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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第二部 少年期 前編 『人形編』
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『階級上げへ』

 『北区』『ノルテ王国方面関所』。


 俺、サティス、コルザの『ミエンブロ』の3人は、『北区』にある、『王城』の裏。

 『城下街』『ディナステーア』を囲う背の高い壁の前に来ていた。

 そこは、この街の東西南北にある『関所』のうちの1つである『ノルテ王国方面関所』がある場所だった。

 あまり人通りのない『関所』である。

 外には蒸気機関車の駅もあるのだが、今は動いていないらしい。

 

 「確認完了。 通って良し。 気を付けて」


 俺たちは『冒険者証』を『関所』の門兵に見せて通り抜けた。

 壁の外に出る。


 「お~・・・これが『城下街』の外か」


 俺はワクワクする気持ちを隠せない。


 壁の外は、自然豊かな美しい風景が広がっていた。

 山、川、森。

 花、鳥。

 見渡す限りの大自然だった。


 ・・・そういえば虫を見たことがないな。


 ふと、過去を振り返って思った。

 まぁ、苦手なので助かるが。

 

 「あ! フェリスは初めてなのよね!?」


 俺の隣で、風に美しい『深紅』の髪を揺らしながらサティスが聞いてきた。


 「そうなんだよ。 サティスは初めてじゃないのか?」


 「えぇ! コラソンに連れられて何回か出たのと、それからは1人で『冒険者』の仕事をするために何回も出ているわ!」


 なんと、ベテランではないか。

 関心である。


 「それじゃ! フェリスの『階級』をさっさと上げちゃいましょ!」


 言って駆け出したサティス。

 

 「ちょっ! 早い早い!」


 俺は急いでそれを追いかける。

 下は、白い石畳。

 舗装された道は、このエアーズロックのような山の上。 最北端まで続いているらしい。 行きつく場所は、『人属領』『ディナステーア王国』の『属国』、『ノルテ王国』だ。

 今日は『城下町』付近で『魔獣』を狩るため、行かないが、いつか見に行きたいものだな。


 〇


 しばらく駆け抜けて、原っぱの上。

 舗装された道は早々に東の方にそれた。

 『ノルテ王国』まで続く線路を飛び越えてしばらく走った場所。

 何もない原っぱの上に『魔獣』がいた。


 「・・・おぉ。 もしかしてあれが?」


 俺は後ろを歩いていたコルザに問う。

 

 「あぁ、間違いないね。 報告があった場所だし、討伐依頼の『魔獣』で間違いないね」


 コルザが腰の直剣を抜きながら答えてくれた。

 サティスも俺の右隣で『曲剣』を抜いている。

 俺も後ろ腰に刺した双剣の片方、短剣の方に手を伸ばす。


 『ミエンブロ』の視線の先。

 そこにいたのは20体ほどの羊の『魔獣』の群れだった。

 メーメー鳴きながら草をむしって食べているが、『魔獣』のため、普通に人も食う。


 俺の『階級』を飛び級で一気に『金』に上げるため、『ミエンブロ』は、『魔獣』を討伐にきたのだ。


 ついでに『冒険者ギルド』の『掲示板』から仕事を1つ選んだ。

 


『魔獣討伐』

・依頼日 レイ暦271年4月18日。

 ・場所  『ディナスティーア王国』『城下街』『近郊の草原』

 ・依頼者 『冒険者ギルド』

 ・目的  羊の『魔獣』の討伐

 ・理由  『城下街』の安全確保のため

 ・内容  『銀階級冒険者』『バスラ』が、付近に『魔獣』の群れを発見。

      一刻も早い討伐を求む。

 ・備考  『魔獣』の群れのため、実力が証明できない場合は受けることができません。

 ・報酬  かなり多め。



 昨日の日付だったため、早い方が良いと言うことで、これにした。

 昨日、しばらく依頼を受けれないと言われていたレセさんが、この依頼を受けてくれることを知り、喜んでいたのを覚えている。

 なんでも、『魔獣』を倒せるパーティが軒並み別の『討伐依頼』で出払ってしまっていたらしく、このままでは『騎士』の力を借りるしかないところまで来てしまっていたのだそうだ。


 と、まぁそんなわけで俺たちは今、羊の『魔獣』の群れを相手することになっている。


 「・・・いいかい? 今日はフェリスの『階級』を上げるための戦いだ。 しっかり戦うように」


 「あぁ。 それはわかってる。 ただ、ふと思ったんだが。 俺が一人で倒したって証明はどうすればいいんだ?」


 羊たちは草を食うのに夢中である。

 会話するくらいの余裕はあるだろう。


 「僕とサティスが証明になる。 『金』階級以上の人が証明人になるんだ」


 「え、でも、それって」


 「あぁ、嘘もつけるだろうね。 でも、嘘をついて飛び級させてもこちらにメリットは一つもない。 ばれたら『冒険者資格』をはく奪されるうえに、憲兵に捕まって、罪を償わなければならなくなる。 そもそも、実力にそぐわない階級を与えるという事は、死ねって言ってるのと同義だ」


 「・・・そうか。 でも、『階級』が上がれば給料も上がるとかないのか?」


 「あぁ、そういえば説明してなかったね。 『冒険者』の事を教えるのも『銀』階級以上の『冒険者』の仕事だった。 いいかい? 給料は依頼の額だ。 やらなければ稼げない。 仮に『金』階級が初心者向けの『依頼』をこなしても報酬は変わらないんだ」


 「そうなのか」


 「まぁ、階級が上がるっていう事は、『冒険者ギルド』から難しい仕事を回されるようになるっていう事だから、初心者向けばかりやることはほぼ出来ないんだけどね」


 つまり、『階級』はその『冒険者』の実力を証明するためのもので、仮に嘘の報告で上の階級になったところで、周りからすげぇと勘違いされるだけという事か。

 しかも、難しい仕事から逃げることが難しくなる。 無理に上げても自分の首を絞めるだけという事なのだろう。

 

 「それじゃあ、証明を頼むぜ!」


 納得した俺は、コルザとサティスに親指を立てて頼む。

 コルザはやれやれと言った風にため息をついた。


 「わかったわ! まかせて!」


 サティスは元気に頷いてくれた。

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