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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第三部 少年期 後編 『迷宮編』
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『転移迷宮 1階』

 『獣人属領』『南西部』。

 『転移迷宮』『入口』。


 「今回は予定通り、無理せずに1階を攻略してみよう」


 コンクリートのピラミッドを見上げる。


 俺達『ミエンブロ』は、昨日の街探索の後、ゆっくりと体を休めてこの場所に来ていた。

 朝、1階の食堂で合流した際、目を合わせようとしなかったサティスだが、今はいつもの調子に戻っていてちょっと安心した。

 隣のコルザがニヤニヤしていたのは何だったんだ?


 俺たちの目の前には迷宮の入り口。

 人工的に切り取られた入り口だった。


 「昨日も説明しましたが、転移の罠には気を付けて下さいまし、それ以外は簡単ですわ! そして、地下1階以降は『魔物』『魔獣』『ドラゴン』が出現します。 地下2階は『魔獣』と『魔物』の巣窟。 地下3階からは数が減りますが、強力な『魔獣』や『ドラゴン』が出現し始めますわ。 地下4階以降は地下3階にある『冒険者ギルド』の『支部』で話しますわ。 とは言え地下3階までの道のりは険しい。 1階であっても、いくら地図があるとはいえ、油断しないでくださいまし?」


 スィダの説明に気合を入れなおす。

 気を付けねば。


 「うん。 だから無理せず行こう 『ミエンブロ』、攻略開始だ!」


 コルザが前に足を踏み出す。


 「えぇ! 絶対攻略するわよ!」

 

 サティスがわくわくした表情でそれに続いた。

 

 「必ず触媒を手に入れますよ」

 

 ガッツポーズをとりながら進むシオンさん。

 

 「あ、待ってくださいまし! わたくしが案内しますわよ! 地図は頭に入れましたので!」


 てててっとそれを追い掛けるスィダ。

 

 「俺も、頑張るぞ!」


 俺も左手のひらを右手で殴り、気合を入れつつ足を進めた。


 ○


 中に入ると懐かしい迷路ゲームを思い出す作りだった。

 巨大な壁により道が限られるその様に懐かしさを感じる。

 壁に括り付けられた松明のおかげでよく見える。

 恐らく、『冒険者ギルド』の冒険者が定期的に付け替えたりしてるのだろう。 感謝だな。

 そんな壁は、天井とくっついているため、上に『転移』してズルをする事は出来なそうだった。 と、言うか大人3人並んで何とか歩ける道幅であり、狭すぎて『転移』を上手く使用できるか不安になる。


 「フェリス。 『空間把握』で罠を知らせてくれ」


 コルザに言われて俺は頷く。

 俺が罠を探知してやれば安全に進める、昨日の会議で話し合った事だ。

 コルザの『空間把握』は俺と違って『亜空間』に特化しすぎて『空間』を上手く捉えるまでいけていないからな。

 俺は目に『魔素』を集める。

 ここは俺の頑張りどころだ。


 「『空間把握』『全』」


 視界が青く染まる。


 「凄いですわ! 青い『魔素』がわたくしにも見えますの!」


 驚いて目を見開くスィダ。

 他の3人はもう驚きはしないのでちょっと嬉しくなる。


 「・・・ですが、そんなすごそうな『魔術』。 使用し続けるのは疲れません?」


 スィダの言葉にはっとする。

 

 「・・・そうだな。 うん。 ちょっと配分を考え直すか」


 俺は、見なければならない物を考えながら取捨選択する。

 結果、目に移る範囲で『魔素』をメインに把握するようにした。

 透視する範囲も、全力ではなく10メートルほどに抑える。

 結果、体力の消費がかなり抑えられた。


 ・・・こういう使い方が身につけば、燃費が良くなって『空間掌握』の成長につながるかもしれないな。


 と、考えながら周囲を見渡す。


 「フェリス、罠は無いのかしら?」


 「おう、ちょっと待ってくれ」


 ・・・て、あれ? これあれば地図とかいらなかったんじゃ?


 俺はふと思いつくが、体力の温存を考えれば必要かと思いなおす。

 と、考え事をしながら情報を処理する。

 『魔物』や『魔獣』の存在があるにはあったが、数は少なく、道さえ間違わなければ楽に通れそうであった。

 そして肝心の罠であったが、青い『魔素』が見える箇所があった。

 地面の数か所にあるのみであったが、踏めばきっと『転移』されてしまうだろう。

 ただ、不思議な物で、その『魔素』、ただの『転移』の動きとは違うのだ。

 『転移』するとき、『空間魔素』は移動先に向けて準備運動の様に軽く動いている物なのだがあの『魔素』はその場にまるで『亜空間掌握』の様な穴を小さく開けて、そこに入ったり出てきたりしているのみであった。 『亜空間把握』と決定的に違うのは、漆黒ではなく、純白である事だろう。

 コルザにその事を伝えるとコルザも『魔素』を把握し始めた。


 俺とコルザで互いに罠を把握する事で体力消費を抑えつつ前に進む。 サティスも『野生の勘』で罠の大体の位置が分かるらしいが、『魔物』や『魔獣』の感知を既に頼んでいる。 これ以上頼むのは負担になるため、罠の事は頼んでいない。

 スィダには頭の中の地図に集中してもらい道案内を頼んでいる。

 シオンさんには、どうしても避けられない『魔物』や『魔獣』を『契約』によって無力化して貰うことになっていた。


 これが、昨日の作戦会議で決めた『迷宮攻略』の動きだ。

 体力さえあれば何かあっても対処できる為、出来るだけ温存して前に進んでいくことになったのだ。

 と言ってもまだ1階、これから『契約』だけでどうにもならない敵がやってくるだろう。

 体力を温存できなくなっていくと思うが、今はとにかく温存だ。


 ○


 「とりあえず、ここまでは本当に簡単だったね」


 気づけば、地下1階に続く階段に難なく辿り着いていた。


 「物足りないくらいだわ」


 コルザもサティスもあまりの拍子抜けさに肩透かしを食らっている。


 「皆様が凄いのですわ。 普通こんなに簡単にここまでは来れませんわよ」


 ふふっと笑うスィダ。


 「これなら地下1階以降も楽に行けるんじゃないかい?」

 

 コルザが冗談っぽく言って笑う。 


 「そうね! 楽勝よ!」

 

 サティスは獰猛な笑み。

 もう少し戦いたかったのだろう。

 俺は正直戦わなくていいならそれで良いと思っているが、サティスは経験が物を言うからな。

 

 「それじゃあ、予定より少し早いので試しに潜ってみますか?」

 

 シオンさんも拍子抜けだったのだろう、普段は言わないような楽観的な事を言う。


 「そうですわね。 皆様なら行けると思いますわ!」


 スィダも笑顔で言う。

 俺達の実力が想像以上で安心しているのだろう。

 

 「じゃ、行くか」

 

 俺だってそう思った。

 思った以上に簡単だったのだ。

 

 だから、想像できなかった。


 地下1階以降の過酷さを。

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