『迷宮編』『エピローグ』
『ミエンブロ』は私に可能性を示してくれた。
『転生者』。
『赤い髪』。
『魔人』。
『罪人』。
そして『奇形』の私。
これでも一応王になるために色々と学んでいるのだ。
だからわかる。
全員がいわゆる普通の外に居る。
そんな私達がひとつのパーティとしてやってのけた。
嫌なことも楽しいことも共有して、一緒に『努力』して。
あの、『ミエド・ドラゴン』にも打ち勝ったのだ。
皆で過ごした日々は私にとって大切な思い出だ。
最後は『英雄パーティ』にまでなった。
この宝物のような日々を私は誇りに思う。
そして、『英雄パーティ』になってから、町の人々が私を見る目が変わった。
そう、『ミエンブロ』が変えてくれた。
それだけで、私はもう返しきれない恩がある。
なのに、私の目指す夢への可能性も教えてくれたのだ。
感謝してもしきれない。
あぁ、本当にこの1年と少しは私にとって、とても楽しい時間だった。
私の『奇形』を流してくれる彼らとの日々。
その心地よさに私は心の底から喜んだ。
私の様な『奇形』でも楽しい時間を過ごせたのだ。
私はこの時間が続くような。
いや、国中の皆がこういう風に過ごせる国を作りたい。
フェリスから教えて頂いた『心地よい無関心』。
それが実現できる国にしたい。
それを分からせてくれた。
そんな、私の大切な居場所が今日でとうとう海の向こうに行ってしまう。
次に会えるのはいつになるか分からない。
だから、精一杯の感謝を込めて、私は私の事を伝える。
本当は秘密にしなければならない事だ。
それでも、私にできた親友との約束もある。
船に乗り込んだ4人。
手を振り、出航。
船尾から仲良く並んで手を振り続ける4人。
私は港の海ギリギリまで駆け寄る。
そして叫ぶのだ。
私の本当の名前を。
そして親友に誓うのだ。
頑張る貴女の力になる事を。
息を深く吸う。
そして叫ぶ。
「我が名は『ディバースィダ・ドラドアマリージョ』! 王位継承権第6位! わたくしは必ず継承権1位を取り、この国の王になりますわ!! そして、シオン!! 王になった暁には貴女の助けになる事をここに強く誓いますわ!!!」
固まる『英雄パーティ』『ミエンブロ』
私の大切な居場所『ミエンブロ』。
「「「えぇえええええええ!!???」」」
見事な絶叫。
身を乗り出し、同じ顔で驚くコルザとサティス、フェリスが面白くて笑った。
笑顔で別れられそうで良かった。
と、3人の後ろから大きな声が響いた。
遠くからでも伝わってくる大きな声。
彼女の初めて聞く、大きな声。
「私も! 夢を諦めません! そして、『贖罪』をしっかり終えたら暁には貴女に恩返しします!! だから、元気で! また会いましょう!!」
コルザとサティス、フェリスが驚いた顔で彼女を見ていた。
素敵な笑顔。
『コネクシオン・インディゴ』。
私に出来た、親友。
初めて大きな声を出したからだろう、涙目で咳き込んでうずくまっていった。
決まらない最後。
それがなんだかとってもシオンらしかった。
だから、笑えた。
笑顔での別れだ。
「本当に・・・よかっだでずわ」
潤む視界の中、遠ざかっていく船。
笑顔で見送る。
泣いてないですわ。
だって、シオンも泣いてない。
だったら私は笑顔で送り出す。
また、会える。
そう信じて。
もう一度ここに誓う。
『多様性の国』を目指すのだ。
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これにて『迷宮編』が終了となります!
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さて、次回からは『ディナスティーア王国』への帰路につきます!
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