一部 眺望岬
夕陽が、暮れの空を茜色に染め上げている。
白い小さな花は空の色に染まり、四阿から見える景色は、風に揺れ咲き乱れる小さな花々に、水平線に沈んでいく夕陽が映え、息を忘れる程に美しかった。
「M mm〜♪」
甘い香りに満ちた花畑を、花の色と同じ白いワンピースを着た少女が歩いていた。腰まで伸びた黒い髪は風に揺れ、硝子のように透き通った綺麗な肌は触れれば壊れてしまいそうな儚さがあった。
「The light is alongside the shade, and the shade is gonna surpass it. Desire must be into under the sea.」
咽るほど甘ったるい風に乗り、歌声が細く、長く、海へ響いていく。彼女の繊細な歌声は、遥か深い海の底へ沈み、悲痛な叫びは海の黒を震わせた。
「A thirst will have sought a further thirst, wanders in wasteland on eternity. Their eyes gaze our from deep sea.」
やがて、彼女の歌声に呼応するように、海の底に青白い光がぼうっと灯りだした。光は波に揺れ、海底を震わす歌声と共鳴し、さらに強い輝きを放ち始めた。