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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第二部 少年期 前編 『人形編』
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『邂逅』『レべリオン』 1

 『ミエンブロ』結成の翌日、さっそくボカから仕事を依頼された。

 ボカが行っていた仕事だ。



『要人への届け物』

 ・依頼日 レイ暦271年4月18日

 ・場所  『ディナスティーア王国』『王城』

 ・依頼者 ボカ・アロサール

 ・目的  届け物

 ・理由  要人に要求されたため

 ・内容  南区の商業街内のパン屋にて『ウマノパン』を購入し、王城内に住んでいる要人に届ける。

 ・備考  ついでに要人の話し相手になってやれ。

 ・報酬  ちょっと


 

 国の要人への届け物らしい。

 何でパン?好きなのだろうか?

 と言うか、そんな大事そうな任務を受けても良かったのだろうか?

 一応、王様からの許可は得ているらしいが。

 まぁ、依頼されてしまった以上はやらねばならぬ。


 なにはともあれ、『ミエンブロ』初任務だ!

 がんばるぞい!


 〇


 『ディナスティーア王国』。

 『城下街』『ディナスティーア』。

 『南区』『商業街』。

 

 『路面電車』にて、『南区』にたどり着いた俺達3人。 『万事屋パーティー』『ミエンブロ』は、『商業街』内にある『パン屋』を目指して歩いていた。

 場所はコルザが把握しているらしく、ついて行くだけで良い。

 コルザを前に、その左右を俺とサティスがついて歩く形。


 スリーマンセル。

 憧れのスリーマンセルだ。

 これだけでわくわくする。

 俺の愛した少年漫画では、3人パーティーは王道だ。

 某忍者漫画。 某万事屋漫画。 某呪術漫画。 某悪魔漫画。 等々きりがない。

 初任務が簡単な物も王道だな。

 楽しくて思わず笑顔になってしまう。

 

 「なんでそんなに上機嫌なんだい?」

 

 コルザがちょっと引く。

 

 「ニコニコへんなの~」

 

 サティスが笑う。

 

 「いやぁ、楽しいなぁと思って」

 

 「そうかい、それはよかったね?」

 

 「おう!」

 

 そんな風に平和な任務をこなしていた時だった。



 「きゃぁああああああっ!!」



 『パン屋』までもう少しといったところ、大きな建物が立ち並ぶ大きな道。

 沢山の『人族』やたまに見える『長耳族』と言った人々による雑踏の、その中心で悲鳴が上がった。

 そう言えば、こんな感じで簡単な任務が大きなトラブルに繋がって行くのも王道展開だった。

 

 「なにかしら!?」

 

 久しぶりに聞くサティスの口癖。

 気になった物に飛びつく性格も変わらず、気づいた時には駆け出していた。

 

 「待って!」

 

 コルザが追いかけてくる。

 俺はすでにサティスの隣を走っている。

 サティスの口癖に合わせて反射的に動いていたのだ。

 こういうのも久しぶりで嬉しく思う。

 ちゃんと反応できている事には安心だな。

 

 「あ! 人が倒れているわ!」

 

 サティスが指さした向こうには、沢山の人に囲まれている、膝と左手を地面に着いて、右手を伸ばす綺麗な服に身を包んだ美しい女性。

 ダークブラウンの髪と、普通の耳を見るに『人族』だろう。

 隣に向かうまでに「泥棒!!」と女性が叫んだのが聞こえた。

 その女性が叫んだ先には左手にカバンを持った少年。 彼の右隣に長身の少年。 左隣には、青紫の髪をした少年。 その3人組の男の子たちが、人の波を掻き分けながら逃げ去っているのが見えた。

 

 「コルザ!」

 

 俺は、お姉さんの隣にたどり着き、安否を確認しながら声を掛けた。

 

 「分かってるよ! サティス、僕とフェリスが先に行って足止めするから、その人を安全なところに!」

 

 「分かったわ! お姉さん、ちょっとごめんね!」


 指示を聞いたサティスがお姉さんを持ち上げて、道の端に寄せる。

 さすがサティスだ。

 力も強くなっている。


 「「『空間魔術』『転移』!!」」


 俺とコルザは同時に3人組の目の前、その上空へと『転移』する。

 しっかり、視界の中におさまる場所だ。

 

 「なっ!!」

 

