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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第二部 少年期 前編 『人形編』
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『召喚魔術』

 『王城』出入り口からここまで数十メートル。

 俺も『コネクシオン・インディゴ』さんに駆け寄る。

 ぽてぽてと走る彼女の速度に痺れを切らしたのだ。

 近づいた時には息が切れていた。


 「体力・・・ないんですね」


 「へあ!? ごっごめんなさいぃい! わ、私、ひきこもりでぇえ」


 「あぁ、別に大丈夫ですから。 で? 『コネクシオン・インディゴ』さんこそ何でここに?」


 「ふっ、フルネームなんて・・・。 わ、私の事はシオンでか、構いませんよ・・・はぁはぁ」


 「そ、そうですか。 じゃあシオンさん。 どうしてここに?」


 「は、はいぃ・・・。 わ、私はまた、お、王様に怒られてましたぁ・・・」


 しょんぼりズーンと肩を落とした。


 「それは災難でしたね・・・」


 「良いんです・・・い、いつものことですから・・・。 それで、フェリスくんのそここで何を? ここは『王城』ですよ?」


 息を整えたシオンさんが頭を上げて聞いてきた。

 そんなことは知っている。


 「あぁ、『ミエンブロ』で依頼をこなしてる途中です。 『猫探し』をしてました」


 「そうなんですねぇ。 お疲れ様です。 あ! ちなみにどんな猫ちゃんなんでしょう? お役に立てるかもしれません!」


 グイっと腰をかがめて両手でガッツポーズを作り、俺へと顔を近づける。 いつもの柑橘系の香水が鼻孔を擽った。 胸元に視線がいきそうになって目をそらす。


 「そ、そうですね。 黒猫です。 首に2つの鈴が付いた、左目の回りだけが白い黒猫。 名前はガートです」

 

伝えたところでどうもならないだろうが、一応特徴を教える。


 「ふむふむ・・・。 分かりました! この『北区』を探してみますね!」

 

 「え!? 大丈夫ですよ! 忙しいですよね!?」


 何より無い体力で探せる範囲などたかが知れている。


 「いえいえ! フェリスくんの為になるなら私、この身を粉にさせてもらいます!」

 

 言いながら気合をさらに入れて、鼻息を荒くするシオンさん。

 いや、本当に粉にしそうで怖いんだよ。


 「いやいや、だって『北区』だけでも相当広いですよ!? シオンさんにはちょっと大変なんじゃ!?」


 「大丈夫です! 探すのは私ではありませんので!!」

 

 私じゃない? どういうことだ?

 思った瞬間、シオンさんが両手をパンッと合わせた。


 「『召喚魔術』『契約召喚』」


 『魔術』の発動である。

 初めて見る『召喚魔術』。

 シオンさんの周りに初めて見る、魔方陣のような藍色の光を放つ円形の模様が4つ浮かんだ。


 「『鳥』」

 

 円形模様が半分に割れ、扉のように開いていく。 と、中から白い小鳥が1匹ずつ出てきた。 計4匹の白い小鳥がシオンさんの周りを飛び回る。


 「すごい。 これが『召喚魔術』・・・」


 俺は前世の『召喚獣』的なものを思い出してテンションが上がる。


 「すっ凄いなんてそんな! こ、こんなの、出来て当然ですよぉ」


 デレデレと言いながら嬉しそうにはにかみ、後ろ頭を掻いてクネクネするシオンさん。


 「あ、時間切れになる前に! 早く探さないとですね」


 何とか自分で気を取り直したシオンさん。

 今度は目を瞑りながら右手を前に突き出す。 また藍色の魔方陣。 今度はそれが右手の平前に浮かぶ。

 

 「『視覚接続』『情報共有』『捜索命令』」


 魔方陣が4つに増え、小鳥それぞれの頭に飛んでいき、サイズを変えて額に付く。

 

 「行ってくださいぃい!」

 

 シオンの命令に反応するように小鳥たちが4方向へ飛び立っていった。

 

 「何をしてるんですか?」

 

 目を閉じたまま動かないシオンさんに聞いてみる。

 

 「えとえと、今私の視覚は4匹の小鳥さんたちと共有されていますぅう。 猫の情報を共有して探してもらうように命令したので、今、『北区』内を探して貰っていますぅう!」


 「え? 4匹全部と共有してるんですか?」


 「はいぃい。 そっそんな事より大変ですぅう」


 そんな事って、酔ったりしないのか? ていうか、4つの視覚情報を話しながら捌いてるのか? シオンさんって、本当は凄いんじゃ?

 

 「大変って!?」


 慌てたような物言いに俺は焦って状況を聞く。

 猫の身に何か!? それとも『人形』か『義賊』か!?

 

 「すっすみませぇえんっ! ぜ、全然見つかりませぇん!!」


 「だめじゃん!!」


 「ふえぇええん」

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