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トイレ問題も一期一会だなぁ

旅行記です。

てか日頃はファンタジーを描いていますが、

ここ数日私の日常も異世界転生の上の下くらいには体験したので、

それを書きます。

        ※


 右隣の人は無口でも、私がトイレに立つタイミングで、一緒にトイレに立つのを合わせる繊細な方だった。


 彼と話す機会になったのは、私が飛行機で充電しようと充電コードを刺していて、フランスで使うのに必要なCタイプの電源変換機を落としてしまったことだ。


 機内は暗くて、私は落としたそれを探すのに難儀していた。隣のおっちゃんのいた場所くらいに落としたのだけれど、そこにはオジちゃんの荷物があった。おじちゃんがいない時に探していて、物取りみたいに思われたらダメじゃない。見つからないので、探すための携帯のライトも消していったん諦めかけていたら、右隣の人が「どうしたの?」と声をかけてくれた。


 話をして初めて、彼の見た目から察する国籍がどこなのかわからなくなった。

 大きな人だということだけは認識している。


 私は英語でお礼を言いながら、なぜか日本語で「日本語お上手ですね」と彼との会話を図っていた。

 流暢だった。

 私は仕事柄外国人と関わるけれど、彼ほど日本語が流暢な外国人は、日本には珍しい。


 彼は私に御礼を言った。

 多分日本語が上手なことに驚いて、自然に日本語で「ありがとうございます」と伝えていた。


「私は日本に住んで、日本で働いていますが。フランス人です」

 彼は端的に自己紹介してくれた。日本語だった。絶対通じないと思い込んでいた日本語だ。


 どうかしたのかと聞かれて、タイプCの変換ケーブルを失ったことを話すと、彼も手伝ってくれた。


 落ち着いて2人で探すと、タイプCすぐに見つかった。

 なんと私の鞄の中に落ちていたのだ。


「これがないと、フランスで困りました。ありがとう」

 私がそう礼をいうと、「そうですよね」と全てを熟知した日本住まいのフランス国籍の方が親切に肯定した。


 酒飲みの韓国人の左隣のおっちゃんは、飛行機が飛んでいる間の半分もそばにいなかったので、フランス、シャルル・ドゴール・空港に向かう最中、左の存在を気にしながら、右の方との親睦を深めていた。


「どこに行くの? パリ?」

 と聞かれたので、レンタカーしてアンボワーズに行くことを伝えると、右隣の御仁は少し驚いていた。

「レンタカーするんだ、珍しい」


 日本でもさ、外国人にどこに行くのかを質問して、「和歌山」とか答えられたら、えっとそれどこだっけ? と思う感覚を想像してしまった。


 私は思わず、足りないと思う言葉を付け足した。

『お城、見たいんです』

 英語力が堪能であれば、もっと的確な言葉があったと思うけれど、私は拙い英語でシンプルに自分の意思表明をした。


 空港で別れた彼とは、たぶん出会い頭。

 連絡先を交換せずに、彼は故郷に帰って行ったし、私は治安の悪い区域の電車に乗るために次の工程に意識が行ってしまって、色々と警戒していた。


 ほんと、出会い頭。

 でも日本語ができるフランス人で、しかも日本で働いている方なんて、もっと後の連絡先を交換しておけばよかったな。

 後に私はそう思った。

何のシリーズでもない。


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