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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第二部 少年期 前編 『人形編』
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『冒険者登録』 2

 「改めまして、私は『冒険者ギルド』『受付担当』の『レセプシオニスタ』と言います。 『レセ』とお呼びください」


 そう言って握手を求めてきた。


 「わかりました、レセさん。 私は『フェリス・サード・エレヒール』です。 よろしくお願いします」


 俺はそれに答える。


 今俺は、受付の長机を挟んで、レセさんの対面に座っている。

 左に座るコルザは、俺とレセさんの話を聞きながら、動き回っているサティスの様子を見ている。


 「さて、今回はフェリスさんの『冒険者登録』という事でしたが間違いなかったですね?」


 「うん。 それと、僕たちのパーティを組みたい。 一応、父さんの元でパーティは組んでるけど、『冒険者』としてのパーティも組んでおきたくてね」


 「なるほど・・・。 『英雄の娘』と『怪物二世』が所属するパーティ。 凄いことになりそうですね」


 微笑む綺麗なレセさん。

 

 しかし、正直、気後れする。


 2人とも、ちゃんと二つ名があって実力を示しているのだ。

 俺には何もない。


 と、レセさんが俺を見て、疑い深そうな目を向け始めた。

 二つ名は無いし、そもそも7歳の子ども。 2人に比べて明らかに弱そうなのも自覚がある。

 そういった目を向けられるのは仕方ないか。 

 俺と目があって表情を改めるレセさん。


 「あぁ、すみません。 失礼を承知で申し上げますが、フェリスさんの実力は足りていますか? 実力が足りない存在は、パーティの足を引っ張ることになり、生存率に直結します。 ましてや、お2人が所属するパーティです。 『魔獣』の討伐にも行きますよね?」


 「あぁ、そこは心配ない。 フェリスは十分強い。 『魔獣』、それも、『ミエド・オソ』を1人で討伐している」


 「・・・そう、ですか?」


 「あぁ、なんだい? 信じられないかい?」


 「まぁ、正直なところですが・・・。 ですが、まぁ、コルザさんのいう事ですからね。 本当なのでしょう」


 「うーん。 まぁ、仕方ないか」


 返された言葉に、頬づえをついて、ため息ながらに納得するコルザ。

 仕方ないのかい。

 なんなら、これから一体狩ってきますが?


 「フェリス、これは仕方ないんだ」


 納得していない俺の様子に気づいたのだろう、コルザが諭すように言ってくる。


 「と、言うと?」



 「普通の『冒険者』は、『魔獣』を狩れないんだ」



 衝撃の事実である。


 「え、でも、『アルコ・イーリス』のみんなは普通に倒してたぞ?」


 「あれは、特別。 普通の子どもは、『魔獣』を倒すなんてこと不可能だ。 普通、食われて終わり」


 「ん? 『アルコ・イーリス』? ちょっと待ってください。 聞いたことがあります」


 そう言って立ち上がり、奥に消えていった。

 しばらくして、書類とともに帰ってきた。


 「やっぱりそうだったのですね」


 書類を見ながら席について呟いた。


 「どうしたんですか?」


 「はい、以前、『ミエド・ハバリー』の『討伐』を『魔石』片手に報告しに来た有名な『冒険者』がいたのを思い出しました。 たしか、討伐したんですよね? 『オブヘディモ・セドロ・グラナーテ』さんが」


 突然出た、セドロの名前に驚く。

 そして、その『ミエド・ハバリー』はおそらく、セドロが一撃で仕留めたあの『ミエド・ハバリー』だろう。

 綺麗に割れた『魔石』を思い出す。

 

 「それでこの書類は、『ミエド・ハバリー』討伐による、『依頼達成』の『報告書』です。 見てください」


 指さした先に書かれていたのは、あの時の討伐に至るまでの過程。

 ちゃんと俺たちが破壊した部位の事も書かれていた。


 「『フェリス・サード・エレヒ―ル』が与えた傷と、『ミエド・ハバリー』の突進の勢いを利用して、『ベンタロン・セレステ』が左牙を破壊」


 レセさんが指で追いながら読み上げた。


 「たしか、当時4歳でしたか? フェリスさん」


 頷く。


 「たった4歳で、『ミエド』を冠する『魔獣』の牙に傷をつける実力。 その時から3年ですか? 先日まで『英雄』から修行をつけて貰っていたとも聞いています」


 言いながら顎に手を添えた。


 「・・・生き残ったのは幸運によるものだけではなさそうですね」


 ぼそっと呟いたのが聞こえた。

 

 「あぁ、失礼しました。 はい。 問題ないでしょう。 それでは、『冒険者登録』と『パーティ登録』をしていきましょう!」


 途端に笑顔に戻った。

 認めて貰えたという事だろうか。


 あの時の事を事細かに書いてくれていたセドロには感謝だ。

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