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戦国の世

目次


・1 戦国の始まり 応仁の乱


・2 河越夜戦 


・3 厳島の戦い

 

【この章に出てくる主な人物】           


細川勝元(ほそかわかつもと)

 義視に味方した守護大名。山名宗全と対立し、応仁の乱で活躍する。


山名宗全(やまなそうぜん)} 

 勝元と同じく守護大名。足利義視、細川勝元と対立し、応仁の乱で活躍する。


足利義視(あしかがよしみ)} 

 8代将軍・足利義政の後継者。義尚が生まれたため、後継ぎ争いになる。 

 

足利義政(あしかがよしまさ)

 室町幕府8代将軍。義視を後継者にする。


第1章 戦国の始まり 応仁の乱


そのころ、日本は一変していた。足利義政の子・義尚が生まれたため、後継ぎ争いが起きた。


これが、「応仁の乱」である。この後、争いの時代・「戦国時代」が幕を開けた。




8代将軍・足利義政は、自分に子供がいなかった。そのため、弟の足利義視を後継ぎにするしかなかった。


「弟よ。そなたがわしの後を継ぎ、新たな室町幕府を繰り広げるのだ」


「はっ」義視は嬉しかった。自分が、足利家の、いや、室町幕府の将軍の後を継ぐなんて…!!


義視は夢にあふれていた。これから自分は、「将軍の後継者」として生きていくのだ。


しかし、それは淡い夢だった。義政のもとに子ができた。「たったの数十秒」といえるほどの流れ


で、後継ぎ争いが起きたのだ。 


義尚と義視の戦いだ。こうして、応仁の乱が始まったのである。


さらに、義政の妻の日野富子が、義尚を将軍にするために 、守護大名 ・山名宗全に、協力のお願いをした。


「くぅぅ~…まさか、あの有名な守護大名の宗全を味方につけたとは…」


義視はとても迷った。義視の軍が不利になるからだ。


すると、義視の前に、有力な人物が現れた。山名宗全と同じく守護大名の、「細川勝元」であった。


「足利義視殿、勝元でございまする」


「おぉ、勝元殿、よく来られた。しかし、いったい何の用で?」


義視は、自分が迷って、少し怒っている気持ちを抑え込んだ。


すると、勝元は驚くほどの発言をした。


「拙者、義視殿の味方についてもよろしいでしょうか?」 


なんと!!義視はそう言いたかった。義視に幸運が舞い込んだのだ。


「嫌など言うわけないじゃないか」義視は優しく言った。


「ありがたき言葉を頂きました」


勝元は嬉しそうに言った。これで一安心だ。義視はそう思った。


そして、勝元派にも宗全派にも守護大名が続々と参加し、京都を舞台に戦いが始まった。


「義視殿の世はまだ始まったばかり!!殿の世を守るのだ!!」


「義尚殿が後を継ぎ、立派な将軍になり、世を変えていくのだ!!」


両軍は、「殿を後継ぎにする」ということだけを考えていた。


まずは勝元軍が押し切っていた。


「よし、順調に勝っているな。このまま押し切るぞ」


勝元は本気だった。義視殿の世をどうしても守りたい。


自分から味方に付いたのだ。だから、それなりに頑張りたい。勝元の心は燃えていた。


一方、勝元軍に押されていた宗全軍は、あわあわと焦っていた。


「宗全様、わが軍が不利でございます!!一体、どうしましょう…」


足軽(身分の低い武士)が報告をした。


「くっ、このままでは勝元めに負けてしまうではないか…。皆の者、心してかかれぃ~!!」


宗全はほぼ()()だった。


すると、足軽がまた報告をした。


「味方が続々と到着しました!!」


宗全の軍が有利になってきたのだ。


「よし、このままこの戦いで勝利を収めるぞ!!」


そして、戦いはどんどん勢いを増した。


後継ぎは新たな義尚か。それともこのまま義視か。


勝敗がつかず、年月が過ぎた。


その時京都は、焼け野原になっていた。…終わったのか?


皆はそう思っていた。予想は外れた。これからが本格的に争いになるのだ。


「これからはどうやって生きていけばいいのか…」


「私たちには住む家も食料もない…」


「なぜ私たちも巻き込まれるのだ」


村の人々は絶望したかのように言っていた。


そして、いつまた争いが起きてもおかしくない。


この「争い」という言葉は、いつまでも消えなかった。


この戦いの世はいつ終わるのか。


夢ではないのか?


