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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第二部 少年期 前編 『人形編』
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『邂逅』『レべリオン』 2

 『城下街』『ディナスティーア』。

 『南区』『商業街』。

 『第二大通』。


 回廊の隙間から覗く空は快晴。

 『商業街』には、大きな通りが5つある。

 それぞれ、食、衣服、武器や防具、生活必需品、趣味や娯楽品と言った物を販売している。

 ここは、その『第二大通』。

 食を中心にした大きな通りである。

 朝早くから、買い出しに来ている者。

 朝食を食べに来ている者。

 様々な人々が行きかう大通り。


 その道中の一か所を、大きな穴が開くように人々が避けていた。


 「なんだよ! 邪魔すんな!」


 その中心で叫び声をあげたのは、『人族』の少年。

 前髪の中心だけ金色に染め上げている、快活な少年。

 名を『ティンブレ・アルボル』と言う。

 仲間や親しい物からは、『ティン』の愛称で呼ばれている。

 左手に盗んだカバンを持つ彼が対峙しているのは、栗色に青のインナーカラーが入った一本結びの少女。


 「悪いね。 これも仕事なんだ」


 『ミエンブロ』『リーダー』『セロコルザ・アロサール』。

 彼女は剣を後ろ手に姿勢を低く構える。

 ティンもその様子に背中にある自分の背よりも大きな長剣に右手を伸ばす。


 「うわ! ちょっ! つっよ!」

 

 そんな構えようとしたティンの耳に届いたのは、仲間の焦った声。

 その声を発したのは、『エンプハール・ベルティエンテ』。

 仲間から『ハール』と呼ばれている長身の彼は、大剣で深紅の髪をした少女の猛攻を何とか受け止めていた。


 「やるわね!」


 獰猛な笑みを浮かべる『深紅』の髪の少女。

 『ミエンブロ』『メンバー』『サティス・グラナーテ』。

 

 「これはどうかしら! 『剣舞術』!」


 細かいステップを踏んで、切り込む。


 「『メヌエット』!」


 ただの切り付けから一変。

 剣に速度と重さが乗り、威力が倍増する。


 「うぐぅ!」


 ハールは、大剣を盾のようにして攻撃から身を守っているが、少しずつ後退し始めていた。

 その様子に焦るティン。

 

 「おや? 僕を前にして他の子を気にするのかい? 余裕だ・・・ね!」


 「ぐっ!」


 いつの間にか目の前に迫り、切りつけてきたコルザに、何とか反応して、身を屈めることで回避するティン。

  背中の剣を右手で強く握る。


 「『抜剣術』!」


 「来るかい?」


 「『煌』!!」


 鞘から長剣を一気に抜く。

 刃が太陽を反射させて輝く。

 目くらまし。

 だが、コルザはその技を知っていた。


 「甘いよ!」


 本来ならば、目がくらんだ相手に食らわせる高速の抜剣による一撃だが、コルザは持っていた剣で難なく受け止めた。


 「な!」


 「君、『義賊パーティー』『レべリオン』の『リーダー』『ティンブレ・アルボル』だろ? 数か月前から、話は聞いていたけれど、いい機会だ。 ここで、捕まえる」


 「俺たちを知ってたのか!?」


 「もちろん。 貴族の人たちから金品を盗んで闇市で売り飛ばし、できた金を『東区』の『スラム街』に住んでいる人たちに配ってるって。 食品だったこともあったかい?」


 「くっ、そうだよ! だが、『東区』の奴らが困ってるんだ! 俺たちが何とかしないと!」


 「君たちは、確か皆まだ7歳だろ? あそこで戦っている赤い髪の子と青い髪の子と同い年だ。 そんな子どもが何を息巻いているんだい?」


 嘲笑。

 挑発。

 

 「うるせぇ! 黙れ!」


 挑発に乗ったティンが持ち前の筋力でコルザを押し返す。


 「むっ」

 (僕が、年下の子に押し返された? でも、隙は多いね)


 一瞬、驚いた顔をしたコルザだったが、ティンの左手にあるカバンに、空いた左手で触れて、そのまま手元に『転移』させて奪う。

 奪われたのを取り返そうと、追いかけながら2撃目を食らわせようとするティン。


 「ティン! 駄目だ! そいつは『英雄』の娘だ! 敵が悪い!」


 息を切らし、鼻血を垂らしている青紫の髪をした、眼鏡の美少年。

 『ディネロ・アーラ』が、ティンの後ろに『転位』して叫んだ。

 隣には、ひーひー言っているハールの姿もあった。


 「な! こいつが!? くそ! 人殺しの血筋が!」


 「・・・そんな呼び方をするのは、父さんの頑張りを知らない人だけだよ。 そして、それは君の不勉強さが露呈する言葉だ。 さらに、その言葉は」


 コルザが目を閉じて開く。

 青く輝く。


 「僕を怒らせる」


 コルザの左右に直径30センチほどの黒い穴が開く。



 「『亜空間把握』『亜空間掌握』」



 「何言ってんだよティン! もう、馬鹿! 逃げよう!」


 アーラが焦りながらティンの手を掴んだ。


 「くそ! 覚えてろよ!」


 「逃がすと思うかい?」


 コルザの後ろ、左右から青と深紅が飛び出した。


 「「『剣舞術』『協奏』 『クラコヴィアク』!」」

 

 2人による、息の合った高速の刺突が3人に迫る。


 「ひえええええっ! 『大剣術』『第四障壁 塵』!」


 ハールが情けない悲鳴を上げながら大剣をふるって目くらましを作る。


 「くっ!」


 視界が遮られ、的を見失う青い髪の少年。

 『ミエンブロ』『メンバー』『フェリス・サード・エレヒール』。

 隣のサティスは『野生の勘』で的を見失っていないが、フェリスが的を見失ってしまったため、連携が崩れる。

 速度が下がる。

 狙ってやったことではないが、それは、逃走を間に合わせるに至る。



 「『人体転位』!!」



 アーラが魔術を発動させて、『レべリオン』は、『ミエンブロ』の3人から遠くに逃げた。

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