兎防衛戦
こうして僕は兎女とともに、今日は動物さんふれあいツアーを開催することになったのだが、如何せん僕自身もこのゲームについてはほとんど何も知らない状態だ。
僕がこのゲームで知っていることと言えば、東の森の生態系くらいだ。
それで、まず僕たちはお互いがどこまでできるのかを確認するために自己紹介をすることにした。
「ではまず私から。私は兎型の獣人のロッピーと言います。お恥ずかしながらレベル1です! このゲームについてはほとんど何も知らない初心者です」
動物系の魔物しかいない状況で、動物に攻撃したくない兎女改めロッピーは自分のことをそう称した。
「僕はLion、ライオンと書いてリオンだ。猫型獣人でレベルが35、こう見えてもかなりの初心者」
レベルばっかり上がってしまってはいるが、僕自身もゲーム開始三日目のニュービーであることを忘れてはいけない。
先ほどはロッピーと動物を触れ合わせてやると意気込んだはいいが、どうやったらそんな状況を作れるかてんで想像がつかない。
「成程! 初心者同士仲良くしましょうってことですね! それじゃあ一応念のためにフレンド登録をしておきませんか?」
僕が自分のことを話し終えると、ロッピーはそんなことを言い出した。
「フレンド登録?」
何それ? フレンド……友達登録?
馴染みのない言葉に、僕は一瞬硬直する。
「えっ、ダメでしたか?」
「ああいいよ。突然でびっくりしただけだから」
僕が微妙な反応を返したからだろう。ロッピーの顔に陰りが見えてしまったので僕はよくわからないが首を縦に振った。
それがなになのかがよくわからなくても、男には見栄を張らないといけないときがあるのだ。
僕がなにをすればいいのかがわからないから、とりあえずフレンド登録をするという話になってから何もせずにいると、何やらメッセージが現れた。
『プレイヤーLoppiからフレンド申請が届きました。承認しますか?』
きっとこれを承認すればいいんだな。
僕は何食わぬ顔で承認ボタンを押す。
「ありがとうございます! これでいつでも連絡が取り合えますね!」
なるほど。フレンド登録をした相手とは連絡の取り合いができるのか。僕はまた一つ賢くなった。
「さて、フレンド登録も済ませたしこれから行動に移るわけだけど、ロッピーさんはどんな動物と仲良くしたいとかの要望はある?」
要望を言われても僕にはほとんど対応ができないけど、一応希望を聞いておくことに意味がある。
もしここで犬と戯れたいと言われた場合、僕は犬のような生き物を探す必要がある。それでもし、犬を見つけられないにしても、狼を連れてきて妥協させることはできる。
「えーっと、やっぱり私初めは兎さんがいいかなって思うんですけど……大丈夫でしょうか?」
「よしわかった兎ね。兎ならすぐ近くの森にいっぱいいたから、すぐに会えるよね」
「はい! 私はレベルが低いので5回も体当たりをもらえば倒れてしまいますが、逆に言えば5回体当たりを受けるまでは撫で放題ですので!!」
ロッピーは本当に動物と触れ合いたいのだろう。ゲーム的には忌避するべき死に戻りなんて一切気にしていない。本当に最後のひと時まで兎を撫で続けていそうだ。
彼女や尻尾が兎のものなのも、兎が一番好きだからなのかもしれない。
「じゃあいろいろ試してみよう。もしかしたら何かをきっかけになついてもらえるかもしれないし」
「はい! 了解です! やってみましょう」
僕たちは目的の兎を見に行くために街の外に出ることにした。
その途中、僕はNPCショップに立ち寄って魔力回復薬を10個ほど購入する。
これで10回変身が可能だ。
街の外に出た僕たちは、兎がいないかと注意深く森を探索する。
兎はすぐに見つけることができた。
僕は後ろから兎に近づき、先ほど僕がされたように両脇の下に手を入れて持ち上げた。
突如として持ち上げられた兎はきゅうきゅうと鳴いて暴れている。
「よし、まずは基本的なコミュニケーションからだ。ロッピー、ちょっと話しかけてみよう」
僕の手の中で暴れ、腕なんかを引っ掻いたりしてくるが東の森で鍛えた僕に対してはかすり傷程度のダメージしか与えられず力も弱いので拘束を解くこともできない。
