フランスのケンタッキー事情
今顔パリで食べたケンタッキーの話です。
フランスまで行ってさ、わざわざファーストフードなんだと言われるかもしれないんですけどね、
1人旅行だと、頼っちゃいます。
おひとり様で行ける場所、私はどこでも出没しますけどね、わりと行きにくい感じもあります。
その話は、また後半。
※
この日の夕飯は、ケンタッキーと決めていました。
ホテルにチェックインした時に、ケンタッキーが近くにあったので、「しめしめ。ニヤリ!」と私は自分の夕食を決定していたんです。
なんでって思う人もいますよね。
フランスまで来たら、フランス料理もっと食べて楽しんでって、思うかもしれない。
でも私ケンタッキーのファンであります。
日本でも月に一回は8ピースパック買うほどの信者でして、海外に行けば海外のケンタッキーを味わいたいのです。
記憶に残っている範囲で言うと、前回はベトナムのケンタッキーでして、これがさ、お腹空いておやつくらいの感覚で立ち寄ったんだけど、むちゃくちゃボリューミーで美味しくて当たりだった!! 日本のケンタッキー、どうしてそんなに鳥が痩せてるんだって文句言いたくなるぐらい、ベトナムでたった2ピース頼んだだけだったんだけど、4ピースパック以上のボリュームがあって美味しかったの!! 1ピースが大きい、それに骨もまぁまぁ多いんだけど、美味しいし、値段で想像した分量ではない鳥さんがきたんだよね。
フランス事情を知りたかった。
ケンタッキーファンなんで、将来的にこっちに移り住んだら、こっちのケンタッキー事情を調査するのは必然だったんだ。
私はドレッドヘアーの黒人女性の後ろに並んで、ケンタッキーを買おうとした。
んーー。
目に入る範囲では、メニューが少なそうだ。
バーガーの種類も少なそうだし、セットメニューも品薄で、私はチキンを何ピース頼むか考えていた。前日買ったチーズもパンもあるので、チキンでは2、3ピースでいいかなって思っていた。
なのにレジでチキンを2ピース頼むと、「ないです」と言われた。
おや?
「メニュー見て下さい。チキンは5ピースからですよ」
わかってますよ。
メニュー少なかったので、5ピースかその倍かぐらいしか頼めない様子なのは察していたんですが、日本では5ピース頼めたら1ピースづつのサービスあったので、聞いてみただけですわ。
「わかりました。では5ピースで。あとポテトください」
英語で頼んだ。
店の人、英語あまりできなかったけれど、私はフランス語に自信がなかった。
フランス人って、英語をあまり喋らない。
その印象が強い。
日本人だって10年以上英語を勉強しても、英語喋らないじゃない? そういう感覚かもしれない。
でも聞き取りとか、簡単な英語はみんなできるんだよね。
チキン5ピースにポテト、コーラの注文ぐらいは英語で聞いてくれて、隣で待っててと言われたので、私は黒人女性に続いて左の受け渡しされるところだと案内されたところで待っていた。
それなのに!
またアクシデントだ。
私の前で待っていた黒人女性が、調理をする係りの黒人男性と揉め始めた。
ケンタッキーの職員、私が見えている限りでは2人しかいない。
受付女性と、オーターを積める黒人女性。奥にもう1人くらいいるかもしれないけれど、なんか人少ない。
作る黒人と、オーダーして私の前にいる黒人女性、フランス語で揉め始めてしまっている。どうやらオーダーと違うものが来たらしい。
突然、黒人でフランス語を話す女性が私を振り返った。
その時の言葉を翻訳すると、多分こんな感じ。
フランス語だったんでね。よく分からんかったけど。
「ねぇ!あなた。 注文した人に言われたわよね? ここで待ってろって!!?」
ニュアンスで察してもさ、その複雑な日本語が私の翻訳で合ってるのかどうか分からない。
私は英語で、「受付でここで待てと言われた」とは伝えたが、それ以上何も言えなかった。
黒人女性は女ひとりケンタッキーしている私がフランス語喋れなかったことに驚いていたが、「そうよ、だから確認して。ここで待ってろと私たちは言われたんだから」みたいなことを言っているようだった。
スタッフの黒人男性は、受付の女性に確認に言って、自分が黒人女性に渡したものが間違いであることを謝罪していた。
客である女性は、謝るなら許すけどねぇっていう感じだった。
なんか語学の九割というか、全然分からなかったけど、解決したようだった。
私はそういったトラブルの後に、自分の注文品を受け取った。受付金髪女性が、私の語学力を心配してか、私が注文したものを確実に、彼女自身が用意してくれているようだった。
(黒人男性が手づかみで戻したフライドポテトが、私のテイクアウトの中に混在したのを見たとしても、私はもう何も言わない)
なんでポテト手づかみで提供するかな……。
フランス語や英語で抗議するほどの気分になれない。
奥ゆかしい日本人だ、私って。
海外でキレちゃがしたことは、過去にないとは言えない。
それアジアで宝石がらみになった話で、知り合いの日本人がぼったくられようとした時、海外で机叩いて日本語でキレたことを思い出したけど、もうそんなに若くなかった。ケンタッキーで切れるとかないんだよね。
私は、受付女性が私のためにテイクアウトを間違わず用意して、渡してくれたことに感謝した。
「メルシー」
ちゃんと礼を言った。
でもホテルに帰って、今日の夕飯を開いた私、がっかりしたんだ。
チキン5ピースにしては、とても小さいパッケージだなって思ったんだけど、フランスでのチキン5ピースは、日本で言うところのチキンクリスピーだった。骨なし、チキンナゲットの少し大きいやつだよね。付けられたソースは七個ぐらいあった。
これチキンにつけるの?
ポテトにつけるの?
そして案の定手で触って時間が経って提供されたポテトは、パサパサ。(日本と違って太いやつではなく、マクドナルドのポテトが半日以上たったような乾燥っぷりでした。)
不味かったです。
昨夜もスーパーで適当に済ましました。
朝ごはんはその残りで済ましパンをかじり、昼はルーブルのカフェでパンを齧って、夕飯ぐらいまともにタンパク質食べたかったんですけど、チキンクリスピーと乾燥したポテトだけでした。野菜すらないです。
「ほう」
でも腹は満たせます。
「ほう」
昨日は暗くて、スーツケースだって2段ベットに持ち込んで携帯のライトで中身を整理したんです。
個室になった。
それだけでもマシです。日本円で一万五千円くらい支払ったけど、古くて小さくて、ご飯が付いていない宿でもさ、個室を手に入れたんだ。
私はそれに満足した。
シャワーとトイレもついてたしね。
音楽聞いて盛りあがろう。
私は日本でダウンロードしてきたアニメヒットソング2020年とかを、アイポットで聞くことにした。
うん。昨日よりマシよ。
自由に食べて、自由に音楽を聞いて、自由に動ける1人空間を手に入れていて、宿内は安全だから、安全を手に入れた。
ゆっくり明日の準備ができる。
スーツケースを自由に開ける。
これがこの夜感じた幸せだった。
「どうかなぁ? オシャレ女子の幸せと近いのかどうか、私には分からないですねぇ。でもリアルにドキドキしたこととかを書いていきます。このへん序盤ですよ。はっは」
次の日は、パリ離れます。