同室の宿命
旅行記です。
3月初旬、フランスに行ってきました。
「大人」とか「一人旅すごい」とか何か勘違いされて賞賛されますが、女ひとり旅だった者としては、色々ありましたよ。
そんなエピソードを話します。
※
その宿泊先は、駅から近く観光に便利とうたっていて、実際に宿泊した方達のレヴューも良かった。私は予約するとき、こんなに評価良くて安いなんていい宿なんだなぁと考え、コスト面も考えて初日に予約したのだ。
でもさ。
地下鉄から出たら、もう日が暮れてるし。
日本で生活している私にとって、そこってまぁまぁのスラム感がただよっていた。人通りはまだあったので安心だったけど、ロサンゼルス、ダウンタウンでの裏路地を思い出したし、夜中あっちは銃声も聞こえていたことを思い出す。ブルっと身を正した。
これは気をつけろってことねと、恐る恐る宿に入ると、一階受付は、なぜか飲み屋だった。
これ。ホテル?
正直そう思った。
完全にロビーがバーと化している!!
いちお、「ボンジュール」から始まって、その後は英語で宿泊予約した者だと名乗った。
受付にいるらしい女性はかなり明るくて、歓迎してくれた様子。でもこの時点での私は。「え?ここってほんと宿泊施設!?」って疑問が抜けなかった。そういえばさっきまでどこかですれ違った人まで、バーでパソコンをいじってくつろいでいるし、音楽もうるさい。
口早に英語で説明され、宿泊室の鍵を手渡された。
忘れてたけど、海外ではよくある、カードキーをかざさないとエレベーターは動かないやつ。それは理解できたけれど、カードキーの部屋番号から、部屋が何階なのか、私の推測は大きく外れ、3階以上の階に到達しなかった。
おやー?40何とかって書かれていたら、大体4階なのに……。
再びロビーに戻ると、受付のねえさんが仕方がないと案内してくれるようだった。
私の宿泊先は1階上なだけ。
そういうふうな英語は認識していたけどね、まさかの事態が発生した。
一階上に、7から8人寝れる部屋がいくつかあって、私はそこの四番目の部屋らしかった。
「おーのー!! ドミトリーー!!」
私の心の声は叫んでいたが、平成を装った。
でもその部屋に入り、私の割り当てられた番号を見ると、2段ベットの上段だった。
「え? あそこなの??」
そしてそのとき部屋にいる人に出会ったけど、外国国籍の男性だった。
「え? 国籍別々、男女混合の2段ベット部屋!?」
こいつは本格的に寝るだけの場所だと悟らざるを得なかった。
そしてここは外国で、スーツケースを一階に開けて放置できるほど、私は不用心ではない。地下にロッカーはあったようだけれど、せっかく日本で用意した蒼銀色のスーツケースとやっと会えた。ここはしっかりと明日の準備をしたい。
私は決心した。
2段ベット。たかだか2階に渡す梯子がおちょくったようなものでも、私は私の腕力で、自分の荷物全てを2段ベットの上にあげる! そしてあたかも2段ベットの上段を、貸切部屋みたいに使えば問題ないと、よじ登った。
この時点で、夕飯食べれてない。
晩酌もしたい。
だからさっさと寝る場を整えよう。
そう思って一通りの準備をして、スーツケースに鍵をかけ、私はほんとに近所へ、食料調達に出かけることにした。
初日の夜だから、時差もあって寝るだけ。
もう、何食べても、どんなとこで寝てもいいよね……。
スーパーで買った生ハム、チーズ、パン、そしてヨーグルトとワインを買ってきて、私は2段ベットの上に占拠した。
夕食を食べようとしたけれど、この部屋、そもそも寝るためのところなのか、暗かった。配置によっては真っ暗。私の2段ベットの位置は、真っ暗で何も見えなかった。
そしてその頃になると、何人かは部屋にいて、灯りをつけるのも音を立てるのも躊躇われた。
すでにかなり高音のイビキが聞こえてくる。
初日パリに着いた私は、タブレットの液晶画面の灯りを頼りに、テキトーに購入してきたもので腹を満たして眠りについた。シャワーとトイレは別の場所にあったから、鍵をかけて貴重品を手放さず、2段ベットという巣に戻る。
これ、普通のオシャレ女子がフランス行ったら、絶対経験しないやつだな……。
そう思ったけれど、私って寝られる寝床があれば文句は言わない。ベットのクッションは悪くなかった。
でも不幸なこと、その夜はもう少しだけ続いていた。
何人か、何歳か、どんなやつかも見ていないけれど、幸せそうに眠るそいつは、むちゃくちゃイビキがうるさかった。
7、8人部屋なんだよ。
ほとんどの人間、お前のイビキで眠れねーよ。
私たちは右へ左へと寝返りを打ちながら朝を迎えた。
忘れないうちに書かないと!!
だから3月中にはUPし終えますが、明日からまた東京出張でして。
うちの可愛い天使三匹とまたしばしのお別れなのね。