「うぅ、めちゃくちゃ威嚇されてます」
ロッピーはそんな暴れる兎に気圧されていたが、少しずつ近づいて話しかける。
「兎さん、おはようございます」
ヴーヴー
「お加減はいかがですか?」
ロッピーが懸命に話しかけるが兎は友好的な態度を見せる様子はない。
「えっと、これ食べてみますか?」
するとロッピーはこういう場面を想定していたのだろう。キャベツの切れ端を取り出して兎の顔の前に近づけた。
ガリッ
一瞬でキャベツの切れ端はなくなった。
だが、まだヴ―ヴー言ってる。警戒を解いては貰えなさそうだ。
「わっ、見ました!? 今食べました。かわいい!」
それでもロッピーは嬉しそうだけど。
ロッピーは全力で餌付けをするつもりなのか、今度は人参を丸々一本取り出して兎に見せつけた。
「ほーら、うちの子になったらこれを食べられるよ~?」
ロッピーは誘惑するように届かないギリギリの距離で人参を左右に揺らした。
僕の手に持っているのはやはり兎であり人参が好きなのか、とても気になっている様子だ。
ヴーヴー言ってた兎ではあったが、そのうなり声は少しずつ小さくなっていく。
「おや? ほしいんですか? 仕方ないですねぇ~」
ロッピーは軟化した態度に嬉しそうにしながら、人参を兎に与える。
ガリガリガリガリ
キャベツ同様、人参も一瞬で姿を消した。そういえば魔物の食事シーンをほとんどみたことがなかったが、奴らはめちゃくちゃ食べるのが早いのがその理由なのかもしれない。
そんなことを思いながら、兎の様子を確認する。
兎はもう威嚇を止めていた。
「これは……行けるか?」
「はい、いける気がします」
二度による餌付けによって兎さんの好感度がそれなりに上がっているはず。それをロッピーの感じていたのだろう。
僕たちは2人、視線で通じ合い小さくうなずいた。
その後、僕はゆっくりと兎を地面に降ろした。
きゅうううううううううううぅぅぅぅぅぅぅ
兎は逃げ出した。
「あぁ!? 待ってロッポ君!!」
あまりに迅速な逃亡に反応が遅れた僕はやすやすと兎を取り逃がしてしまう。また、いつの間にか兎に名前を付けていたロッピーは反応こそできたが、致命的に素早さが足りていなかった。
追いつけずに兎はそのまま森の奥へと消えていってしまった。
「成程。あれが生きるための知恵か……」
僕は人間が友好的な態度をとるのを見て態度を軟化させて見せ、油断して地面に降ろしたところを全速力で逃げるという生きるための知恵というものをその身で体験し、素直に感心していた。
「あぁ、ロッポ君……」
ロッピーは仲良くなれたと思った兎が逃げてしまったのに対して単純にショックを受けていた。
「……もう一回捕まえますか?」
「ロッポ君がいいです……」
ロッピーは涙目だった。僕の想像以上にダメージは大きかった。
仕方ない。ここは将来の男前である僕が一肌脱いでやろう。というか、人肌脱ぐわ。
「ロッピー、任せろ」
もともと逃がしたのは僕の責任だし、今からでも全力で追いかければ追いつけるかもしれない。
逃げた方向はわかっている。
僕は少しでも素早さを上げるために残っていたステータスポイントを全てAGIに割り振った後、『獣化』して地面を蹴った。
「え? 猫ちゃん?」
「にゃお(すぐに捕まえる)」
僕の身体はぐいぐい前に進む。
ロッピーに出会う前の練習は無駄になっていない。四足歩行ももうだいぶ慣れた。今の僕なら、木々をすり抜けて走ることも容易い。
僕は兎——ロッポ君が逃げた方向を走り抜ける。
地面を見れば小さくではあるが足跡が残っている。臭いも何とか嗅ぎ取れる。
ロッポ君は僕たち、というか僕を大分危険視したみたいでかなり遠くに逃げようとしているみたいだ。
だが、草食動物代表みたいなステータスをしている兎なんぞ、肉食動物であり狩りの成功率驚異の9割越えの猫様の敵ではない。
僕が少し走り続けるだけで、ロッポ君の姿を捕捉することができた。
ただ、問題もあった。
「お、ラッキー。獲物の方から飛び出してくれるなんて」
一般プレイヤーがロッポ君に今まさに手を掛けようとしていた。
「にゃにゃん(危ない!!)」
僕は全速力でその剣士の前に出て、ロッポ君の首根っこを加えて攻撃の軌道から避けた。
きゅぅん?!