 中心で鞄を持つ、驚いているのは美少年。

 ダークブラウンの髪の前髪に、金色のメッシ。 体躯は俺と大して変わらない。 同い年位だろうか。 そんな彼の背には鞘に納まった、彼の身長よりも長い長剣。

 戦闘になるな、これは。

 

 「クソ! ティン、どうする!?」

 

 そう悪態をついたのは、長身だが、まだ幼い雰囲気のある少年。 ダークブラウンの、縦に長く髪を積み上げた、積乱雲みたいな髪型(ふざけているのか?)をした相貌の整った少年。 彼の背にも太い大剣。

 

 「やるしかない・・・。 アーラ! やれるか!!」

 

 ティンと呼ばれた中心の少年が逆隣の青紫の髪をした眼鏡美男子に声を掛ける。

 

 「大丈夫だよ! ハール! 行くよ!! 『人体転位』!!」

 

 「おう!」

 

 眼鏡男子がアーラ。 長身積乱雲がハール。 中心のリーダーと見られる少年がティンか。

 3人の名前を把握したと同時、ハールが消えた。

 

 「なに!?」

 

 「フェリス! 上!!」

 

 コルザに声を掛けられ、即上を確認。

 そこには大剣で俺を切り裂こうとするハールの姿があった。

 

 「くそ! 『転移』!!」

 

 俺は身をハールの上に『転移』させつつ、腰の剣を抜く。

 今回は、父の形見の剣だ。 短剣(50センチ)よりも長く、80センチほどの長さがある。

 

 「『空間剣術』『転移切断』」

 

 放つは空間剣術、死角への『転移』と同時に放つ斬撃。

 まず躱せないだろう。

 

 「ハール! 上だ!!」

 

 ティンが下で俺の居場所を叫んだ。

 

 「ちょっと黙ろうか」

 

 コルザが腰の剣を抜いてティンに切りかかった。


 悲鳴を上げながら、周囲の人々が四散して逃げていく。

 結構目立ってしまっている。

 

 「くっ! アーラ! ハール!」

 

 「解ってるよ! 『人体転位』!」


 ティンに指示された、彼の隣に立つアーラが『魔術』を発動させる。


 「よし! 『大剣術』『第四障壁 塵』!」

 

 俺は、剣を振り抜いたが、ハールを捉えることは出来なかった。

 なぜなら、ハールはいつの間にかティンの隣に移動していて、地面に向けて大剣を大きく振るい、砂埃を巻き起こしていたからだ。

 コルザが『転移』で俺より上に逃げることで回避する。

 俺は、『転移』の準備が間に合わず、地に近づいていた。

 それが悪かった。

 

 「くっ」

 

 目に砂ぼこりが入ってしまい、視界が失われる。

 

 「アーラ! もう1回だ」

 

 視界が回復しない中、ハールの声が響いた。

 まずい!!


 「了解! 『転位魔術』『人体転位』!」


 『転位魔術』だと!?

 さっきからアーラと呼ばれている青紫髪の少年が使っている『魔術』の名前か!? 同じ『空間魔術』の使い手かと思って焦ったが、違うのか!?

 くっ、何にしろまずい!!

 地に足はついたが、視界が戻らない。


 「『大剣術』」


 ハールの声がした方に剣を振るう。


 「『空間剣術』『亜空切断』!」


 空間を切り開き、別の空間を広げるだけの目くらまし。

 俺が出来る、苦手な『亜空間』への干渉方法の唯一の方法である。

 時間を稼げれば!!


 「『魔の気筒』」


 だが、俺の剣はハールの大剣による回転に巻き込まれてしまい、不発に終わった。

 剣が巻き込まれて、ハールの元へと引き寄せられていく。

 その回転はそのまま俺の方へと向かう。


 「くっ」


 切り裂かれるのを覚悟した。



 「『剣舞術』『クラコヴィアク』!」



 後ろで剣のぶつかる音がした。

 この声はサティスか!


 「ありがとう!」


 俺はサティスが防いでくれた事に感謝しながら、瞬きを繰り返し、何とか異物を洗い流す。

 視界が回復し、周囲を見渡せるようになった。

 サティスがハールと、コルザがティンと対峙していた。

 俺は『転移』でアーラの元に飛ぶ。

 対峙。



 「さぁ、反撃開始だ!」

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