表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

朗読劇台本

卵か夢

作者: cyxalis

学校に行けなくなった少女たちと話す機会がありまして、彼女らの印象を朗読劇にしてみました。

いつだって、犠牲になってきた。

そう思い始めたのはいつだったのだろう。



「 一年生になったら〜。一年生になったら友達百人出来るかな」

テレビに流れる陽気な歌を一緒に歌う。

また新たな一年が始まるよと、春の訪れを伝えてくる。

小動物の赤ちゃんを見て、幼稚園児たちが首を傾げながら一つの言葉を繰り返している。

「かわいいー。」

「かわいいー。」

「わー。かわいいー。」


アニメテレビを観れば理想の主人公が出てきて、みんなに囲まれて幸せそうに笑っている。

優しくて強くて格好良い、みんなが夢見る理想の人物。

--あぁ、"これ"が正解なのか--

そうきっと、私は目指すものを間違えてしまったの。



小学生の頃、頑張って毎日にこにこ笑ってた。

学校でも家でも頑張って楽しそうに振る舞った。

そうするとみんなが笑顔になるから。

それが出来る自分が誇らしかったし、それが"正解"だと思ってた。


中学生に上がってからは、二次性徴か成長期か分からないけど身体が重くなった。

ご飯も少なくして可愛く、運動も勉強も頑張っているのに。

1番たいせつな弾けるような笑顔が作れない。

そんな私を見て、みんな私から去っていった。

そんな自分が許せなかった。

理想の自分以外を誰かに見せるのも嫌だった。

だって嫌われてしまう。

気がついたら学校に通えなくなっていた。



家族に嫌われるのが怖くて、理由も言えずに部屋に篭ってサブカルチャーを漁っていた。

--どうしたら、みんな私を好きになってくれるのかな--

今の自分に出来る、理想の人物を探してネットの海にのめり込む。

気がついたら、身体がしんどくて外に出られなくなった。


私……なにをしているんだろう。

惨めったらしく親の脛を齧りながらこのまま死ぬのかな。

家族は好きに生きていいって言うけど、実際のところ私に良い娘でいることを求めてる。

私らしく生きるってどうしたらいいの?

みんなが求めるスーパーヒーローになりたかった、なりたかったよ。

でも、なれなかった。

そんな私は死んだ方がいいの?

そんな悲しいこと言わせないで。

私はみんなを笑顔にする為に、ずっと頑張ってきた。

頼んでないだなんて言わないでよ。

夢見た私が悪かったの?

夢を求めてる大人に言われたくない。


諦めることを教えて。

等身大で幸せに生きる方法を教えてよ。


私はいま、こんなにも苦痛に灼かれているのに。

家族は今日も、偉そうに一般社会の常識を説いている。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