再び捕まったロッポ君は突然のことで何が起こっているのかがわかっていないのか悲鳴を上げこそすれ暴れることはしなかった。
「なんだあれ!? レアモンスター?!」
剣士の人は突然現れた僕に驚いているが、ここで狩りをしているということは推定レベル1~10程度。それなら僕の方が絶対足が速い。
僕はロッポ君を加えてその場から走り去った。
剣士の人は追いかけてくるが、その距離はどんどん離されていく。
僕はそのままロッピーがいる場所まで逃げて、彼女にロッポ君をお届けした。
「ロッポ君!? それに猫さんまで!!」
おいおいロッピーさんや。それだと俺がおまけみたいだろ?そう思いはしたが、今の僕は猫なので喋れない。
僕はロッポ君をロッピーに向かって放り投げた。
ロッピーはそれを見事にキャッチ、赤子を抱くような優しい手つきでロッポ君を抱きかかえる。
そこで、ロッポ君の混乱が解けた。
人間につかまってしまったことに気づいたロッポ君が暴れ始める。
ロッポ君の爪や歯がロッピーの腕を傷つけた。
僕と違い、ロッピーはレベルが1であり体力が低い。このまま暴れ続けられれば、ロッピーはその内倒れてしまうだろう。
だから僕は、ロッポ君を一度取り上げようとした。
しかし、
「大丈夫です猫さん。この子はきっと混乱しているだけですから、すぐに落ち着きます」
と言って僕を制止した。
「にゃにゃんにゃぁん(そう言われたら、退くしかないですね)」
これで死んでしまっても自己責任ということだ。
普通ならここで無理にでもロッポ君を取り上げるべきなのだろうが、これはゲームの中の出来事。やりたいようにやらせてあげるのが一番だと考え僕はそれを見守ろうとした。
しかし、この場に乱入者が現れる。
それは先ほどロッポ君を狩ろうとしていた剣士だった。
「いた!レアモンスター!」
どうやらここまで追いかけて来たらしく、この森には絶対に現れない猫をレアモンスターと勘違いしたまま僕に襲い掛かってきた。
「猫さん?!」
プレイヤーが突然襲い掛かってきたからだろう。ロッピーは悲鳴のような声を上げる。
「にゃにゃん。にゃにゃにゃん(大丈夫である。お主は自分のことに集中したまえ)」
僕は通じないだろうが、ロッピーにそう言って剣士の相手に徹するために構える。
ロッピーが声を上げたからその存在に気が付いたのだろう。剣士は初めてそちらに目をやった。
「プレイヤー? いや、今はなんだっていい。レアモンスターだ」
だが、すぐに興味を失い僕に向かって剣を振るう。
僕は軽やかなステップを踏みながら、剣士の攻撃を避けた。
向こうは勘違いしているだけで悪いことをしているわけではない。だから攻撃してしまってはいけない。
僕はそう考え、防御に徹した。
「ちっ、ちょろちょろとうっとおしい! おちょくってんのか!!」
剣を躱し、飛び越え、剣士の周りをウロチョロする。
こうして諦めるまで耐久をするつもりだった。
長期戦は僕の得意とするところであり、昨日とは違い今日は僕の方がレベルが高いから精神的な疲労も少ない。
僕はロッピーとロッポ君のやり取りが終わるまで待ち続ける。
そんな折、剣士の攻撃がたまたま、本当にたまたま僕が回避したらロッピーに直撃する軌道を描いた。
あの空間を邪魔させるわけにはいかない。僕はその攻撃を猫パンチで弾いた。