村の人々はそう思った。


こうして、終わりの果ての見えない争いの時代・戦国時代が始まった。


【難しかった言葉の意味】


「室町」

室町時代のこと。1449年から、1573年までの時代である。


「守護大名」

地方を支配した領主のこと。


「足軽」

身分の低い武士のこと。


「やけ」

何もかもが適当になること。


【この章に出てくる主な人物】


北条氏康(ほうじょううじやす)

 最初の戦国大名・北条早雲の孫。川越野戦で活躍し、その時に頭を使った作戦で大勝利をする。


上杉憲政(うえすぎのりまさ)

 上杉家の一人。氏康の罠で大敗北をする。


上杉朝定(うえすぎともさだ)

 同じく上杉家の一人。氏康の罠で大敗北をする。


足利晴氏(あしかがはるうじ)

 足利家の一人。同じく川越城を奪い返すため、大軍で勝負を仕掛けるが、氏康の罠で大敗北をす

 る。


第2章 河越夜戦


応仁の乱から70年以上経った。


1541年、北条氏の北条氏綱が死去した。そのため、北条氏康が後を継いだ。


北条氏康は、氏綱の子であり、「最初の戦国大名」の、北条早雲の孫である。


しかしその4年後、氏康に最大の危機が訪れた。


父・氏綱が奪った河越城を、上杉軍・足利軍が奪い返そうと、約8万人という大軍で、河越城を取り


囲んだのだ。


「あの二軍め、父上の奪った城を取り返そうとしてるな」


やむを得ぬと思った氏康は、今川氏と素早く仲直りをし、取り囲まれている河越城へかけつけた。


しかし、氏康の率いる軍は約8000人と、とても不利な状況であり、さらには、取り囲まれている


河越城の中には、約3000の少数の軍を率いた北条綱成が、苦戦をしていた。


「このまま負けてたまるか…!!」やはりこちらも不利な状況であった。


氏康・綱成の両軍の合計は約1万1000人。このままでは負けてしまう。


(このままぼうっと突っ立っていても意味がない!!天から父上に叱られるぞ!!)氏康は自分で自分に


心の中で言い聞かせた。


「…何か、方法はないでしょうか…」足軽は真っ青な顔で言った。


「…ん?負ける…?ならば、わざと負ければいいのか…!!」


氏康は思いついたように言った。


「殿、どういうことでございましょう」


「今から偽りの手紙を出す。わしが書いたらお前たちは出しに行け。事実は言うでないぞ」


「はっ」足軽たちは、足利憲政のもとへ出しに行った。


「何の用だ敵の足軽らめ」


「殿の降伏の手紙でございます」


「なにっ?つまり…私たちは勝ったのか!?」


よしっ、殿の罠にかかったな。足軽たちはそう思った。ところが、


「うぅむ怪しい。まさか偽りなどではないな?」


「…はっ」


「嘘をついたな。出ていけ!!」


足軽たちはビクッっとなった。何よりも、胸が苦しくなるぐらいの怒りの声だったからだ。


「逃がされただけでも光栄だと思え」


すると、足軽が言った。


「私たちは嘘などついておりませぬ」


「本当かっ!?それを証明して見せろ!!」


「なにとぞっ、お願いいたしまする。殿ご自身は正気であるといわれておりました。この通りです」


足軽たちは、丁寧にひれふ(土下座)をした。


「…うむ、なら、氏康をを今回だけ信じてあげようとするか…となると、わが軍の勝利だぁ!!」


足軽たちはほっとした。


憲政はついに氏康のことを信じてしまったのだ。


「この戦は、わが軍の勝利だな」


あとは、このまま浮かれている、上杉軍と足利軍を夜に襲撃するだけだ。




翌年の夜。早速、氏康軍がすきを見計らって、夜襲の準備に取り掛かった。


「いいか、鎧を脱げ。音が鳴らないようにしっかりと夜襲に取り掛かるのだ」


「はっ」こうして、身軽になった足軽たちが夜襲し、ほぼ有利になった。


「憲政殿、氏康軍が夜襲をしています!!」


「くそっ!!降伏の手紙はやはり嘘であったか!!」憲政は歯をぎりぎりした。


着々と夜襲が進む氏康軍と、大混乱している上杉・足利軍。まさに、先ほどの状況は嘘であったかの


ように、氏康軍が大勝利をし、上杉軍は朝定を失い、足利軍と共に逃げた。


歴史に残った大夜戦になった河越夜戦。


氏康の大勝利と、上杉・足利軍の大敗北。


まさに、一気に流れが変わった起承転結の物語であった。


【難しかった言葉の意味】


「やむを得ない」

仕方がないという意味


「不利」

自分たちが相手よりも弱いということ。


「真っ青」

怖くなる。びっくりする。


「偽り」

偽物。本当ではないということ。


「ひれふ」

土下座。


「夜襲」

いきなり夜に襲い掛かること。


「甲冑」

戦の時に、自分の体がやられないように、身を守るためのもの。


【この章に出てくる主な人物】


毛利元就(もうりもとなり)

