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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第四部 青年期 『1年生編』 前編
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『体育祭1年生編』 『昼食』

 長距離走で圧倒的体力差を見せつけて勝利し、どや顔でサティスとファセールに勝利報告に行った頃、午前の部が終わりを告げた。


 俺、サティス、ファセール、アミ、ミーゴ、ティンが図書館近くの『噴水広場』で集まっていた。

 俺とティン、サティスが露店に昼食を買いに行く事になり、生徒が自主的に販売している様々な料理を買いあさっていると午後から参加の2年生と3年生たちがちらほらと見え始めた。(生徒会と手伝いのボランティアは午前中からいた。 ちなみに俺のスタート時の合図はスィダがやってくれた)

 焼きそばの様な物や、りんご飴の様な物、串焼きの様な物にチュロスなんかが売っていて驚いた。

 前世と似通った食べ物ばかりだったからだ。

 興奮気味に色々な物を両手いっぱいに抱えて、『噴水広場』に戻ろうとしたところで呼び止められた。


 「あら、ティン、フェリス、サティスではありませんこと?」


 3人で振り返るとそこには金髪の美人が2人、動きやすいラフな格好で立っていた。

 スィダとエンシアだった。

 午前中着ていた、普段着の豪華な装いと違って、動きやすい服を着ているのを見るに着替えたのだろう。

 

 動きやすい服とは、前世で言うジャージだ。

 この学院の商業区にも出店している『ハッピーセレクター』の売り出す服はどれも前世を思い出させる。

 今俺たちが着ている服もぶっちゃけ前世で来ていたジャージとさほど変わらないものだ。

 まぁ、暑い為、Tシャツだが。

 まぁ、このTシャツでさえ前世の着心地と変わらないため、やはり、『ハッピーセレクター』を開業したのは『転移者』か『転生者』なのだろうと思う。

 価格もリーズナブルで、これは儲かるなと何度か感心した。

 まぁ、相変わらず赤と黒、それに近い色は殆ど無いが。

 俺の着ているジャージだって、青を基調としたものだ。


 「お! スィダ、エンシア! 2人も一緒に食べるか?」


 俺は、2人にそう提案する。


 「あら、丁度お昼を食べにここへ来た所なのですわ! エンシアお姉さま! 良いかしら?」


 「えぇ。 勿論ですわ。 ご一緒しましょう」


 という事で2人もそれぞれで購入していた昼食を手についてくることになった。

 2人を加えた俺達5人は『噴水広場』に戻った。

 そこには、いつの間にか青い布製の敷き物を広げてアミとミーゴが座っていた。

 なんと、一緒にニエベが座っていた。


 「あ! 先生! 皆! お邪魔してたよ!」


 ニコニコ笑顔で手を振るニエベはどうやら、素の状態らしい。

 『風紀副委員長』や『図書委員長』などの立場として活動している時は敬語だが、こういった素で話している時はため口だ。

 『神聖騎士団』時代の癖か何かなのだろう。


 「お! ニエベも来たんだな!」


 俺は手に持っていた食事を、敷き物の上に並べながら答える。

 

 「うん! 午後からはとうとう団体戦だからね! 負けないよ~! 『東西帽子取り』を勝利するのは私達『西』チームだからね!」


 得意げに胸を張る。

 

 「えぇ、わたくし達は負けられませんもの! たとえ、サティスとフェリスが相手でも引く気はありませんわ!」


 スィダの発言に早速りんご飴に口をつけていたエンシアが無言で頷いた。

 意外とやる気らしい。


 「おうよ! 俺もいるんだ! 簡単にはやらせねぇぜ! 少年時代のリベンジマッチだ! アイツはいねぇがな!」


 ティンもやる気である。

 あいつとは俺たちのリーダーの事だろう。

 コルザは元気だろうか。


 ふと、俺たちの様子に、ファセールと話していたアミとミーゴがあわあわし始めたのが目に入った。

 俺達が思っていたより本気である為、驚いているのだろう。


 「ふん! コルザが居なくても大丈夫よ! 私、ちょっと本気出すから!」


 サティスが胸を張る。


 「・・・気を付けてよ?」


 ファセールがサティスの傍によって声を掛ける。

 サティスが本気を出せばこの学院は崩壊する。

 それに『贖罪の業火』は目立つ。

 知っている者が見れば、俺たちが『ディナステーア王国』から逃げて来ているのがバレてしまう。

 が。

 少しくらいなら本気出してもいいだろう。

 俺もサティスも『剣舞術』があるのだから。

 

 「ま、俺は本気出すけどね!」


 なんて、サティスに乗っかると。


 「えぇ!?」


 とファセールが驚いていた。

 あわあわしているのも可愛い。


 「くくっ冗談だよ。 大丈夫。 俺の『魔術』は使わないから」


 俺は安心させるように耳打ちする。


 「ひゃう!?」


 耳を押えて後ずさる。


 「ちょっと! 止めてよね!」

 

 怒る。

 

 「え? ごめん」

  

 そんなに嫌だったのか。

 少し傷つく。

 

 「・・・まったくもう。 2人とも、くれぐれもボク達の事がばれないように本気出してよ?」


 ファセールがため息をつきながら忠告してきた。

 

 「当然よ! ファセールの為だもの!」


 サティスの言葉に俺は頷く。

 一応、俺達が『ミエンブロ』である事はまだバレていない。


 俺はちょっと体力が凄い、なぜか『舞剣術』が上手な『魔術科』の生徒の立ち位置だし、サティスは『剣舞術』がとても上手な赤髪っぽいの女の子だ。

 まぁ、サティスは赤髪っぽいと思われている為、あの嫌な物を見る視線があるが、『ディナステーア王国』や『天族』の国までの偏見は無い。 同じように赤っぽい髪の子も通うこの学校ではそこまで目立たないのだろう。 実際、アミとミーゴも淡紅色だ。

 俺の青髪も珍しい上に分かる人には『空間魔術』の事は知られているのだろうが、この学院では目立つときに使用したことは無いため、使えない、あるいはそこまで上達していないと思われているだろう。

 分かる人には『空間魔術』の『魔術覚醒』の条件が、『空間魔術』に触れる事である事も分かっている為、俺がまだ触れた事が無い人と思われている可能性があるのだ。

 そのため、俺達は、何だかんだでちょっと優秀なひとつのグループとして見られているはずだ。

 そこで首を傾げているアミとミーゴには悪いが、今はまだ秘密である。


 とまぁ、これから始まる『東西帽子取り』の前に互いに火花を散らしながらも和やかな会話をしながら昼食を摂るのであった。


 スィダとエンシアが居る為か、周囲の視線は少し気になったが・・・。

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