しかし、その行動が剣士の目には不可解なもののように映った。
「あの猫、今のもしかして……」
今の一回だけで、剣士は何かに気が付いた。
そしてそれを確かめるかのように、僕ではなくロッピーに向かって剣を突き出した。
「にゃうん!(それは許されんよ)」
僕は爪を出して剣を弾く。ステータス差があるから容易にこんなこともできる。だから防ぐのは問題ない。
問題は――――
「やっぱり、かばっている」
たった一回でそのことがばれたのは、良くも悪くも僕の猫モードが素早かったせいにあるのだろう。
攻撃が当たる気配すらなかった相手が、何故か避けずに弾いた。その事実が一発でロッピーを僕が守ると決めていることを悟らせてしまった。
そうなってしまっては向こうとしては簡単だ。
攻撃の軌道上にロッピーを入れてしまえばいい。そうするだけで僕は回避という行動をとらなくなる。
酷い話だが、この剣士はそれをやるのに躊躇をしなかった。
僕をレアモンスターと考え、回避率を考えると普通なら倒せないと考え、ロッピーを狙えば僕が回避しないからそういうものだと考えた。そんな雰囲気を感じ取った僕は、ちらりとロッピーのことを確認した。
彼女はまだロッポ君と戯れていた。というか、ロッピーはロッポ君を抱きしめ、ロッポ君は暑苦しそうに抜け出そうとしていた。また、ロッピーは体力回復薬を服用しながらの寵愛だ。
あれは、時間がかかりそうだな。
僕は剣士の攻撃を弾き、逆にこちらから飛び掛かった。
そして剣士の身体を足場にして跳躍、元居た場所に戻る。
足場にされた剣士の身体はよろめき、転びはしなかったが大きく体勢を崩していた。
その隙をついて、素早く近づいて僕は軽い猫パンチで剣士の持っていた剣を落とさせる。
「うわっ、こいつ攻撃してくるのかよ!」
僕をレアでボーナスなモンスターか何かと勘違いしている剣士は、こちらから攻撃してくると思っていなかったのか簡単に剣を取り落とした。
そして、僕はその剣に尻尾を巻き付けて回収する。
「あ、返せ!!」
「にゃふん(驚いたかね?)」
串焼きを滑稽な姿で運んだ後僕は道の端っこでまず物を持つことを練習したのだよ猫の言葉でそう言ったが、残念ながら伝わっていない。
剣士は剣を失い僕に向けて飛び掛かってくる。
だが、武器を失ったことによりリーチがなくなり、元々当たらなかった攻撃はもう当たる気配をみせなかった。
苦肉の策としてロッピーを狙うが、その時はステータスの暴力を使い弾き飛ばすことで安全を確保する。
こうして、僕は剣士を完全に封殺していた。
明らかに初心者の剣士を手玉に取るという弱い者いじめをしているみたいで心が痛んだが、それ以上の初心者が後ろに控えている以上手を抜くことはできなかった。
このまま後ろのやり取りが終わるまで耐えきってやる。
そう思っていたのだが、問題が発生した。
「タケ、レアモンスターはどいつや?」
この剣士、仲間を呼びやがった。
僕たちの前に、紫紺のローブを身に纏い宝石のついた杖を担いだ耳が長い男が現れた。
推定魔法使い、何をしてくるかをまったく知らないため今の僕のとって一番相手をしたくない敵であった。
「あの猫みたいなやつ。めちゃくちゃ素早くって攻撃が当たらないけど後ろの女を狙った時だけ避けずに迎撃してくるみたいだ。後、見てもらったらわかる通り武器を奪ってくる」
