、こっちの『魔獣』合わせて138体。その全てをこっちに向かわせてる・・・あ、また44体増えたわ・・・くっ、『ミエド』まで!?」

 とんでもないことになってないか!?

 俺たちはあまりの出来事に身震いする。

 隣のサティスはよく分かってないようだが、何となく雰囲気を察しているのだろう。

 真剣な眼差しで母を見つめている。

 「くそ!とりあえず時間がない!『アルコ・イーリス』!これからの事を伝える!心して聞け!」

 俺たちは全員姿勢を正す。

 「ラーファガ!お前はサティスに次ぐセンスの塊だ!それなりに戦えるだろうが、『魔獣』にはまだ通用しない!戦えない住民を村長の家の地下室、避難所まで連れていけ!」

 「わ、わかりました!」

 「ビエント!アイレ!お前らは『攻』と『守』を互いで補い合えばどんな『魔獣』も倒せる!ラーファガを守ってやるんだ!」

 「うん!」

 「いわれなくても」

 「「ラーファガを守るよ!」」

 双子が、緊張しているラーファガの左右に立って肩に手を置く。

 「カリマとデスペハードは2人で周囲の『魔獣』を集めつつ殲滅しろ!2人の『攻』派の『練度』と『魔術』、連携なら、問題なく戦えるはずだ!だが、『体力』の配分には気を付けろ!」

 「「了解!」」

 「ベンタロンとブリッサは、エスタシオナールに状況の報告後、『自警団』と共に戦え、2人の掃討力は貴重だ!『自警団』が『魔族』に集中できるようにいち早く『魔獣』を掃討しろ!」

 「「はい!」」

 セドロの隣でブリランテが頬に手を当てながら口を開く。

 「サティスとフェリスは、私と一緒に来て頂戴。『四天王』が引き連れている2体の『魔獣』、『自警団』と私たち大人以外では、あなたたちじゃないと対処できないわ」

 「わかったわ!」

 サティスが元気よく、獰猛な笑みで答える。

 しかし、そこまで切羽詰まっているのか・・・!

 頷く。

 「任せろ」

 「ふふっ。頼もしいわ」

 「よし、私は、『魔族』の討伐を手伝った後、ブリランテに合流するとして、最後に」

 セドロが深呼吸して真剣な表情をとる。


 「いいか?『魔族』とは戦うな。こうやって戦いに来る『魔族』は、こっちで言う『騎士』に近い。しっかりと鍛錬を積んできた者たちだ」


 俺は拳を強く握る。

 この場にいる全員が理解する。

 鍛練を積んだ大人が敵だ。

 戦争なのだ。

 「だから、『魔族』の相手は私たちがする。わかったな!?」

 『アルコ・イーリス』は全員頷いた。

 俺たち子どもにはまだ相手できないと言うこと。

 つまり、『ミエド』を冠する『魔獣』より厄介であると言うこと。

 肝に銘じた。


 「では、解散!・・・死ぬなよ!」


 全員返事を返して駆けだした。

 俺とサティスもブリランテの前に行く。

 と、ブリランテから剣を持たされた。

 あの、短剣。

 俺は青い装飾の直剣。

 サティスは赤い装飾の曲剣。


 「じゃ、行きましょうか」


 この戦いは大切なもの。

 死と隣り合わせの文字通り戦場。

 油断は許されない。

 俺とサティスは頷く。

 ブリランテが歩き出そうとして。

 

 「ブリランテ!」

 

 セドロに腕を引っ張られて抱きしめられた。

 

 「あら、どうしたの?」

 「・・・死ぬなよ。私が行くまで絶対に」

 「ふふっ来ても死なないわよ。みんなで生き残るの」

 抱きしめ返すブリランテ。

 「・・・そうだな。また後で」

 「えぇ、また後で」

 名残惜しそうに離れた2人。

 「それじゃ、しっかりついてきなさい?」

 ブリランテが言いながら足早に『道場』から出て行った。

 「行ってくるわね!お母様!」

 「行ってきます!」

 「あぁ!2人も気を付けろ!」

 セドロにぎゅっと抱き締められた後、俺とサティスはブリランテを追いかけた。

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