中国地方を支配した武将。優れた才能と知識で様々な戦いで勝利する。厳島の戦いで活躍し、勝利す


る。


陶晴賢(すえはるかた)

大内義隆が死去した後、元就と仲が悪くなる。厳島の戦いで活躍する。


第三章 厳島の戦い


戦乱はまだ続いた。そして、勢いを増し、激しくなっていった。


大内義隆の家臣、陶晴賢は、義隆に不安と怒りを持っていた。


政治に興味を持たず、文化人にばかり仲良くしていたのだ。


「義隆の家臣についてはいけない。攻め殺さなければ」


そうして1551年、義隆は、陶軍に攻められ、自ら命を絶った。このことがきっかけで、毛利元就との仲は悪くなった。


ついには、争いまでにも至った。


「敵は、元就であるっ!!心してかかれ!!」この戦では、毛利軍約5000人に対し、陶軍は約2万人だった。


「兵力としては陶(陶軍)が勝っておる…」元就はそれをわかっていた。


そこで、元就は晴賢の引き寄せ作戦を立てた。


しかし、そこで問題があった。


「はて、晴賢をどこに引き寄せるか…」


そう、どこに引き寄せればいいか迷っていたのだ。


すると、あることを思いついた。


「よし、あの水軍に協力を頼もう」協力を頼まれたのは、村上水軍だった。


村上水軍は強力に応じ、毛利水軍とともに行動することとなった。


「しかし、一体どのような行動を私たちはとればいいのでございましょうか」


「それはな…」


元就はこそこそと話し始めた。


いよいよ決戦の時が来た。毛利と陶の戦いであった。


「毛利の軍が低いほど、わしは負けんぞ!」


陶軍は負ける気がしなかった。何しろ、軍が多ければ多いほど軍力が強くなる。


陶軍は主に軍の多さを重視していたのだ。


しかし、元就は違った。軍の多さなどではなく、相手をごまかす作戦を立て、そのうえで、罠を仕掛けていたのだ。


元就の作戦は、まず、厳島に宮尾城を建て、そして、その「宮尾城」が弱点と、うその情報を流し、


陶軍と戦っているすきに、村上水軍・毛利水軍が背後から攻めるというものだった。


しかし、晴賢はその罠に気付かなかった。元就の罠にあっさり引っ掛かってしまったのだ。


「よし、元就の軍勢は大したものではない。この勝負は勝ったな」しかし、これから元就の勢いが増していくのだ。


「殿!背後から二つの水軍が攻めてきます!!」

 

「何!?そんなことは聞いておらぬぞ!」ついに、晴賢が焦った。


「ふっ、愚か者め」元就はそう言った。


形勢逆転となり、今まで大軍だった陶軍が、今ではじりじりと押されていった。


「もはや、負け犬のようではないか」晴賢は、仕方なく逃げた。


ところが、もはや手遅れであった。すでに晴賢の背後には大勢の元就の軍が押し寄せてきていた。


「何っ!?もはや手遅れとでもいうのか…?」


それでもまだ諦めなかった。


「諦めてたまるか!!そうでないと、全てが水の泡だ」


晴賢はそういったがは、家臣たちは不安そうにしていた。


「殿っ!!今逃げても無駄なのですよ!!それなのに、なぜ一体…」すると晴賢は、ついに怒りをはなった。


「馬鹿者め!!ならばお前たちはなぜこの戦に参戦した!!元就めに勝つためであろう。しかし!お前たちは裏でずっとその弱音の心を持ち、大軍を率いたはずが元就に勝てなかった。その理由はなぜだ!!お前らの、その不可解な弱音の心だ!!!」


家臣たちはぶるっとなった。でも晴賢様の言うことは正しき言葉だ。家臣たちはそう思った。


「…仕方あるまい。」


こうして、毛利軍に敗れた陶晴賢は自殺し、35年の生涯を終えた。


厳島の海は戦死者の血でおおわれた。


一方で、晴賢に勝利した元就は、そのあとも勢力を高め、毛利家は強くなったそうだ。






それに、この先、次々と多くの武将たちが現れることであろう。


これからの世は、争いの時代、戦国時代である。



【難しかった言葉の意味】


「形勢逆転」

状況が一変すること。


「負け犬」

勝負に負けて、逃げること。


「水の泡」

努力が無駄になること。








1部 終わり










 

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