立川健太郎の能力2
「どんな能力だったんですか??」
テルテルが健太郎に問いかける。
いざ考えてみると
女性を支配できる能力の男と二人きりの状況は年頃の少女にはまずいのではないかと
健太郎は非常に気まずそうな表情を浮かべては言葉のチョイスに悩んでいた。
「ん〜…よくわかんないんだけド。女の子をコントロールできるみたイ?」
「え!なんでもですか!?」
「多分?」
テルテルはすごーい!や、いいなぁ!等と興味津々な様子で「試しに使ってみてくださいよ!」と健太郎に詰め寄る。
「あ、怖くないのネ。…そういうもんなのかしラ」
意外と大丈夫そうなのでほっと胸を撫で下ろす。
「じゃあ…3回回ってワン」
「???ーーうわぁああ!!体が勝手に!!」
テルテルはその場でクルクルと
自身の体に引っ張られるように3回回ると、驚いた表情のまま口だけが「ワン」と
動いた。
「あラ、すごーイ!」
健太郎はパチパチと拍手を送る。目の前の解除の文字がもう光を失っている。
恐らく使用したので自動的に解除されたのだろう。
「抵抗する間もありませんでした…これが2000000の力…」
犬の小回りをさせられ恥ずかしかったのか、テルテルは少し顔を赤くしては気まずそうに呟いた。
「取り乱してしまってすみません…この社会は能力が高ければ高いほど有利なので、なんかこう…憧れちゃうんですよね。私なんかは能力もなければレベルも高くないので」
能力の力も体験でき満足したのか落ち着きを取り戻してテルテルは言う。
テルテルの頭上のレベルは3と表示されていた。
それでも先ほど見た健太郎のレベルよりは高いのだが、健太郎はもうすでにレベルが4になっていた。どうやら神様は経験値の配布までも超ヌルゲー仕様にしてくれていたようだ。
「へ〜…ア!もしかしてこの世界って魔王とかいるノ??」
もしいるのならば倒せば元の世界に帰れるかもしれない
「いますよ。今は協力して生きていこうってことで
昔みたいに戦争とかはしてないですけど。」
「何よそレ…平和主義なのネ。。。」
健太郎はがっくりと肩を落とした。
普段ならば今頃はいつもの二丁目のバーに行ったり、新しい出会いを求めたりしている所だった。
「あ〜もウ。神様はアタシにどうしろって言うのヨ。こんな能力より酒と男が欲しいワ…」
健太郎はぶつくさと文句を言っていた。