僕の情報は新手に素早く伝えられた。
魔法使いの男は、それならばという風に何やら準備を始める。
多分、魔法というのを使ってくるのだろう。何が起こるのかがわからない以上、僕はそれを阻止する必要があった。
僕は尻尾でつかんでいた剣を魔法使いの男の方に投げつける。
「おっと、そんな芸当もできるんか」
それなりの速度で飛んで行った剣に、魔法使いの男はびっくりしていたみたいだが避けることに成功した。
魔法というのは遠くから攻撃することができるのだろう。僕と魔法使いとの距離は5m以上離れていた。
そのため、回避行動に対して追撃を加えて杖を奪い取るといったことは間に合わない。
だけど、僕にはこの距離で使えるスキルがあった。
「に“ゃああああああああああああああああ!!」
それは『咆哮』のスキル。このスキルは『咆哮+』になったことで自分よりレベルの低い相手を確定でほんの少し硬直させるスキルへと成長していた。
僕の『咆哮』の範囲内にいた剣士は硬直、僕の後ろにいたロッピーとロッポ君も同時に動きを止める。しかしながら、僕が一番動きを止めたかった魔法使いは何の問題も無く動いていた。
このことから、敵は僕より強いことがわかった。
これは好き勝手させたら対応ができなくなる可能性がある。
僕は先手必勝と考え、魔法使いに接近した。
「くっ、思うったより速いやんけ」
剣士——タケより速いとは聞いていたが、具体的にどのくらい速いかは見てみないとわからない。
僕の疾走は魔法使いの想像上の僕の素早さを超えて魔法使いに肉薄する。
ロッポ君を追いかける前に何も考えずにAGIにステータスポイントを振り分けたのが功を奏したみたいだ。
僕と魔法使いの距離は、一瞬にして1mを切った。
本来ならこの距離は僕の手が届く距離であったが、小さな猫の身体では張り付くぐらいのインファイトしかできない。
だからもう少し近づいて、今度はこの魔法使いから明らかに重要そうな杖を奪おうとした。
だが、その前に魔法使いが杖をロッピーに向けて構えた。
まずいか?
僕は急停止からの旋回でロッピーと杖の間に自分を割り込ませる。
「確かに、あの女狙ろうたら動きが変わるな」
杖からは何も出なかった。所謂ブラフというやつだった。
だが、それは確かに僕の動きを止めるという役割を果たしてのけた。
「タケ、今や!」
———っ、そういえば魔法使いの魔法ばかり警戒していたが、ロッピーにとってはあの剣士も十分に脅威になりえる。
僕はロッピーから離れすぎた。
僕は慌ててロッピーを守りに全速力で戻った。
「にゃにゃん!!(危ない!!)」
僕は声を上げながら、剣士のわき腹に突撃して吹き飛ばす。そうだ、魔法使いは―――!?
僕が剣士を止めるために戻ったため、魔法使いがフリーにってしまった。
「これで詰みや」
僕が魔法使いを確認すると、魔法使いがロッピーに向けて杖を向けていた。
これはどう考えてもブラフじゃない。
「にゃんにゃあ!!(ロッピー!!)」
「え? あ、……猫さんこの子お願いします!!」
僕の声に反応してくれたのか、ロッピーが狙われていることに気が付いた。
そして、ロッポ君を僕のいる方に向かって放り投げる。
その直後、魔法使いの杖から風の魔法が飛び出した。