第4話「風呂は命の源」
どもども!花月です!
お風呂いいよね。あー、温泉行きたい(;´・ω・)
「ただいま。ごはんにする?お風呂にする?それとも、わ・た・し?」
「おい、旭陽。何してんだ?さっさと中に入れ、私が入れないじゃないか」
俺流のお疲れ様を華麗にスルーして、クリスが家に入り込む。解せぬ。俺にセンスがないのか・・・?
そもそも、旭陽がただいまと言っている時点でこのワードは破綻している。また、クリスにこれを理解しろというのに無理がある。これは、日本に住んでいるアツアツな新婚夫婦がするものであって、男同士でするものではない。旭陽もクリスも男である。
「それにしても、家の前に熊が現れるなんて災難だったな」
「うーん、本来なら魔物、動物除けの魔法が発動しているはずなんだが。この間の実験でどこか不具合でもでたか・・・?」
「ん?実験ってなんだ?」
「旭陽が気にする必要はない。それよりも、汗を流してこい。風呂ならその先だぞ」
なんか一瞬、クリスの顔が青かったと思ったが、気のせいか。ここは、正直に指示に従うとしよう。
「ありがとう。男同士なんだし、クリスも一緒にどうだ?」
俺が軽い気持ちで、親睦を深めるという意味も含めクリスに投げかけると、クリスは赤面しながら
「馬鹿なことを言っていないで、さっさと入ってこい!!!」
「なんだよ、ただの冗談だろ」
「なんだ冗談か。そんな冗談はいらん。着替えはこれを持っていけ」
ホッとした表情のクリスが着替えを渡し俺を風呂に見送る。なんだこの気持ちは・・・。風呂に誘うだけで馬鹿扱いされるなんてなんか悔しい。俺とそんなに風呂に入るのが嫌なのかよ。ん?正直、初めてあった奴といきなり風呂に入るなんてヤバい奴だな。クリスの判断は当たり前だ。
『カッポーン』
「あー、生き返る。やっぱり日本人には風呂だよな」
独り言をつぶやきながら、湯につかる。この世界で風呂に入れると思っていなかったため、かなり助かる。あー、毎日入れるといいな。
しかし、この世界では、風呂は一般的ではない。風呂を持っているのはごく一部の貴族か金持ち商人のみである。旭陽は、このことをいつ知ることになるのであろうか。それは、もう少し先のお話である。
「ふぅ、さっぱりした。クリス、風呂ありがとうな」
「いや、互いに汗臭いのはちょっと・・・。それよりも、私も風呂に入ってくる。決して覗くなよ?その時は・・・(にっこり)」
「・・・。馬鹿なこというなよ。男の風呂覗いて何が楽しいんだよ!!!」
「そうか、なら行ってくる。覗くなよ・・・?」
「わかってるよ!」
クリスはしつこいほど『覗くなと』と念押しをして、風呂に向かった。ははーん、クリスは相当な恥ずかしがり屋だな。一緒に風呂でもと誘ったが断られたくらいだし。大人しく待っていることにしよう。
ここで俺は思い出す。脱いだ服をそのままにしてきたのだ。クリスに声をかけて取るべきか、クリスが出るまで待つべきか悩む。しかし、クリスとの約束もある。
『声をかけて服をとるのは覗きには当たらない、そのまま事故を装ってクリスが入ってる風呂に突入しなよ』とデビル旭陽が呟く。『ダメだ!クリスが風呂を覗くなってことは、近づいたらダメだよ!もしばれたらどうするんだ!放り出されるぞ!』エンジェル旭陽が呟く。
頭を抱えながら俺は考える。くそ、俺はどうすればいいんだ。いや、声をかけるからいけないんじゃないのか?何も言わず、こっそりと服をとればいいんじゃないか?ここでデビル旭陽が『そうだ。ばれなきゃいいんだよ。うまくやれよ相棒!』よし。俺の気持ちは決まった。風呂に突入だ!オーバー!
「おい、なにをしている」
「・・・!!!何もしてません!ごめんなさい!」
「は?どうした?意味が分からないぞ?」
「なんでもありません!ごめんなさい!」
「そうか。今日はもう休め。いろんなことがあって疲れただろう。それと旭陽が着ていた服だが、洗濯しておいたぞ。部屋にでも干しておくんだな」
そんな一言と一緒に俺が着ていた洗濯済の服が渡された。
美夜「おにいちゃんのえっち!」
旭陽「覗いてないだろ!」
クリス「・・・・・・」
旭陽「クリス!誤解だぁぁぁぁぁぁあ!!!」
クリス「覗きを考えるやつなんて知らん!この変態が!」
美夜「おにいちゃん、最低・・・」
旭陽「冤罪だぁぁぁぁぁぁあ!」
美夜「次回!おにいちゃん、変態への道!」
旭陽「やーめーろー!」